2008年12月31日水曜日

英語圏の進学学習塾・1年間を振り返って

学習塾というスタイルがサイパンにはなかった。
日本では当たり前の存在だが、アメリカ本土では、大都市圏の有名大学・中高一貫校の近郊に進学塾が存在する。

英語圏のサイパンで、学習塾をというアイデアは自分で考えたことではなかった。
もともとマーケティングリサーチ・ファイナンシアルプランナーのプロであった私達が、地元に居住している日本人・チャモロ人・アメリカ人そして韓国人などの父兄から、算数を教えて欲しい、日本語を教えて欲しいとのリクエストがそもそものきっかけであった。

サイパンは少子化ではないので子供の数は人口に比較すると多いが、教育水準が低いのではないか、マーケットが小さいのでは、学校以外の教育にお金をかける保護者がいるのかなど、スタートするまでは試行錯誤だったが、リクエストがある以上受けて立とうと学習塾を4年半前にスタートさせた。

日本のように組織化・体系化された学習塾ではなく、現地の学校のテキスト・カリキュラムもすべて異なっていたので、あくまでも個人指導をせざるを得ない状況であった。
学習塾といっても、実際は補習塾で学校で解らなかったことを、補習し理解できるようにすること。小学3年生~4年生に、繰り下がりの引き算や掛け算、はたまた時計の読み方など、日本のレベルで考えると信じられない底辺からのスタートであった。

ところが1年を過ぎると、いつの間にかリクエストがどんどん高度になり、中高一貫の私立中学受験・進学高校の数学・SATなど、これも多彩な父兄の要望に変わってきた。
数年間続いている生徒もいるが、リクエストベースで尋ねてくる地元の父兄や生徒は、今までとはメンバーが入れ替わり、アメリカの有名大学進学を視野に入れている生徒が多数を占めるようになってきた。

当方もそれに対応するため、教科を編成し、高度になるリクエストに応えるべく、トップクラスの生徒たちに対応できるように勉強し、努力もした。
ここ3年間は、そのリクエストベースに対応することによって、やっとKohinoorのアメリカ大学進学ノウハウが確立できたのではないかと自負している。

来年からは、今までにないリクエストが今度はサイパン発信ではなく、日本発信の留学生を迎え入れることになっている。
幼稚園生の親子留学・日本の医学部受験を目指す留学・帰国子女枠制度と一般入試両方を目指す留学など、どんどん高度になるリクエストに応えるべく、昼夜頑張らなくてはならないと心に決めている。

リクエストが高度になればなるほど、燃えるのが私の性分で、またKohinoorのノウハウとして蓄積されていくことであろう。
英語圏であるサイパンの優秀な生徒のほとんどが、韓国人で占められている現状を、なんとか打破し、日本人生徒達が、トップクラスを独占し、日本・アメリカの有名大学に合格したことを伝える現地新聞の写真入り大記事になることを夢見て、来年度に向けスタートすることにした。

1~2年間では難しいであろうが、3年間あれば留学してくる生徒たちを、その学年においてNo.1にするノウハウは蓄えてきたつもりだ。
留学するその行為自体は大変有益なことではあるが、成績優秀もまた、その地で一生懸命勉強したという証だ。
勉強した分、英語力・異文化コミュニケーションの能力が上がっていることは言うまでもない。

単なる二ケ国語を操るバイリンガルを創生する留学は、世界情勢を見ていると、もう時代遅れではないかと思う。
世界で通用するためには、英語は出来て当たり前だから、プロとして何ができるかを満たすだけのスキル・資格を取得するためのステップとして留学を位置づける、そのような意識改革が必要だ。

日本を離れて、10数ヶ国の人種が居住するここサイパンで、様々な人種の生徒たちを見ていると『留学生だから英語が上手だ』だけでは、生き残っていけない世界情勢が間近に迫っていることをひしひしと感じる。

2008年12月30日火曜日

英語圏で帰国子女・大学受験生を養成する

帰国子女枠は、日本の各大学で広く採用されている。
少子化の中、大学側も経営サイドで英語の堪能な帰国子女に対し、受け入れを拒む理由はあまり考えられない。

国語力・他の教科が日本国内で勉学した子女に劣るからと言う理由で、頑なに受け入れを拒否する考え方もあるが、その大学の関係者たちは本気で帰国子女の学力が劣ると考えているのだろうか。

英語力は大学受験で英語を釈迦力になって勉学した子女よりも明らかに勝り、また他の教科についても、アメリカの教育基準を本当に理解しているなら、決して他教科の学力が受験生に劣っているなどとは、言えないのではないかと思う。

英語圏のサイパンで進学塾を経営している関係上、地元の生徒達が日々学校で勉学している各教科の内容は、つぶさに掌握している。
確かに国語(日本語)は勉強する機会がないので、古文や漢文などは受験生に劣るかもしれないが、現代国語などはトレーニングの仕方で日本の大学の授業についていけるだけの理解力は充分確保できる。
アメリカの大学は受験の際にTOEFLを課す大学が多いが、これも大学入学後に、授業についてこれるだけの英語力があるのかどうかをテストしているだけのことだ。

日本の生徒は、通常の国語のトレーニングを欠かさず行っていれば、日本の大学の授業についていくだけの日本語の力を持つことはそんなに難しいことではない。
また他の教科の件について言えば、受験科目にある数学・理科・社会も、現在のアメリカの教育システムに準拠している学校では、日本以上のレベルの教育が行われ、成績優秀な生徒の学力は、一般受験がもし英語で行われたならば充分合格する実力を持っている。

このような状況にあるのは、日本のゆとり教育がもたらした各科目の学力レベル低下のせいで、日本とアメリカの教育のレベルが逆転している結果であると思われる。
厳しい言い方かもしれないが、世界レベルの大学ランキングでベスト10に日本の大学は1校も入っていない。入学時の難易度はベスト10に入るのかもしれないが、かの東京大学でさえ14位という位置である。
これは、大学の様々な環境も考慮されてランキングされるわけだから、一概に正しいとは言えないが、世界的な規模で見た場合には、このランキングは妥当性・正当性が見受けられる。

このようなことを考慮すると、帰国子女が日本の大学に合格しやすいという考え方は、誤っていると思う。優秀な帰国子女候補生達が日本に帰国せず、アメリカの大学を目指すことになれば、東京大学よりもランクの高い大学に入ることだって充分可能なのだ。

帰国子女枠制度を廃止する、ハードルを高くする、生徒単身の留学の場合は認めないなど、いろいろ制約をつけている大学も増えてきているが、優秀な学生を集めたいのならば、そのような垣根は取っ払って、もっと帰国子女の枠を広げた方が、結果その大学の世界ランキングが上がることは言うまでもない。

私の塾Kohinoorから、まだ帰国子女枠を利用し合格した生徒は排出していないが、今後候補となる日本人が来年以降留学することが決定しているので、日本の大学が今のままの状態が続くようであれば、生徒の人種を問わず、迷わずアメリカのハーバード大学やMIT,スタンフォード大学進学を念頭に置いた現在の進学塾スタイルを変更する気はない。

世界ランキングにこだわるようだが、トップ10のアメリカの大学に入学することは、帰国子女枠を利用してどこか肩身の狭い思いをしながら日本の大学生活を送ることを考えると、比べ物にならないほど価値観がある。
その生徒たちは、日本語を使ったテストで図る偏差値では比較できないが、各教科の総合学力では明らかに優っているからだ。

日本の大学関係者は、このことにもっと早く気が付くべきだ。
優秀な頭脳を持つ日本人生徒が、今後ますますアメリカをはじめとする海外の大学に流出することは間違いなく起こり、大学受験に対する考え方がトレンドとして世界に向けられていくことを。

2008年12月28日日曜日

英語圏の高校生交換留学とTOEFL

TOEFLの集中レッスンを、現在日本の中学3年生に行っている。
TOEFLは、アメリカの大学入試に必要な英語力判定テストなので、おやと思われるかもしれない。
しかし英語圏の高校に入学するためには、授業についていけるだけの英語力は不可欠である。

中学~高校と6年間学んだ英語力だけで、TOEFLでハイスコアをマークすることは、非常に難しい。
現在のテストシステムはTOEFLiBTとなっているため、英語力の4つのスキルである、Reading, Listening, Speaking, Writing各30点計120点で、いかにハイスコアを取得できるかにかかっている。

大学で必要とされる英語力を図るために必要なテストであるため、TOEFLのテスト内容は至極当然であり、レベル的にも留学生にとっては妥当であると思われる。
英語圏の高校生(9th・日本の中3)の英語力は、TOEFL60~70%以上あると実感している。
そのレベルはというと日本の英文科の大学生以上のレベルかもしれない。

英語圏において、そのレベルの高校生相手におこなわれる一般科目の授業についていくことは、留学生にとって非常に大変であることを認識してもらいたい。
私が、高校生の交換留学に対してあまり肯定的でない理由がそこにある。

英語ならともかく、一般科目の単位互換が図れるとか、1年間で英語がマスターできるなどということは、夢物語で、インターナショナルスクールや留学を数年経験している生徒ならば可能かもしれないが、一般的に中学から英語をスタートした生徒の場合は、大変以外の何者でもない。

英語圏での一般科目(社会・科学)の英語は、小学校3年生から積み上げてきたVocabularyと知識があるから初めて理解できるものであって、英検2級程度のレベルでは、テキストを読みこなし理解するのに相当な時間を要する。もちろん高校の授業で先生の言っていることを聞き取り理解することは、さらに難しいスキルとなる。

アメリカの学校生活を体験したいのであれば、もっと早い時期の留学をお奨めする。
小学校低学年までだったら、英語の基礎を覚えるのによい時期であり、内容も高度ではない。高学年になればなるほど英語のレベルは当然高くなり、ハードルが高くなる。

英語に自信のある生徒なら、中学3年生を卒業すると同時に9年生に編入し、サイパンだと8月に始まる新学年10年生(高校1年生)に備えたほうが良い。
これなら、高校の学生生活や授業の進め方など、ウォーミングアップを数ヶ月こなした後に、夏休みが入り、その間も9年生時に不足していると感じた英語のスキルを、新学年が始まるまでの2ヶ月間にフォローすることもできる。

この場合でもせっかく英語圏の高校に留学したわけだから、1年間ではなく、帰国子女枠を狙うために最低でも2年間から、卒業資格を取得するために3年間続けた方が、帰国子女枠入試・アメリカ大学への進学には圧倒的に有利である。
高校生の交換留学は制度の規制上、最長1年間しかできないので、日本・アメリカどちらの大学に進学するにしても有利とは思えない。
大学進学をどうするのか、しっかりと焦点を定めた上で、高校留学を考えることが大変重要である。

2008年12月20日土曜日

英語圏の進学塾で名門大学入学を目指す

英語圏であるサイパンに今まで進学学習塾はなかった。
ひょっとしたら留学生の人数が圧倒的に多い、韓国人が経営する補習塾はあったかもしれないが。

私の思いは人種を問わず、本人が希望するアメリカの名門大学もしくは、帰国子女枠を利用した日本の名門大学へ入学するために、高レベルの教育を生徒たちに供給し続けること。

日本の進学塾では当然のことが、ここサイパンではスローライフのせいか、最初は何でそこまでするの?と解らないローカルの人が多かった。
別にそこまでしなくても、学校の授業についていけないわけでもないし、元気にやってくれればいいからなどと言っていた保護者も、韓国人の留学生たちが次々に各学校でトップクラスを独占し、高校卒業後は、ハーバード大学・スタンフォード大学と名門大学に合格していく状況を目の当たりにして、ここ数年教育に対する考え方はガラッと様変わりした。

アメリカ領ながら自治政府を持つサイパンは、2009年度アメリカの移民局の支配下になる。
そのため今まで特権階級であった地元のチャモロ人の特待待遇は、グアム並みに奪われる方向に推移する。
そうなると政府・官公庁の役人やチャモロ人しか許されなかった職種が外国人にも解放されてしまう。

将来への危機感から、子供をアメリカの名門大学に留学させて、弁護士にでもさせようかというローカルの保護者が急速に増えてきている。
理由はどうであれ、教育熱が上がることは望ましい事だ。
今まで競争の原理がなく、教育レベルもアメリカ水準以下であった地域が、ここへきて一気に水準以上に変わりつつある。

アメリカにも偏差値は存在する。
年に一度のSAT(この場合のSATは大学共通テストではなく、高校生以下の各学年の共通テストを言う)の結果、自分の学力レベルが、全科目科目別・分野別において、客観的な数値で表される。
因みにKohinoorに来ている生徒たちのほとんどは、全米レベル上位に位置している。

名門大学に入ったからどうなんだと考える人もいるかもしれない。
しかし、アメリカは日本以上に学歴偏重主義。
差別を禁止しているので、履歴書に年齢・性別・人種、もちろん写真も添付しないが、学歴は記入する。
アメリカで生活すれば、学歴の重要性は否が応でも経験する。

せっかく一生懸命勉強したのだから、名門大学へ行って何が悪いのか。
学歴は後から必要になってくるもの、そう割り切って胸を張って名門大学へ入学すればいい。
もし名門大学でなくても、自分の学びたいことがまだ決まっていないなら、アメリカは日本の大学と違い、一般教養課程履修中の1~2年生の間に専門課程を決めればよい。何とも合理的な教育システムだ。

もっと欲張りたい人は、別の学部や別の大学とのダブルメジャーも可能だ。
やりたい人には門戸を開く、何と自由で開放的なアメリカの大学の教育システム。
そのような環境で勉強することが許されるためには、やはり日頃コツコツと勉強を積み重ねるしかないことも事実。
各国から留学生たちは異国のサイパンに来て、数年間いやそれ以上、努力してアメリカの大学を目指している。

日本人の留学生の場合は選択肢が広がる。
アメリカだけでなく、日本にも名門大学はある。
帰国子女枠を利用すれば、間違いなく2~3ランク上位の大学を目指すことができる。
これは有利だ、日本の一般受験の高校生が知ると怒るかもしれないが、留学中にもっと積極的に、帰国子女枠を利用した勉強に特化すれば、東大・ICU・慶応・上智だって合格圏内に入ることは可能だ。

英語圏で教える日本語と、学ぶ英語

年末も押し迫った頃、サイパンのローカルであるチャモロ人の女子高生から、日本語のプライベートレッスンを頼まれた。
日本人の高校生が交換留学で、サイパンにホームステイで1週間来ることになったということだ。

最初に母親から電話があり、政府に勤務していますというで実際に会ってみると、なんと警察官。
確かに政府関係ではある。
日本語をしゃべれるようになりたいからと、週2回4時間の集中レッスンを行うことになった。

来年6月には、その生徒が今度は日本にやはり1週間行くことになっている。
そのためにも日本語は不可欠だからと昨日から、必死になって勉強している。

来年卒業して、オレゴン州立大学を目指しているということだけあって、なかなかの秀才である。
ひらがなは、すぐ覚え簡単な挨拶はできる程度にすぐなった。
ただここからが日本語の難しいところで、わたしのお父さんはダメ、私の父と言いなさいとか、Theyは彼ら、彼女たちと男性・女性代名詞に区別するなど、教えていながら、やはり日本語をマスターすることは、外国人にとって難しいとつくづく思う。

英語のシンプルさを覚えた留学生たちが、英語の方が日本語よりコミュニケーションが楽だというのがよくわかる。
日本語の尊敬・謙譲・丁寧語などの表現が特に難しい。
形容詞も文の中で変化する。何気なく使っている日本語が、こんなに厄介な言語なので、日本の教育界のお偉方が、小学生からの英語教育に反対するのも、判らないではないような気もする。

母国語である日本語をマスターするより先に、英語に傾倒していく小学生が増えることは間違いないだろう。
しかし、多ケ国語をマスターできる才能は、子供ならだれしも持っているはずなので、環境あるいは教育方法によっては、マルチバイリンガルの小学生を育成することはそんなにも難しいことではない。

インド人の多くの人たちは、数ヶ国語を無理なく操れる。
これは、言語学上多分特殊な才能が、インド人には隠されているのではないかと思えるくらいに、見事に操る。

英語圏であるサイパンで、日本語を教えることも、日本人ならではできることかもしれないが、その逆もしかり。
アメリカ圏で英語を教えるスキルのある人に学べば、間違いなく英語は話せるようになる。
かかる期間は、先生・レッスン時間・本人の基礎力など様々な要因に左右されるが、日常的な会話は英語の場合、そんなに複雑な言語ではない。

幼少の頃から英語圏で過ごせば、英語が話せるようになる、もちろんこれは真実。
ただ、日本語を教えていて解る事だが、日本語を日本人並みにマスターさせるには、数年かけても難しいのではないかと思っている。
その逆も真なり、英語をマスターするためには、数年かけないと英語圏の人並みに英語を駆使することは難しいと思う。

それゆえ、もし英語をマスターしたいなら、できるだけ頭が柔軟性を持っていて、英語に対しての拒絶意識がない状態でスタートした方が、ずっと自然に英語を習得できる。
その年齢は、私が今までKohinoorで見てきた留学生を振り返ってみると、やはり保育園・幼稚園~小学校1~2年生が限界ではないかと思う。

この幼少時代の生徒が、一人で留学することは難しいと思われるので、保護者の方・お父さんお母さんが、もし理解があるなら子供に同行し、親子留学の形式を取ることが、子供の不安や健康面での管理も含め、理想的な留学になるのではないかと思う。

2008年12月19日金曜日

英語圏の親子留学は幼稚園時期から

留学の低年齢化は留まることを知らない。
日本の例だと、大学生・高校生から中学生・小学生へとどんどん低年齢化が進み、今や幼稚園・保育園の園児がお母さんと留学する時代になってきた。

今までは親子留学といっても、1週間から1ヶ月間くらいの短期留学が主流だったが、そのような短期間で英語をマスターすることはまず不可能だ。
実際に参加した人に話を聞いても、ただの海外旅行じゃつまらないので、少しでも英語圏の環境に慣れ浸しむことを考え、親子で参加したと聞いた。
その考え方には賛同できる。ツーリストでショッピングやレストランに行くだけなら、旅行英会話の本を一冊読むだけで、ほとんどの日本人ならマスターできる。
観光地なら多少文法が違っていようが、日本語とチャンポンで会話しても充分意思は通じる。
観光だけではなく、異文化の体得や英語を基礎から学ぼうとする意気込みは、素晴らしいと思う。

ただもう一歩踏み込んで考えると、単語数が増えたとか、発音が良くなった気がするとか、そのような満足感だけでは英語を制覇したことにはならない。
もし親が英語が不得意であった場合、今から英語を制覇しようとするなら、頭が固くなっている分、最低3~5年間はかけないと難しいであろう。
日本にいても留学したとしても、一生懸命努力して同じ位の期間はかかると思う。

しかし、幼少時は明らかに違う。1年間、正規留学で保育園や幼稚園に通学した場合、間違いなく発音はネイテイブ、vocabularyは500語以上、簡単な日常会話はできるようになる。
この差は、子供の頭が柔らかいからだけではなく、幼稚園でPhonics(フォニックス・スペルと発音)の授業を、徹底的に教え込まれるからである。
英語圏の人間が、英語を話すのは当たり前のことだけれど、発音を矯正し、スペルとの関係を認識できるのは、このフォニックスの授業のおかげである。

英語圏であるサイパンの学校システムでは、小学校1年生~2年生までに留学を始めると、このフォニックスの授業を受けることができる。
この英語の基礎があるとないのとでは、その後の英語力アップに極端な差がつく。

小学生時期に海外留学をと考えている人は、このことをよく考慮して、各教科が難しくなる小学生3年生以上の学年ではなく、もっと早い時期に留学を始めた方が、子供の負担が少なく、バイリンガルになる確率は高くなる。
ただ1年間だけでは、英語の発音の基礎・vocabularyの習得だけで終わってしまうので、ネイテイブの子供と同じレベルの英語をマスターしようと本気で考えるなら、最低3年間の留学期間は必要だと思う。

英語圏・サイパンで留学生が好んで乗る日本車

ビッグ3の破綻問題が取り立たされている。
V8のビッグカーはアメリカのシンボルと言われた時代に育った私にとっては、キャデラックがあこがれの車だった。
いつかはクラウンじゃなくて、いつかはキャデラック。

原油価格が上昇し、二酸化炭素や有害排気ガスの問題等から、ガソリンを食わない、環境にやさしいハイブリッドカーなどの低公害車に車のトレンドが変わってきている。
一時期は公害の原因と言われた軽油車も、ベンツや日産などによる低公害車の開発によって、見直されている。

アメリカの自動車メーカーの集まるデトロイトでさえ、アメ車に乗っている人のシェアが低くなっていると聞く。
消費が美徳とされてきた自由経済主義の考え方の一部が崩れ、今や低公害車が地球にやさしいともてはやされている。

サイパンもアメリカ圏なのでもちろん車は右側通行で左ハンドル。
GM、フォード、一部クライスラーももちろん走っているが、良く街で見かけるのはトヨタ、日産、マツダなどの日本車及び、ヒュンダイ、キーアなどの韓国車である。

サイパンに住んでいる日本人は、私も含めアメ車・日本車など、バラエティに富んでいるが、韓国から英語圏であるサイパンに留学している生徒たちは、母国の韓国車か、最近特に人気の高いのがYARIS(日本名ヴィッツ)だ。

別に車の宣伝をしているわけではなく、留学生は車の維持費を考え、ガソリンの食わない小型車を選んでいると単純に考えるのも一つだが、良く考えてみると、新車の購入費はもちろん中古車よりも高く、減価償却しても月々のコストに参入した場合、そんなに安い買い物ではない。

まあそこまで考えているとも思えないので韓国人の生徒たちに聞いてみると、韓国の車は以前に比べてよくなったが、長期間乗っていると電気系統があまりよくないとか。
さすが日本人の数の3倍以上が、サイパンに居住している韓国人コミュニティの情報網は、しっかりしている。

公共の交通機関のないサイパンでは、車は必需品。
もちろん故障したら、買い物にも行けないし学校にも行けない。
いつも動いてくれなきゃ困るもの、ただ単純に足代わり。

母国の製品を買わなきゃとか思う考えは、あまりない。
日本製は車・電化製品・生活用品・消耗品何をとってもブランド。
現地に住んでいるチャモロ人・アメリカ人もほぼ同じ思考パターンだ。

サイパンは国際社会だから、各国の製品・商品が輸入品されてくる。
居住している人は、原産国を考慮しながら、どの製品・商品をどこで買えば安いかまでもよく知っている。
日本製がブランド扱いされるわけだから、日本車も当然ブランド。

多分先ほどの留学生は、日本の学生がBMWに乗っている気分で、日本車に乗っているのかなと考えたりもした。
なぜなら、母国韓国では輸入車関税が非常に高く、滅多なことでは輸入車に乗れない。このことは、ソウルに行くとよくわかる。
見たことのあるヨーロッパ車、日本車のデザインを模倣した韓国車が溢れているから。

韓国人留学生だけではない、中国人・インド人・タイ人など、みんな日本車大好き留学生たちだ。

2008年12月18日木曜日

英語圏・サイパンの留学生たちのクリスマス

クリスマスも押し迫り、サイパンのほとんどの学校は12月20日過ぎると冬休みに入る。
今日は、Kohinoorのレッスン終了後、DFS免税店で、サイパンの私立学校のクリスマスパーフォーマンスがあると生徒から聞き、見に行くことにした。

DFS中央のコートで、ウクレレのクリスマスソングパーフォーマンス。
ウクレレで祝うクリスマス、何とも南国のパラダイスならではの光景だ。
電気楽器にはない、素朴なやさしい音色が聞く人にほのぼのとした安らぎを与えてくれる。

10曲くらいの演奏後、ラストはダンスを加えて締めくくり。
指導に当たった先生が最後に、子供をお迎えの保護者の方は、店の外でお願いしますとアナウンス。
確かに外に出てみると、ウクレレを抱えた生徒が30数人。

クリスマスも近いというのに、寒さ知らずのサイパン。
もちろん暑いので雪など降りっこない。
地元の生徒や、閣国からの留学生たちが、今日の演奏のことや、冬休みどう過ごすのだとか、みんなで話し合っていた。もちろん英語で。

アメリカ領であるサイパンは、もちろん英語圏。
日本人ツーリストが多いガラパンの街は、日本語ですべて事足りるが、一歩外へ踏み出すとそこはまさに世界各国からの人種のるつぼ。
日本人っぽい韓国人やその逆も。
インド・中国・タイ・ロシア・フィリピン数えると10数カ国以上。

クリスマスといっても文化・風習の違いがあるので、どのように過ごすのかはおのずと異なってくる。
日本式にパーティにシャンパン、ケーキにゲームも、もちろんスタンダードなお祝いの仕方だが、地元のチャモロ人は、キリストに感謝の意をこめ、あまり騒がず、意外と素朴な食事でファミリーと過ごす家庭が多い。

母国のクリスマスと同じような過ごし方をする留学生もいるが、郷に入っては郷に従えで、毎年違う国のメンバーと違うスタイルのクリスマスを楽しんでいる、ちゃっかりした生徒もいる。
小さな国際社会なのだから、他の国の文化を知るという意味でも、このちゃっかりした留学生の社交性というか適応能力は、見習うべきなのかもしれない。

また、年末・年始を母国で過ごす留学生ももちろんいるが、留学期間が長くなるにつれ、帰省せずに友人や家族と、大晦日のカウントダウンパーティとともに新しい年を迎える生徒が多い。
花火あり、爆竹あり、ミュージックも様々、西洋と東洋の文化が交錯して、それはそれは口では言い表せない一種独特の光景だ。

昔、ブレードランナーというハリソンフォード主演の映画があった。
その中に出てくるロスアンゼルスの近未来の光景を縮小したような不思議な光景が、この年末~年始にかけて経験できる。

人種がそれぞれの文化を慈しみ、楽しむ、そして感謝する。何とも興味深い島である。
そんなサイパンが好きだから、そして留学後、環境に適応しようと日々生活し、頑張って勉学している子供たちの将来に夢を見ているから、毎日レッスンを続けていけるのだと思っている。

2008年12月16日火曜日

英語圏へ正規留学した場合、1年間の費用

アメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド以外にフィリピン・シンガポールなどのアジアの英語圏もある。
国・地域・学校・住居など様々な要素を考慮し、1年間の正規留学費用を計算しなければならないが、1年間で考えるか夏休みの2ヶ月を日本に戻ると想定し、10ケ月間で想定することも考えたほうが、コストが下がることもある。

日本から遠い場合、航空運賃が高いので1年間そのまま滞在したほうが、安くなることが多いが、日本から近距離の場合は、2ヶ月分の居住費をかけない方がコストがかからない。

イギリスは1年間に500万円以上かかるが、イギリス英語を習得したい方にはシンガポールや香港よりも本土に行くのが一番お勧めである。
アメリカ・カナダ東部もイギリス英語に発音が近い地域もあるが、やはり本場が良いと思う。

アメリカ英語を習得したい方は、やはりアメリカだろう。
西海岸カリフォルニアが一番人気だが、留学費用のことを考えると少し田舎の州を目指した方がよいかもしれない。
治安のよいカリフォルニア州オレンジカウンティは、日本の都市部と物価がほとんど変わらず学費も高い。

Kohinoorのあるサイパンは、アメリカ領自治政府なので、教育システムもアメリカに準じている。
サイパンは、日本から一番近い英語圏なのでマリンスポーツやゴルフのメッカとしても知られている。日本人にはあまりなじみがないが、アジア特に韓国から多くの正規留学生が来島している。

ほとんどの韓国の留学生たちは、就学期間である10ケ月をサイパンで過ごし、夏休み2ヶ月間を母国に帰省する。
サイパンで親が投資ビザを取得し子供を留学させているか、学生ビザを取得し生徒だけ、もしくは親子留学をしている。
彼らは考え方が合理的で、アパートに住まずホテルを月契約し、また移動手段である車両もレンタカーを月極めしている。
もちろん車両を購入する資金がないわけではなく、2ヶ月間どうせ居住しないわけだから、アパートの空家賃は無駄で、電気・水道・電話などの支払も月々しなくてはならない面倒くささを嫌うようだ。
このスタイルで1年間、母子留学した場合、3万ドルあれば充分やっていけると言う。もちろん1年だけではなく長期で留学している。
私なりに計算すると、確かに衣・食・住どれをとってもソウルより安く、もちろん日本の都市部よりも安くいので、やっていけると思う。

目標はアメリカの大学進学だから、高校までを別にアメリカへ留学する必要はない、もっと安く留学でき、ビザ取得もアメリカ本土よりも安易なサイパンが人気があり、この20年間近く毎年大勢の留学生が韓国からやってくる。

この考え方を聞いてふと思ったことがある。日本の有名なインターナショナルスクールの1年間の授業料は300万円するが、それでも入学待ちの状態であるとか。
現在の為替1ドル=約90円を考えると、3万ドル(270万円)あれば英語圏のサイパンへ留学できるわけだ。
アメリカ発の世界恐慌の荒波を受けている日本だが、円高は海外では武器になる。他の諸外国の通貨はほとんどすべて下がっているわけだから。
この円の強さを今こそ利用して、子供を英語圏へ留学させることを立案するくらい頭の切り替えを図れる人は、世界的視野を持っている人だと思う。

現に韓国留学生は、ウォンが激安のため現在四苦八苦している。
対ドル為替が40~50%前後下落したわけだから、従来の50%以上の留学費用がかかってくることになる。

留学すると英語力だけではなく、生活を英語圏で送ることになるので、異文化コミュニケーションを養う意味で大きなメリットがある。
確かに日本にいながら英語を学ぶことはできるが、生活圏は日本なので、文化・慣習・思考パターンなどを学ぶ機会には恵まれない。

資源の少ない日本だから、世界に向けて大きな視野を向けることが過去以上に必要とされている。
そのために、もし時間とお金が許すなら、子供を異文化の環境に置いて英語をマスターさせ、ビジネスでも文化・学術的にも、国際人として通用する日本人が多く育って欲しいことを期待している。

人が成長するには年月がかかる。生まれて20年間たってやっと大人。
だからなおのこと今、日本の子供たちを育てないと、10数年後は世界観を持った中国・韓国などのアジアの強敵には敵わなくなる。
10数ヶ国の人種のるつぼであるサイパンに居て、各国の留学生を日頃教えていると、客観的な立場で日本を見ることができるので、この危機感は数年先にはやってくるのではないかとさえ思っている。

中国・韓国は小学生から英語が必修科目となっているので、日本人は英語力でまず負けている。ハングリー精神がもともと培われているので勉学にも執拗に熱心だ。
こんな留学生たちがアメリカの大学を卒業し、国際人になっていくと思うと、私の恐れていることは、まず間違いないと最近では確信に変わってきている。

英語圏の留学とホームステイ

以前アメリカの最大手ESL(英語研修機関)の日本総代理店のマネージメントをしていた経験からすると、ホームステイは当たり外れが大きいと言わざるを得ない。

ステイする家庭がすべて、よくアメリカの映画に出てくる白亜のビッグハウスではないからだ。
学校単位で交換留学している場合は、留学先の学校の生徒にホームステイする例が多いので、送迎も含めあまり問題は起きないのだが、一般の家庭の場合、部屋数・家族構成・人種・あまり言ってはいけないかもしれないが貧富の差などによって、留学期間中の生活に天と地の差が出ることがある。

ホームステイ先が、一人部屋で、食事も朝夕作ってくれ、週末ともなると一緒に公園や観光名所へドライブして連れて行ってくれたりなど至れり尽くせりのところもあるが、逆に一部屋を何人かで共有し、食事も勝手に冷蔵庫を開けて作りなさいというところもある。

アメリカのスタイルだと、最初に断れば後は冷蔵庫を勝手に開けて、飲んだり食べたりすることはお構いなしのスタイルだが、日本人留学生はどうも他人の家でそのように振る舞うわけにはいかないと恐縮し、何も食べなかったという例もあった。

学校の送迎も、徒歩や公共交通機関があればなんとかなるが、一般的には車がないと通学すらできない。
通学できるかどうかもホームステイ先の人任せなのだから、気の弱い留学生は、送ってくださいとも言えずに引きこもってしまう子もいた。

英語圏の人と生活を共にするから、昼夜英語を使ってコミュニケーションができるというのは、理想の姿で、ホームステイ先が時間から時間で終わる勤務の人ならまだ救われるが、夫婦とも共稼ぎの場合は顔を合わせることも少ないような状況もあり得る。

数十年前のアメリカへの留学状況は、1ドル=360円の頃だが、日本がまだ貧しく留学生も国費留学やフルブライト留学生がほとんどだった時代には、アメリカの裕福な家庭がボランティア精神を発揮して日本からの留学生を手厚く持てなしてくれたのだが、現在はホームスティを家業としている、もしくは収入源の一部と考えているホームステイ先が多くなってきている。

私がよく、留学先の学校や宿泊先を、保護者や留学生が事前に視察した方がよいですよ、とよくアドバイスするのには、そのような理由がある。
せっかくしっかり勉強しようと留学したのはよいが、放課後ステイ先で勉強できるような環境ではなく、食事もままならないようだど、生活していくことに疲れ、勉強どころではなくなってしまう。

留学生は勉強することが本分なのだから、学校選択も大切であるが、ステイ先の環境が大きなウエイトを占める。このことに充分注意してもらいたい。

学校に付帯している学生寮は、施設・食事・メンテナンスなどがしっかいしていれば申し分ない。
通学は徒歩なので通学に気を使うことがなく時間のロスもない、食堂があるので食べることに困らないなどメリットが大きい。

英語圏のサイパンはどうかというと、アットホームな家庭が多いのでホームステイのトラブルがないかと言えばそうでもない。大なり小なりアメリカと同じような問題を抱えている。

Kohinoorでは、長期留学生の食・住の件を対処するため、近所のホテルに委託している。
ホテルなので二人一部屋、もしくは一人一部屋も自由にアレンジできるし、日本食堂があるので食事の心配もない。
留学生は勉強に専念できるし、こちらも留学生の指導に専念できる。

1~2週間程度の短期留学ならあまり大げさに考えることは必要ないが、長期の正規留学の場合、食・住は留学生活の中で大切な要素であることを覚えていてもらいたい。

このことは長期で親子留学される場合も同様で、ホームステイを長期に経験したことがある、またはアメリカの生活を経験したことがある親が引率するのならあまり問題ではないが、そうでない場合はホテルやアパートでの滞在をお奨めする。

身内や友達の家だからと言って、長期になればいろいろ滞在先に気を使わなければならないことも出てくるので、留学は勉強することと専念し、割り切って自身のお城を持った方が、後々何かと気苦労しなくて済む。

2008年12月15日月曜日

英語圏への留学で学校の教師になる

アメリカに端を発した世界的金融不安は、1929年の世界恐慌に匹敵するくらいになるのではないかと言われている。

昨年度は下降していた失業率も急激に上昇しだした。
日本でも派遣社員はもちろん正社員の人員削減が毎日のようにマスコミを賑わし、経済は不況まっしぐらに向かいつつある。
円が強いので輸出産業は大変だが、資源の輸入という意味ではまだ救われている。

不況に強い職業はなんだろうかと考えてみた。
再就職を考えた場合、やはり求職需要のあるライセンスを活かした職業ではないかと思う。

英語圏であるサイパンでは、弁護士・医師・薬剤師・公認会計士そして学校の先生である。
弁護士の収入は本人の経営手腕によるところが大きいが、その他は人材が不足しているため、給与も一般職よりも高給となっており、魅力的な職業となっている。

ソフトエンジニアやプログラマー等の先端技術を要する職業は必要ではあるが、未だサイパンの経済がそこまで熟成していないので必要に応じて外注しているの状態である。
これは自治政府のコンピュータ―システム設計・変更でさえ入札制度で外注するため、島内ではなく海外のエンジニア会社が受注することが多い。

サイパンでなぜ学校の先生が不足するかというと、まず子沢山。
一家に3~4人はザラ、300坪の土地を成人になると自治政府から一人づつに無償で支給されるので、将来の心配がない。
子供が多いと、ファミリーで取得した土地が、どんどん広がっていく現象が見られる程だ。
フードスタンプと言って食糧の金券も、乳幼児期には無償で配布される。
至れり尽くせりの子供保護政策の上、公立ならば高校までわずかな費用で勉強できる。

このような恵まれた環境だから子供は、周りにいっぱい。
公立の小学校・中学校・高校は生徒で溢れかえっている。
そこで学校の先生はどうかというと、サイパンはアメリカの教育システムなので、本来アメリカの大学卒で教職課程を修了した教師が必要なのであるが、教員資格を持っている教師が圧倒的に少ない。
おまけに1クラスの定員が約20名だから、教師の不足問題に拍車がかかっている。

現状は、毎年何十人も学校の先生が不足している。
アメリカ本土の人からするとサイパンは領土だという認識がなく、位置さえ知らない人が多い。
だからサイパンを目指してくる教師は、皆無に等しいと言っても過言でない。確かに本土からは遠すぎる。

生徒たちに恵まれた環境と優秀な教師のもとで勉学してもらいたいと常々思っているので、英語圏のサイパンで、教師になりたいと志す人が日本から来てくれないものかなと、いつも期待している。

現地にある北マリアナ大学では、初等教育科のコースもあるので、大学へ入学・転入して教員資格を取得することも可能だ。
就職先が無いと日本国内で右往左往するのも仕方がないご時世だが、いっそ海外へ目を向け、英語圏の教師を目指して留学することは、メンタルヘルスケアも兼ねて、よい再就職支援のアイデアではないかと思っている。

日本の大学を卒業している人は、科目によっては単位の互換性も図れる。
大学で受講するのだから、上級英語・ビジネス英語をマスターすることも可能なので、一度で二度おいしい実益のある留学だと思う。

私はKohinoorの塾で生徒たちをフォローする立場なので、教壇に立つことはない。
ぜひもっと若い人が、志を新たに海外へ飛び出し、英語をマスターして学校の先生になってもらいたい。大学入学・転入に関することや、英語の基礎力アップ、学生ビザ取得など、留学に関するフォローは私が責任を持ってお手伝いする。

英語圏で帰国子女枠に特化した海外留学(2)

英語圏に海外転勤などで留学するお子さんの対策についてはもう述べたが、中退や登校拒否などで高校の卒業資格を持っていない人のためにも、この帰国子女枠の制度をうまく活用した海外留学の方法がある。

それは海外の高校を卒業すること。

日本ですでに取得した単位の互換性を図ることのできる高校を選択し編入する。もし無理な学校の場合でも、高校編入は可能なので2~3年をかけて卒業する。
帰国子女枠の場合、ほとんどの日本の大学が募集要項として海外経験2年以上を要求していること、またTOEFL、SATのスコアを入学審査基準としているので、最低この期間の留学は必要だ。

高校に新入学する場合は、単位を取得し高校卒業まで留学すれば良い。

英語力がつかないとTOEFL、SATについては大学入学の審査基準値に満たないので、留学期間中に英語のリーディング・ヒアリング・スピーキング・ライティングの基礎力を上げる必要がある。
SAT対策については、数学が含まれるので文章題を読みこなす英語力と、数学独自のVocabularyを習得する必要がある。

一番懸念されるのは、果たして自分の英語力で英語圏の高校の授業についていけるかどうかということだろう。
この件に関しては、Kohinoorでは日本からの生徒たちに入学前の事前集中レッスンを行い、学校側とよく打ち合わせ後、転入・入学させている実績がある。
入学後も授業やテスト対策などのレッスン及び、学校側とのミーティングを行い高校卒業までフォローアップしている。

高校選択にもポイントがある。
単位互換性が図れる、単位が取得しやすい、また日本人になじみのない聖書の科目があるキリスト教系の学校は極力避けるなどを一つの目安とする。
またKohinoorはサイパン現地にある進学学習塾なので、学校のレベル・科目内容・生徒の状況、はたまた先生の性格までをも掌握している。

高校2年生~3年生になると、通常のフォロー以外にTOEFLとSAT対策を始める。その頃には、授業についていけるようになっているので時期的にはちょうどよい。

帰国子女枠を利用する場合、SATは70%以上のスコアを目指す。
このスコアを取得することは英語力の基礎さえついてくれば、そう難しいことではない。
その英語力をつけるためにも最低2~3年間は欲しいところだ。

SATスコア70%以上あれば、帰国子女枠を持つ日本の有名大学に入学することが可能である。
最近は、学生数の不足や大学のレベルアップを図るため、ほとんどの有名大学は帰国子女枠を設けているから心配ない。

英語圏で帰国子女枠に特化した海外留学(1)

保護者の転勤等のために、海外に移住するお子さんは相当数に上る。
会社の辞令だからサラリーマンの宿命として、単身赴任するか家族で移住するしかない。

しかしものは考えよう、お子様がいる家庭は英語圏に移住した場合、現地の学校に通学し、生きた英語をマスターできる絶好のチャンスとなる。
Kohinoorにも昨年転勤族のお子さんが姉弟でいたが、通学し始めたころは大変だったが、慣れ始めると学校でクラスのトップクラスの成績を取るにまで成長した。

転勤族の場合、帰国するタイミングも会社の辞令によるので、自分の意思通りには行かないが、もし子供の年齢が中学受験・大学受験のタイミングに合えば、もしくは合わせられるようだったら、これは大きなチャンスだ。

中学受験も大学受験も帰国子女枠があるからだ。
もちろん高校にもあるが、中高一貫校が多いので受け入れ枠が少ないという難点がある。
やはり狙い目は有名中学か有名大学だ。

サイパンに生まれ育ちは現地だが、両親が日本人のため日本の大学を希望している家庭がある。
今お子さんは小学生6年生。どうしようかと進学相談を受けた際に迷わず、そのまま中学・高校とサイパンで進学し、大学受験で東京大学を目指してくださいとお答えした。
英語はネィティブ、数学の成績も優秀で、このまま続けていけばSATで80%のポイントを取得することはそう難しくはないはずだからだ。

SATで80%ポイントを取得できれば東京大学、70%以上で日本のほとんどの有名大学に入学できる。
最近ではほとんどの有名大学が帰国子女枠を持っている。

日本で共通一次テストを受けさらに大学の入試を受け、やっと合格できるかどうかの難関大学への入学が、帰国子女枠を利用すれば、簡単とは言わないが、一般受験よりずっとやさしいことは、現地でSATレッスンを行っている私が言うのだから間違いない。

もちろんそのためには、まず英語。
ネイティブの高校2~3年生の平均以上のレベルに到達することが条件である。日本流に解り易い尺度で表すと、英検準1級レベル以上。

遅くとも現地の高校で3~4年間通学し、KohinoorでSATレッスンを受ければ70%以上は問題ない。
80%以上は英語のレベルがこの3~4年間でどこまで伸びるか、伸ばせるかにかかっている。

数学で100%を取得した韓国人留学生は、今年ハーバード大学に合格した。サイパンにもこんな優秀な生徒が数多く居住している。
日本人は長期留学の考え方があまりなく、1ヶ月~1年の期間の留学を考える例が多いが、1年いても英会話はそんなに話せない。
英語の基礎力は上がるが、SATレベルからすると未だ未だ。

有名中学を目指す場合も最低でも2~3年の留学期間を考えたほうが良い。
最近は帰国子女が多くなってきたのでハードルが高くなってきた。
以前は英検準2級程度だったが英検2級を要求する中学が増えてきている。

帰国子女枠を使えるのは、海外で2年以上居住し、帰国後1年~2年以内に受験することを、受け入れ枠の基準としている学校が多いので、帰国するタイミングが最も重要なポイントとなる。

日本で有名大学に進学するために、小学3年生頃から進学塾に通い、中高大学一貫の中学を狙うならそれはそれでよい選択肢である。
ただ、国立大学や中高のない有名大学の場合、入学できる学部に規制はあるものの、この帰国子女枠の制度を巧みに利用し大学に入学するのは、ある意味大学への最短ルートである。

韓国人家庭は、このことをよく知っていて、サイパンに5年~10年計画で母子留学または生徒一人で留学し、第一目標はアメリカの有名大学、無理なら母国の有名大学に入学していく。

子供が英語をマスターでき、日本では超難関と言われる中学や大学に合格できる可能性が高い、帰国子女枠をもっと利用すれば良いと思う。
転勤族でない場合は子供の留学費用がかかるが、日本で有名進学塾・家庭教師をつけた場合と比較してみたらどうだろうか。
それでも合格するとは限らないのだから、可能性が限りなく高い留学は格好の選択肢だと思うのだが。

韓国人に先見性は素晴らしい。このことを15年以上前から知っていたらしい。
私自身は、サイパンに来てKohinoorを始め、韓国人生徒の母親から将来の展望を聞かされ、SATレッスンを頼まれた時に、初めて帰国子女枠の有益性を知った。

このことを知っていたら、自分の子を留学させていたのにと悔やんだが、それもあとの祭り。
今は、アメリカの有名大学を目指している生徒たちに夢を託している。

2008年12月14日日曜日

英語圏の親子留学

最近Kohinoorに問い合わせが増えているのが、親子留学(母子留学)だ。
お子さんは幼稚園から小学生低学年が多い。
来年1月にも1組、幼稚園生を持つ母子が長期留学することになっている。

この時期から英語圏であるサイパンに正規留学して、英語をマスターしようと考えておられる。
これは非常にお子さんにとっては恵まれた環境で、5~7歳の時期から英語圏で英語を勉強し始めると、約2~3年間で英語の基礎をマスターし、発音もPhonics(フォニックス・発音とスペル)の授業があるので、ネイティブに限りなく近くなる。

最初、お子さんが幼稚園や小学校に慣れるまで少々大変だが、この時期の子供は、大人が考えているよりずっと逞しく適応力がある。

それよりも親の方が英語圏に慣れるかどうかの方が問題かも知れない。
問題といっても重大なことではなく、子供の送迎の際にクラスメートの母親や先生とちょっとした挨拶や世間話ができるかどうか程度のことだ。

英語が苦手だとおっしゃる母親から、学校の三者面談の通訳を頼まれることがある。
日本と同じように、科目の成績・学校での生活ぶりなど先生が説明する。
私は通訳ではなく、Tutor(家庭教師)という立場で参加することにしている、実際そうだから。

ネイティブの先生の観察力は、日本の先生と同じようによく生徒を観察・指導していると感じる。
特に感じることは、協調性・リーダーシップに対する考え方が、日本よりも重きをなしているのが特徴ではないかと思う。

自由主義のアメリカだからリーダーシップの件は当然だと思ったが、協調性の件に関してはすこし以外だった。
幼少時は、数人のグループで工作したり、絵を描いたりする。
小学校高学年になるとProject(プロジェクト)の名目で各教科において研究・レポート・発表という形式でグループで取り組む機会が増えてくる。
その前哨戦をこの幼稚園から~小学校低学年時期にトレーニングしていると聞いた。

Projectは子供だけではなく、大人になってからも社会で通用する概念だ。
一人で考え、行動することも自主性を養うので良い事だが、グループのメンバーが意見を述べ合い、方向付け結論を出していくという考え方には、現在のアメリカにおける政治・経済活動の原点を見ているような気がする。

きっとこの幼少時期からの教育が浸透していて、高校・大学にもなるとDebate(ディベート・討論)スキルもプラスされることになってくるので、アメリカ人には全く抵抗がないのであろう。

高校生にもなると模擬裁判を行う。
裁判官は現役の裁判官もしくは弁護士、検事側・弁護側・証人・陪審員を高校生が演じる。
生徒の要望で見学したことがあるが、内容は弁護士が生徒を指導していることもあって、検察側・弁護側とも素晴らしい論法を組み立てている。
授業の一部でもあるが、コンテスト形式で行われる所が、またアメリカならでは。
因みに生徒の高校は残念ながら2位だった。

これは一つの例だが、それ以外にもソシアルスタディ(社会)やサイエンス(科学)プロジェクトなど、高学年に備えて幼少時から英語だけではなく、様々なスキルを学校で学ぶ。
英語がマスターできる上、このようなスキルをマスターできるということが海外留学の大きなメリットではないかと思う。

母親はお子さんに英語を教わってください。
通訳もお子さんができようになりますから、生活に慣れるまで最初は大変でしょうが、挨拶と世間話程度の英語はマスターしましょう。

また他の方法として、母親は英語のレッスンを受けることも可能だ。
英語のレッスン終了後は、英語力をビジネスレベルに上げるため、サイパンの北マリアナ大学に入学希望の母親もいらっしゃる。
この大学には初等教育課があるので、ビジネス英語だけではなく、プラスアルファーとして小学校の先生の資格を取得することを目指しておられる。
アメリカ圏でも需要は高いが、日本に帰ってもインターナショナルスクールや英語の教師と引く手あまたであろう。
こうなってくると母子とも真剣に勉強するわけだから、本当の意味での親子留学の真髄となる。

英語圏の留学斡旋

ゲートウェイ21の破産のニュースを聞いた際に、留学を志して資金を支払ってしまった人は、本当に困ったのだろうなと心が痛んだ。
留学先も決め、ビザを心待ちにして、留学準備の旅支度をしている真っ最中の人が多かったのでは。

このようなことが起こると留学斡旋に対しての不信感が広がっていく。
留学先の学校先等への手続きやビザなどをすべて自分で行えば、そのようなことは起こらないのだが、なかなか一般の方には手続きの複雑さや英語の障害もあり、留学斡旋の企業や個人に依頼するのが一般的なのだろう。

英語圏への海外留学には夢がある。
自身の英語のスキルアップ、進学など人それぞれの思いを託し、海外で夢を実現しようと資金を用意するわけだ。

オーストラリアなどのワーキングビザなどの特殊なビザを除いて、学生ビザの身分では就労はできない。
あくまでも学生の身分なので、働きながら勉学することが許されていない。
学校内でのアルバイトなどは一部認められてはいるが。

そのため正規留学の場合は、1年分以上の学費・滞在費を準備しなければならない。
残高証明やスポンサーの証明書など、留学資金を証明する書類などが必要になってくる。

英語圏であるサイパンはどうかというと、アメリカ領ではあるが自治領なので、アメリカ本国とは少し事情が異なっている。
学生ビザを取得するための資金証明は学費前納だけで、生活費などの件は除外されている。
またスポンサーになる人がサイパンに居住していれば、学生ビザではなくスポンサードビザを取得し留学することも可能である。

現在は自治領のため、アメリカ本国に比べ入国管理が緩やかであるが、2009年6月以降は、入国管理を行っている移民局がアメリカ統治になるために、学生ビザに関しても規制は厳しくなることが予想される。

留学斡旋を行っている機関が日本にしかない場合、現地の状況を知ることやビザなどの手続き、学校のフォローなどは難しいであろう。

Kohinoorはサイパンの進学学習塾だ。
サイパンに留学してきている生徒たちや現地の生徒たちが復習・予習のために通学してくる。
保護者の方や生徒から、現地の保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校・大学までと様々な情報が入ってくる。
そのため、一般的に知られている学校のレベルや特色だけでなく、学校のテキストや授業の内容、はたまた先生の性格までも含めたインサイド情報がおのずと入ってくる。

サイパンへ留学を希望される方のカウンセリングも行っている。
最近は留学の低年齢化が進み、幼稚園から英語圏での留学を希望される保護者が増えてきた。
バイリンガルになるためには6歳以下という通説が、日本でも浸透してきているのではないかと思っている。
この通説は、学習塾の生徒たちを見ているとよく納得できる。
幼稚園~小学校2年生までに留学を始めた生徒たちは、Phonics(フォニックス、スペルと発音の関係を教える音声学)を学習しているので、発音は限りなくネイティブになっている。

留学を希望される保護者の方は、留学先の現地を視察することがもっとも望ましい。
ツーリストで訪れたことはあっても、留学し生活するとなると全く別次元のことなので、ぜひ一度自分の足でお子さんを連れて学校や滞在先を確認することが大切だと思う。

先の留学斡旋の機関などを決して批判・批難しているわけではない。
自分の目で学校や滞在先を確認した後に、大切な子供を任せるのだったら安心できるし、そのためのコストや時間を惜しんではならないと思う。

百聞は一見にしかず、訪問してみると今まで疑問に思ってきたことや想像していたことなど、一気に解決した。
これは今までにサイパンへの海外留学を決定され、実際に留学されている保護者の方の生の意見である。

2008年12月13日土曜日

英語圏でESLのある小学校・中学校・高校

幼稚園や小学校低学年の時期に海外留学を始めた生徒はともかく、小学校高学年・中学生・高校生ともなると、入学・転入する英語圏の学校にESL(英語研修プログラム)が準備されているかどうかは、生徒の死活問題となる。

授業中、先生の言っていることはおろか、クラスメートとの会話さえ満足にコミュニケーションできない状態に陥ってしまう。
こうなると、授業中何の教科を勉強しているのか、先生がテキストのどのページの説明をしているのか、はたまた宿題が出ているようだが何をすべきなのかさっぱり解からないなど、留学どころかそれこそ登校拒否に追い込まれてしまう。

英語圏の学校は、留学生のためにESL(英語研修)を授業とは別のプログラムとして、準備しているかというとすべてがそうではなく、ローカル人のための学校には、ESLプログラムや教える先生が居ない。
英語圏で大都市圏や日本人が多く居住する地域には、留学生を受け入れるためのESLや日本人学校があることが多い。
このような環境に留学する場合は問題ないのであるが、それ以外の英語圏はかなりある。

英語圏であるここサイパンには日本語で授業を行う学校はなく、学校と名のつくところはすべてインターナショナルスクールである。
各国からの人種のるつぼ、サイパンだからインターナショナルになるのは至極当然のことではあるが。
ESLプログラムが用意されている学校は数少なく、またそのレッスン内容も充分とは言えない。

それでも各国から留学生が殺到する。最近多いのは、韓国・中国である。
アジアから近いこと、物価が安く、治安が良いこと。
理由は様々だが、親子留学(母子留学)あるいは生徒一人で留学する例が圧倒的に多い。

彼(女)たちが、あまり整備されていないESL環境でも何とかやっていける背景には、中国・韓国では小学生から英語教育がスタートしているという背景がひとつにある。
もう一つは、サイパンには中国・韓国のコミュニティがあり、留学生の先輩である高校生や大学生が、新たに留学してきた小学生に英語を教える環境に恵まれているということだ。

このことは、特に韓国ではよく知られていて、アメリカの有名大学進学するステップとして、高校を卒業するまでの時期をサイパンで勉強し、その間TOEFL、SATでハイスコアをマークして奨学金をもらい、アメリカの有名大学に留学する。
このパターンが出来上がっている上、数多くの合格実績があるので、韓国人の家庭・生徒は安心してサイパンに留学してくる。

サイパンへの正規留学に関する知識情報において、日本はかなり後れを取っている。
サイパンは英語圏であることすら知らない人が多いのではないかと思う。

アメリカ国内の私設ESLには、かなりすぐれたメソッドを駆使して、数ヶ月で英語の基礎をマスターさせるセンターもあるが、レベル分けされているとはいえ、その授業内容についていくのは相当大変だということは、実践者しかあまり知らないのでは。
特に正規留学を対象とする場合、学年に拘わらず(小学校高学年でも)高レベルの英語力を要求される。

英語のレベルを上げていくためには、確かに努力も必要なのである。
ただESLを受講していれば英語レベルが上がると思っていたら大きな間違いである。

ESLプログラムがあるに越したことはないが、どの程度学校の授業に対してフォローできるESLなのか。
その内容をしっかり見据える必要があるということを、留学する生徒のために、親は情報を明確化しておく必要がある。

子供は頭が柔らかいから、すぐに英語を覚えバイリンガルになるからというのは親の勝手な期待で、実際のテキストや学校の授業で使われる英語が小学3年生でも、日本の高校生レベルの英語力がないと理解できないという現実を知らないのでないだろうか。

授業を受けて勉強するのは生徒なのだから、親の勝手な期待で留学させるのではなく、現実を直視しながら目標に向かって一歩づつ進んでいけば、必ず海外留学は子供を大きく成長させることは間違いない。
今までKohinoorで見てきた留学生の生徒達は、数ヶ月間サイパンの学校に通学すると、間違いなく世界的な視野で物事を判断できるように育ってきましたから。

同じサイパンに住む外国人の境遇を見て、日本人に生まれ育ててもらったことを親に感謝する生徒、日本って本当に美しい国なんだと関心する生徒、コミュニケーション手段としての英語をマスターすることの大切さなど、感じることは生徒様々だが、日本を離れて生活して初めて気づく事象を自分の五感で捉え、様々なことを体得していく様子は傍から見ていても頼もしく思える。

英語圏の中学・高校一貫教育の進学校

日本では、国立大学や有名私立大学を目指す小学生たちは、進学実績で定評のある中学・高校一貫の進学校に入学するため、難関中学受験を突破しようと日々頑張っている。

ゆとり教育のさなか、小学校の授業の1年先を進学学習塾で勉強し、演習問題を山ほどする。
確かにそこまでしないと、有名な中高一貫校には合格できない。

私も昨年、父親の転勤のため小学6年生1学期の時点で、英語圏であるサイパンに転校してきた受験予備軍の女生徒を教えたことがある。聡明で努力家であった。
中学受験を目指していたので、受験科目にない英語は全く勉強せず主要4教科だけを隈なくマスターしてきたことは一目瞭然だった。

父親の転勤のため、泣く泣く中学受験をあきらめサイパンに来ることになったわけなので、いづれ日本に戻るために学年を落とすことはできない環境だった。
そのため5thグレード最終学期に編入し、英語のシャワーに戸惑いながらも、その後毎日2時間~3時間英語のトレーニングを続け、今年6thグレードを最優秀の成績で卒業することができた。
英語をマスターしようとする本人の努力には、すさまじい集中力と感性が感じられ、日々英語のスキルは目に見えるようにアップしたものだ。

その後、サイパンに在る中高一貫の進学校へ入学すると思いきや、急遽父親の転勤のためグアムに引っ越しした。
最近聞いたところによると、グアムの有名中高一貫の進学校でもトップクラスとのことだ。
教え子が巣立っていくのは寂しいが、その後大きく羽ばたいている状況を聞くと、うれしい限りである。

また、今年その中高一貫の進学校に入学した日本人女生徒の場合、以前の小学校では、学年で断トツトップだったのに、この学校に移ってからは真ん中ぐらいの成績だと最近嘆いていたが、そんなことはない。
その学校の学年(1クラス10数名しかいない)で真ん中だったらサイパン中の同学年でトップ10以内じゃないかと話してあげると、納得し満足の笑顔を見せた。

その学校には、日本人がほとんどいない。
寂しい限りだ。日本人は優秀なのになぜなかなか入学できないのか?
その答えは、レベルの高い主要4教科のテストに合格しないと入学できないからだ。
しかも学校の方針で、定員に満たなくても学校が要求する成績レベルに満たない生徒は除外される。だから実際に人数の少ない学年は、10人足らずということもある。

1日の宿題の量は、最低でも2~3時間かかる。
テキストの内容は他の学校に比較してレベルが高く、各科目の進行スピードは速い。
日本の中高一貫進学校の場合とまったく同じだ。

なぜそんな進学校がサイパンにあるのかは不思議だが、あってもおかしくはない。
なぜならアジアの優秀な頭脳を持った小学生達が、アメリカの有名大学進学を目指し、サイパンに集結しているからだ。
学生ビザ・投資ビザ・就労ビザなどアメリカ本土に比較すると容易に入手できることと、アジアから近郊であるということが作用している。

年中暑い気候と物価が高くないので生活しやすく、治安もよい。
生徒たちと家族にとっては海外留学のための格好の条件が揃っている。

中高一貫の校長とは機会あるごとに話すようにしているが、彼の考え方はシンプルだ。
生徒達の可能性を追及し、才能を最大限に伸ばす。
私の考え方とも一致するので、毎年優秀な生徒で、アメリカの大学進学を希望する小学生がKohinoorにいれば紹介している。

そこへ入るのも大変、授業についていくのも大変、しかし学力の部分では明らかに身についていく。
アメリカの大学共通一次テストSATのテスト内容を上回るレベルの授業が展開されるので、私の立場としては入学後の生徒の学業をフォローしながらも、授業の本筋は安心して学校に任せられる。

1学年1クラス10数名というのは、本当に恵まれた環境だと思う。
まして、1年間にかかる学費は日本の3分の1程度である。
海外留学すると確かに総費用はかかるが、こんな学校に入学して勉強できるのだったら、子供の将来のためにお金をかける価値は充分あると思う。

英語圏に留学してネイティブの発音になるには

英語圏の海外留学を目指す家庭からよく問い合わせがあるのは、何歳から子供を留学すればネイティブの発音になることができますかということだ。

ネイティブの定義も難しいのだが、アメリカ人・イギリス人のキャスターが話すフォーマルな英語を、仮に日本人が正確な発音で話そうと思うと、私は小学校2年生までが限界ではないかと思っている。

言語学や脳に関する研究をされている先生方に会った際にも興味があり、この件に関して聞き及んだことがある。
ある人は3歳まで、ある人は5歳~6歳までと説き、様々な論説を聞いた。
人間の脳の機能を考えると、小学校入学前の時期までに、英語圏で日常生活を英語で過ごした場合に、ネイティブになれる可能性が非常に高いらしい。

Kohinoorに来ている日本人生徒の例を見ると、幼稚園~小学校で行われるPhonics(フォニックス・スペルと発音の関係の音声学)の授業を受けている生徒たちの発音は、限りなくネイティブに近いもしくはネイティブである。
もちろんサイパンで生まれ育った子供たちは、人種を問わずアメリカ市民権を持つ権利があり、英語環境で日常を過ごした場合、間違いなくネイティブの発音になる。

幼少時期に多各国語をマスターすることに意義を唱える方もいるが、生徒たちを見ている限りにおいて決してそんなことはない。
日本語・英語の会話ををなんなくこなす。
ただし、漢字や日本語特有の言い回し、語彙が同学年の日本人に比較すると不足するのはしようがない事だ。

最初は英語を全く知らずにサイパンにきて1年過ぎるてくると、英語で物事を考えだすようになってくる。 勉強のこと・日常生活のことすべて脳の中の思考パターンを英語で発想し、考え、行動するようになる。

こうなると発音もそうだが、思考パターンが限りなくネイティブに近くなり、日本人特有の性格や体格までも変化が生じるようになってくる。
これをよしとするかどうかも議論があるが、英語圏で育っても日本人のマインドを忘れていないバイリンガルの日本人生徒もいる。

一方、現地チャモロ人の生徒の中には、日本語を全く話せないのに日本人気質を持っている生徒達がいる。
鼻水が出るのでトイレットペーパーをくださいと言うので、素直にティッシュではなくトイレットペーパーを差し出したところ、巻きロールの切れ目の1つ目で切ってきれいに4つ折りにたたんで鼻を噛んでいる。
そんなことせずにもっとふんだんに使ったらと言ったところ、家庭で父母からもったいないからそうしなさいとしつけされているらしい。
興味があったので詳しく聞いてみると、生徒の祖父母が戦時中日本の統治下の教育を受けたそうだ。その際に学んだ質実剛健の精神と礼儀をわきまえる日本教育にすごく感銘し、それ以来家訓として代々引き継がれているとのことだった。
その家庭はサイパンでも特にリッチな家庭なので、余計に感心させられた。

そのようなチャモロ人はその家庭だけではない。
日本の古き良き時代の文化・慣習を尊ぶ外国人がたくさんサイパンには住んでいる。

日本人が日本人らしくなくなった、抽象的な言い方だが確かにそうかもしれない。
祖先や親、目上の人を敬うなど現在の日本では死語に近いのでは。

異文化コミュニケーションの原点は、先ほどのチャモロ人生徒の祖父母のように、他の国の文化・伝統に触れた際に自分自身が感じ、自分のものとして取り入れ、良いことは子供たちにも伝承していくという日常的な生活から始まるものではないかと思う。

発音がネイティブだから英語圏の人と話がスムーズにいくとは限らない。
発音は良いに越したことはないが、中身が見当違いだったり、意味のない会話、vocabularyが的確でない場合などは、一般社会やビジネスの世界では通用しない。

生前SONYの盛田会長の英語スピーチがアメリカ国内で高く評価されたように、発音はよくなくても自分の考えと内容のあることをしっかりと述べることが重要なのだ。
最近ではアメリカ大統領の演説しかり、あまり難しいVocabularyは使わなくても、万人に通じる言葉を多用し、的確に相手に意志を伝えることが重要だということだ。

ネイティブの発音を求めるなら、遅くとも小学生1~2年生には英語圏に留学した方が良い。
Phonicsは英語の基礎を習得する上で重要な意味を持っている。

2008年12月12日金曜日

アメリカの看護師資格

日本は看護師が大幅に不足している。
この状況はアメリカでも同じことだ。

看護師資格を持っている人は、比較的高給で病院に勤務している。
勤務は確かに激務であると聞くが、病人の世話をする世の中になくてはならない職業である。

以前ER(Emergency Room)というアメリカでエミー賞をとったテレビドラマを一話も欠かさず食い入るように見ていた時期があった。
その中に出てくる一般会話の部分は理解できたが、ER(緊急治療室)内での、医師と看護師間の病理専門英語にはさすが解らないVocabularyが多かったことを記憶している。
看護師は、その専門英語を理解でき、医師に匹敵するくらいの知識がないと務まらないのだなと感心したものだ。

アメリカの看護師になるには大学で150単位以上が必要だ。
これは、他の学部に比べると確かに多い。
人間の生命を預かるわけだから知識取得にかかる時間は、当然のことながら大変なわけだ。
その後NCLEX(看護師になるためのテスト)のテストに合格すれば、晴れて看護師となることができる。

サイパンにもNCLEXテスト会場があったので、フィリピン人が年間数百名受験していた。
アメリカは遠いし、ビザが取得しづらいという理由から。
現在サイパンの北マリアナ大学で看護師学科があるが、以前ほどの学生はいないと聞いている。

Kohinoorの生徒のお母さんも看護師だったが、今年アメリカ・カリフォルニア州に転職した。
サイパンはますます看護師不足、薬剤師不足、もちろん医師不足に泣いている。
日本の国家資格がアメリカ(サイパン)でも通用すれば、サイパンに来る意志のある医師や看護師はいるのに、国家間の医療の法制度は何とかならないものだろうか。
アメリカからも多分同じことを言われているのだろうな。
日本は閉鎖的だと。

日本においては、特別養護老人施設のヘルパーの人材不足も顕著になっている現在、サイパンに居住している中国の看護師達はそれを知って、ぜひ日本で介護の仕事をしたいと、どういうわけかKohinoorに連絡が来る。
大勢居住しているフィリピン人のケアギバー(ヘルパー)資格も持った人たちも同様だ。
彼(女)たちは、サイパンで本来の職種ではなく、マッサージやメイドなどの仕事に就いている。
アメリカの法律が資格を認めないからだ。

ヘルパーが不足し閉鎖に追い込まれている日本の特別養護老人施設を救うためにも、年間1000名とかケチなことを言わないで、もっと門戸を開いて優秀な人材を世界から募ってほしいものだ。
彼(女)らはもちろん所得目当ての部分も当然あるが、一生懸命勤務してくれれば日本の老人社会を救ってくれる救世主になるはずだ。

日本で仕事に就いた場合、言葉の問題は当然出てくるが、彼(女)たちを2~3ヶ月間日本語のトレーニングをする機会があった。
彼(女)たちは、日本人が英語を覚えるより、はるかに早く日本語を覚える能力をほとんどの人が持っていた。
その時はハングリー精神と情熱から来ていると感じた。
日本人がリッチになって忘れてしまったあの経済成長を培った時代を支えたヤル気だ。
アジアの振興パワーに圧倒されないように頑張らなくてはと再認識されられたものだ。

アメリカの大学留学に必要なSAT

SAT(Scholastic Assessment Test)は、アメリカの主要大学・有名大学を受験する際に、TOEFLと並行して要求される。

TOEFLだけでまたTOEFLなしでも入学できる大学ももちろん在るが、日本人が聞きなじみのあるアメリカの大学のほとんどがSATのスコアを入学審査条件としている。

英語Critical Reading800点、Writing800点と数学800点、計2400点によるテストである。
入学基準で、90%以上や95%以上というのは2400点満点中何%得点できたかという意味だ。

英語についてはTOEFLが母国語を英語としない留学生対象のテストなのに比べ、SATはアメリカ人の高校生が日本の共通一次試験のように、血眼になってポイントを上げようと努力するテストなので、英語の難易度は相当高い。

私が思うにTOEFLは、ネイティブの生徒たちにとっては7thグレード(中学1年生~中学2年生)でも英語のvocabularyについては問題なく読みこなせるはずだ。
試しにKohinoorの7thグレードの生徒にReadingセクションを数問試したところ、100%正解とはいかなかったが70%以上のできであった。

このことは何を意味するかというと、TOEFLは英語のトレーニングをこなしていけば、入学ラインまでもっていくことは比較的容易であるが、SAT英語は留学期間の短い留学生にとって、至難のテストであるということだ。
SATの対象学年である11th~12thグレード(高校2年~3年生)までに、少なくとも3~5年間以上の留学期間がないと、このSATテストで高得点をマークすることは非常に難しいと思われる。

逆に小学生から英語圏へ留学を始めた生徒たちにとっては、さほどSATが驚異の英語レベルであるとは思えない。
やはり英語は、会話の部分を抜きに考えると語学なのだ。
一つの語学をネイティブ並みの水準まで引き上げるには、努力も必要だが時間もかかるということ。

ネイティブですらSATグラマーに手を焼くくらいだから、テストというポイントで評価される世界では、
語学の基礎は非常に重要な要素である。
英会話はできるけれど高度なグラマーはどうも苦手だという留学生は大勢いる。

日本式のグラマー主体の英語教育は、このSATの分野では活かされる。
ただ、SATで使われる英語のレベルは日本の大学の英文科以上なので、英語で行われる各教科の授業に何時間浸かっていたかが、ポイントの高低を決める要因となる。

数学については、高校の数学Ⅰ~数学ⅡBのレベルがマスタできている生徒であれば、さほど難しくはないと思える。
ただしポイントは英語と同じことだが、出題は当然英語なので、数学で使われるvocabularyや独特の言い回し、日本の数学にはない概念や分野があるので、その部分を集中的に勉強する必要がある。

日本から短期留学してきた有名進学校の高校2年生の生徒も、計算に関する問題はスラスラと解答できたが、文章題については50%程度しかできなかった。
英語レベルが追いついていないというよりもむしろ、数学を英語の授業スタイルで受講していないので解けないと言った方が正確だろう。

このようにSATでハイスコアをマークするのは、英語の授業に接している時間が長ければ長いほど有利である。
留学期間が長ければ長いほど、SATを攻略することは容易となる。
もちろん日頃勉学をさぼっていたり、レベルの低い授業を受けていては無理だが。

2008年12月11日木曜日

英語圏のジュニア・キャンプ

小学生・中学生が春休みや夏休みなどの期間を利用して、英語研修やアクティビィティを楽しむために、英語圏で開催されるジュニアキャンプに参加する話はよく聞く。

通常1週間から1ヶ月位の開催が多いようだ。
英語圏というとアメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドをはじめとするれっきとした英語圏だけではなく、ヨーロッパやアジアでも英語研修ができるジュニアキャンプがある。

私の考え方からすると、この短期間に英語をマスターすることは難しいので、どこの国のキャンプに参加しても英語力のレベルアップという意味ではあまり差は無いのではないかと思う。
そんなに簡単に英語をマスターできるのなら、中学・高校・大学と8年間以上勉強した人は、すべて英語が話せるはずだ。

ジュニアキャンプのキャッチフレーズによく世界各国から子供たちが集まって、英語を勉強したり、一緒に課外活動やスポーツを楽しむことができますと詠ってあるが、良く考えてもらいたい。
英語圏の子供たちは、英語がもちろん話せるのでジュニアキャンプには参加しない。
参加者が多いのは、アジア・南米・中近東の家庭の子女である。

イメージ的に世界各国というと、白人の子供たちがたくさんいて一緒に勉強したり、遊んだりするのだろうなと想像しがちだが、実際は日本人とおなじ有色人種が集まるキャンプなのだ。

それでも共通語は英語しかないので、みんな知っているだけの単語を並べながら頑張って英語を話してコミュニケーションを図ろうとする。
そのことは、非常に効果があるように思えるが実際参加している子供たちの英会話レベルは、アルファベットは理解できるが英文法の基礎もなく、英語圏の幼稚園~小学生1年生レベル程度と思われる。

参加した人によって意見はまちまちだろうが、英語が上達したと聞くことはまず少ない。
英語に接することができ、外国から来ている生徒と友達になった、これはよく聞く。

何とかしてコミュニケーションをとりながら共同生活する環境は素晴らしいと思うが、もう少しアカデミックな志向が加味されたキャンプがないものかと思う。
キャンプの世界だけにとどまることなく、現地の子供たちが何をして、どんな勉強をしているのかなど実際の英語圏のジュニア世代がどんな生活を過ごしているのかを見せてやることが、異文化コミュニケーションの触りになるのではないかと思っている。

大人が海外旅行に行って、名所や史跡だけの観光ではなく、現地の生活に直に触れた時、何がしかの感動とショックを覚えるのと同じように、ジュニアたちにも現地の生活の一部分でも良いので体験させてやれば、もっと心に残る新鮮なジュニアキャンプになるのではないかと思う。

アメリカ領サイパンは英語圏だ。
限られた狭い島なので観光スポットも限られているが、島の周りはすべてきれいな海。
グアムは周りは海だが泳げない場所が多いが、サイパンはほとんど何処でも泳げる。
そんな環境が生徒達には最高らしく、毎年のようにKohinoorのジュニアキャンプに参加するジュニアもいるが、彼らが異口同音に言うことは、現地チャモロの子供たち砂浜でバーベキューしたり、遊んだりしたことが一番印象に残っているようだ。

キャンプ期間中に英語がどの程度伸びたかというと、レッスンで覚えたフレーズやVocabularyはもちろんのこと、面白いことに英語で現地の人や子供たちとコミュニケーションできなかった内容の会話を、インストラクターに質問し、ことごとくそれを努力せずにマスターしていったことだ。

『必要は発明の母』とはよく言ったもので、こんな所にも英会話上達の切り口があることを気づかされた。
英語で伝えられなかった会話をマスターし、レベルが上がってくるとまた判らない個所が出てくるので尋ねる。
その繰り返しでどんどん表現が上手になり、現地の人ともコミュニケーションが図れるようになってくる。
言わば実践主義のサバイバルイングリッシュ習得スタイルが受けている。
さりとてブロークンイングリッシュは最初は良いが、決して英会話上達の早道ではない。

2008年12月10日水曜日

子ども一人で行く英語圏の正規留学

ここで言う正規留学というのは、1年以上の留学のことを指している。
何年生(何歳)からだったら海外留学が可能なのか?

まず受け入れ先の国・州の法律によって異なる。
もちろん留学先の、知人・保証人・寮の有無や受け入れ先の学校のルールなどに依って決まってくる。

これらは客観的な環境・背景などに決定される要因であるが、果たして実際に留学する子供はどうなのか?
留学を希望する生徒たちの低年齢化が間違いなく進行している。
30年以上前は大学・大学院への進学を希望する高校生や大学生が主流だったが、その後どんどんと低年齢化し、中学生~高校生に広がってきた。

ところが最近数年のトレンドは、小学生かそれ以下のジュニア世代の留学希望者のシェアが急激に増えているということだ。

私が今までサマーキャンプに子ども一人で短期留学してきたジュニアたちの日常生活を見る限り、自分の身の回りのことがある程度でき、ホームシックにかからない年齢は、小学生5年生以上ではないかと思っている。
学校の行事などで、クラスメートたちや友人と修学旅行やキャンプなど外泊することに慣れ始め、自分の身の回りのことが一通りこなせる年齢水準だ。

それより低学年の生徒たちは、授業中や課外授業は生き生きとしているが、いざ就寝の頃になると親元が恋しく泣き始めたり、駄々をこねたりと大変なことになる。
年齢的にも10歳以下なのだらそれも無理はない。

幼少期から英語圏で生活すると、バイリンガルになる確率は非常に高い。
かといって保護者が留学に同行できるのであれば言うことはないのだが、なかなかそうはいかない。

英語圏であるサイパンには、韓国からの親子留学(母子留学)が留学生の中心的存在だ。
早い人は幼稚園から、遅い人でも小学生3年生になる時期には留学を始める。
このことは、小学3年生からアメリカの教育システムの主要4教科が本格的に始まることをよく知っているからに他ならない。

現在中国は、小学校6年間で約1,000時間の英語を学ぶ教育基準となっている。
これは平均的な日本の中学3年間の英語時間を大きく上回る。
韓国についても同様に、小学生から英語教育が始まっている。

母国で小学生から英語を学習するだけでは物足らない、もっと本格的に英語をマスターしようとするアジアからの留学生が、ビザ取得がアメリカ本土よりも比較的易しく、物価も安いサイパンを目指してやってくる。

日本は恵まれているので、この感覚は分かりにくい部分もあるが、ドルや円といった強い国際的な通貨の下で生活基盤を持たない国の人たちは、必死の思いでアメリカを目指しているのだ。

海外留学カッコいい、英語ができるようになる、バイリンガルになりたい・・・このことは日本人特有の留学願望で他の国の人たちはもっとクールにドライに留学を考えている。
一言でいえば、将来のために、子供が生き残れるように、留学する家庭はもちろん貧困家庭ではないのだが、将来の人生設計を確実にするため、現実的なステップとして留学を捉えていることは間違いない。

海外留学には夢がある、この思いは決して否定しない。
しかしもっと現実的に、留学して何を得るのかを具体的に想定し、ステップを踏んでいく方がもっと実益と効果を得ることができる留学生活となる。

小学生に具体的な目的を求めてもそれは無理難題で、親が子供の進路を決定することは、この小学生時期には難しいし、またすべきではないと思うが、留学で何を子供に習得してもらいたいかを明確にすることはできるはずだ。

目的意識のある留学は、実のある留学になる。
もし小学生時期に子供の留学を考えているのなら、まずどうして留学させたいか、なにを子供に身につけさせたいか、このことをしっかり考えるステップを踏むだけで、その留学は成功する可能性が非常に高くなる。

留学を成功させるために、子供を一人で行かせた方が良いのか、親も一緒に行って身の回りの世話をした方が良いのか、どこへ行けばよいのか、どんな学校が良いかなど様々な疑問や問題を、一つ一つクリアすれば、海外留学の意義を自分自身が掌握することになり、間違いなく成果ある留学生活を過ごすことができるはずだ。

2008年12月9日火曜日

英語圏のゴルフ留学

日本のゴルフ界では、石川遼君の最年少1億円プレーヤー誕生の話題で持ちきりだ。
たしかにタイガーウッズでさえプロトーナメントで優勝したのは20歳だったか?
そのことを考えると日米のプロゴルファーのレベル差を差し引いてもすばらしい快挙だ。

テレビでしか石川プロのプレーを見たことはないが、なかなかあれだけのプレーをティーンエージャーが続けていけるというのは並大抵の才能と努力ではないと感心する。

私はゴルフは下手だが、10年ほど前にアメリカカリフォルニア州、フロリダ州、ジョージア州の名門と言われるゴルフアカデミーにプロ志望の10代の日本人生徒たちを引率したことがある。
各々のゴルフアカデミーは特徴があり、レッスンプロによって異なるノウハウ・練習方法・コース練習・講義など、どれをとっても同じスタイルはなかった。

しかし共通してレッスンの内容を見て言えることは、個々人の体格・能力を最大限に引き出す眼力とテクニックをすべてのレッスンプロ達が持っていることだった。
一口に言うと簡単なことだが、これは相当スキルのあるレッスンプロでないとこうはいかない。
どうしても持論が先に来てしまい、ゴルフとはこうあるべきと理論づけてしまうのが一般のレッスンプロだ。
しかし彼らは違っていた。体力・筋力・体格等様々な身体的諸条件や精神的な要因によって当然ゴルフも変わってくる、だから個人に最も適しているゴルフスタイルをコーチしなければならないというポリシーを持っていた。

無理をさせずに遠くまで飛ばすことを当面の目標としているので、それぞれの生徒の身体的諸条件に見合ったスウィングを教え込む。
当然理論はあるのだが、あえて講義スタイルにするのではなく、楽しみながらも厳しくフォームを短期間のうちに生徒にマスターさせるテクニックに驚嘆した記憶がある。

やはりアメリカのレッスンプロのテクニックは歴史があり、最先端の理論とコンピュータを組み合わせ、クラブというツールにも細心の注意を払いながらゴルフの基礎を教え込むのが、現在最先端のスタイルだ。
このようなレッスンプロにつけば、1~2年もたたないうちに石川君とは言わないが、ゴルフに素養のある青少年なら間違いなくシングルプレーヤーになることであろう。

英語圏であるサイパンにも、アメリカゴルフアカデミー出身の優秀なレッスンプロがいる。
先日も会って話したのだが、最近韓国からゴルフ留学する生徒が増えているらしい。
確かにアメリカ・日本での韓国女子プロの躍進は目覚ましいものがあるのは周知のことだ。

サイパンで小学校~中学校~高校と通学しながらプロを目指すらしい。
その中の中学生の一人に会ってみると、身長は190cm 体格はガッシリ、7番アイアンで軽く打って180ヤードいい球筋だ。
勉学はあまり好きではないようだ、でもゴルフなら朝から晩までボールを打っていても全く苦にならないという、まさにゴルフの申し子だ。
このレベルの生徒が10名ほどサイパンにいるそうだ。

日本のジュニアゴルフにももちろんたくさんの良い選手がそろってきているだろうが、本場英語圏で活躍するには、いくら個人プレーのスポーツだからと言っても英語ができないのでは話にならない。
スポンサーやマネージャー・トレーナーが同行し、至れり尽くせりでプロスタートできるのなら良いが、エントリー・宿泊・飛行機・レンタカーの手配まで最初は自分でするのが、英語圏でプロゴルファーをスタートする一般的なスタイルだ。

その韓国の生徒はアメリカのスタンフォード大学を目指している。
やはりタイガーウッズの出身校を狙っているのか? 確かに全米1~2位を争う施設とコーチ陣がそろっているので、全米からもプロを目指すアメリカ人が殺到する大学だ。

私からの忠告として、ゴルフで朝から晩までも結構だが、SATで95~100%取得しないとスタンフォード大学は合格しないから、ゴルフにかける情熱を半分でよいので勉強にも向けるように・・・と。

その後しばらくして、ゴルフ練習場であまりその生徒を見かけなくなったので、レッスンプロに尋ねてみたところ、練習時間を制限して効率よくレッスンを行っているとのこと。
『きっと今頃は、英語と数学の復習をしているはずだよ、そのうち先生のところにSAT対策の件で訪ねたいと言っていたよ』とは、レッスンプロの回答。
これはひょっとすると、韓国バージョンのタイガーウッズ誕生の兆しかなと薄笑いした。

留学生の日常生活・・・高校生

高校生ともなると留学生活もガラッと様相が変わる。
その要因の一つは、サイパンはアメリカ圏だから16歳になると運転免許が取得できるからだ。
10thグレード(日本で言う高校1年生)になると、待っていたかのように運転免許証を発行する警察署に駆け込むことになる。

以前は、学科試験に合格すると60日間の仮免許発行、その後実地試験に通れば即運転免許証の発行といった簡単な流れだった。
最近法規を無視した交通事故・飲酒運転などが多いことと、アメリカの統治が支配的になる2009年度に向け、自動車教習所ができた。
学科は日本並みに、自動車教習所で約10時間程度のレッスンと路上教習を受けなけばいけないことになった。
これで事故が減るなら良いことではないかと思う。
いくら足代わりに車を使うと言っても、今までがあまりにも安易に運転資格を与え過ぎていた。

サイパンの道路を運転すると解る事だが、マナーというより運転技術の無さにはあきれ返ってしまうこともある。
アメリカのようにフリーウェイが無いし、道も単純だからまあ仕方があるまい。

というわけで、運転免許証を持ったほとんどの留学生たちは、親におねだりして車を買ってもらう。
新車・中古車、車種も様々。
通学は車を運転し学校まで行く、帰りも自分で運転して帰る。
一気に行動範囲が広がり、狭いサイパンを隈なくドライブすることになる。

心配されるのは交通事故のことだが、留学生の交通事故はあまり聞いたことがない。
せいぜい車をどこかにぶつけてボディが凹んだという程度だ。

日本流に考えると、16歳から運転免許証は早いのでは?と考える人もいるかもしれないが、自己責任で交通手段を確保し自分のことは自己完結する、このアメリカ的な考え方には賛同する。
アメリカ西部を開拓した際に、馬や幌馬車で草原や砂漠を踏破したアメリカンスピリッツがこんな所にも生きているのではと思う。

それで留学生たちは車を運転してどこへ行くのか?というと、学校・図書館・文具店・レストラン・ストア・ボーリング場・PCゲームセンターなどもちろん様々。
Kohinoorの高校生も車を買ってもらったと喜んで見せに来る生徒も多い。

公立校には通学バスがあるが、私立校の場合には保護者か保護者が承諾した人しか生徒の送迎をしてはならないことに定められている。
徒歩数分だからと言って、学校の近くの生徒も徒歩で通学することはできない。
もちろん学校が隣や迎えならば別の話だが。

高校生にもなると友人の輪も広がり、クラブ活動はもとよりパーティや催し物の機会も増え、スケジュールを忙しくこなしている生徒が多い。
アメリカは18歳まで義務教育(権利教育)なので、18歳までは教育を受ける権利がある。
また教育側は生徒の権利を阻害することはできない。
生徒を受け入れなければならないという義務がある。
もちろん結婚して子供もいる高校生も中には出てくるが、周りの人たちの目が温かくその生徒と子供を包んでいるので、疎外感を味わうことはまずないと思う。

このような姿を見ていると、教育の原点は何かと考えさせられる。
知恵・知識を授けることは大変重要なことなのだが、子供を誠意を持って育てること、良識ある大人に導くことなど、ヒトとしてあるべき姿を生徒たちに説いてあげることが教育の原点ではないのかと、英語圏であるサイパンで生徒たちを教えてきた私自身の考え方も少しづつ変化している。

2008年12月8日月曜日

留学生の日常生活・・・中学生

中学生になると学校によって異なるが、クラブ活動が盛んになってくる。
アメリカだからかバスケットボール・バレーボール・野球などのスポーツ、演劇、美術、ブラスバンド等の文科系クラブももちろんある。
特にスポーツに関しては小学生から引き続き、テニスや水泳など選手権に出る兵も芽を出してくる。

一般的に私立学校の場合は、学年の生徒数が15~40名くらいなので、あまり数多くのクラブはないが、指導者が居るとクラブが存続するといった様相をなしている。

季節ごとにそれぞれのスポーツの大会が行われ、生徒に誘われ観に行く機会がある。
プレーそのものは、日本やアメリカの中学生たちの優秀なクラブ生徒の運動レベルはないが、何かのんびりして気が休まるというか、白熱しているのは応援席ばかりなりといった表現がぴったり当てはまるのもサイパンならでは。
興奮してくると英語だけではなく、観客席から母国語が飛び出したりするのも人種のるつぼサイパンならでは光景だ。

こうして書いているとスポーツばかりかと思われるが、決してそのようなことはなく、ほとんどの生徒たちは難しくなっている各教科に追われている。
内容も深度も6thグレード(6年生)から急激に高まり、7th~8thグレードは覚えなければならないことが山ほどあるのだ。

宿題を1日3~4時間かかる程度の量を課す学校もある。
それでも生徒たちは頑張って毎日を乗り切っている。

生徒たちを見ていて偉いなと感心するのは、塾の休憩時間にさっと本を取り出し読書する習慣を持っている生徒が多い事だ。
宿題かと尋ねたところ、そうではなく新刊本で興味があるからと言ってさりげなく答えてくれた。
確かに見るとハリーポッターの最終版。
作者が小中学生に読めるようにと執筆したとは聞いていたが、あの厚さの原書をすらすら読むリーディング力は、日本の大学の英文科の学生も真っ青になるに違いない。
もちろんハリーポッターだけではなく小説や随筆などで、さりとて決して漫画の本はない。

この読書する習慣というのは非常に大切なことだ。
英語力をアップさせる要因の70%はリーディングスキルである。
リスニング・ライティング・スピーキングは30%である。

留学生に私が望んでいるのは、英語圏に留学して数年で英語を話せるようになるのは当たり前。
英語の本当の力をつけようと思ったら、読書は欠かせない。
英語のエッセンスが詰まっている。
このことは日本語に置き換えても同じこと。
英語のレベルを上げたいのなら読書・新聞・雑誌・WEBなんでもいい、活字を読むこと。

ネイティブは慣習的にこのことをよく知っている。
語学のレベルで教養レベルや生活レベルが判断されてしまうことを、そしてアメリカは結構この辺りの差別ではなく区別が、しっかりと根付いている国だから。
自由主義という名の下にある差別と区別、アメリカに長期留学する中学生時代には、きっと気づくことになるだろう。

だからといってアメリカを毛嫌いすることはない。
どこの国でも似たような差別や区別は水面下で存在している。
せっかく英語圏に留学したのだから、アメリカが持っている浅くて広い文化の根底を知り、理解できるようなると、自分自身の視野と価値観が広がり、将来の大学進学やビジネス、人生においても必ず役立つことは間違いない。

留学生の日常生活・・・小学生

学年・男女もちろん個人の趣味・保護者の意志など、どのようなおけいこ事や習い事をするのかは、様々である。

留学生だからまずは英語をマスターして学校の授業についていけること。
各教科の単位を落とさないこと。
この最低ラインをまずクリアできれば、サイパンの環境を活かした様々なアクティビティが留学生を待っている。

例として活動的な女生徒に人気があるのはダンスレッスン。
クラシックからモダンジャズ、ヒップホップとダンスのカテゴリーも結構ある。
それぞれのジャンルのプロであるロシア人・アメリカ人・フィリピン人などがインストラクターとして生徒たちに教えている。
英語圏であるサイパンはアメリカ領なので、特にヒップホップ系のダンスに人気がある。

先日もKohinoorの生徒に誘われてダンスパーフォーマンスを観に行ったが、日頃勉強している時の顔とは全く違い、生き生きして踊っている。
やはり勉強よりダンスの方が楽しいのだろうなと思うと心境は複雑だが、その娘たちの顔を見ていると勉強するだけではなく、自分を表現する手段として、満身の笑顔で体を動かすダンスも彼女たちの生活の一部になっているのだなと心底思えた。

男子生徒に人気があるのはサッカー。
最近は女子だけのチームもでき上がっているようだ。
サイパンは年中暑いので、外で走り回って大丈夫なのかと心配して試合を観に行ったことがあるが、環境に慣れる子供たちの適応性はすばらしく1時間以上走り回っても平気なようだ。
ただその後の勉強のレッスン時にはさすがに体力が持たず、居眠りが多いのが玉に瑕だけれど。

男子にも女子にも人気が高いのがゴルフと水泳。
親が子供に奨めていることもあるが、結構子供たちは夢中になっている。
水泳は暑いサイパンでは恰好のスポーツ。
50メートル競泳用プールが1ヶ所あるので、本格的な競泳を教える水泳教室がある。
ゴルフ場は子供もプレー可能なので、基礎のゴルフレッスンが修了すればコースデビューもできる。
何と言ってもよい環境なのは、学校が午前中の日は午後からでも、休日などはいつでも気軽にコースを回れることだ。
車で5~10分で各ゴルフ場にたどりつける環境は狭いサイパンならではだ。

週末ともなるとサイパンに一軒ある映画館で出会うことが多い。
一軒と言っても中に入ると5~8本の上映をしているマルチシネマタイプ。
子供から大人まで各人が好きな映画を一緒に見たり、あるいは年齢・趣味に合った映画を観て帰りは一緒に帰ったりもできる。
娯楽の少ないサイパンの一つの楽しみ方だろう。
日本語・英語スーパーはないけれどヒアリングの勉強にもなるし、日本より数ヶ月早くアメリカの新作映画が見れるのもサイパンならでは。

娯楽施設が軒並みある日本を知っているとサイパンはもちろん田舎だが、留学生は勉強することが本分なのだからこの程度でも良いのではないかと思う。
有り余るくらいの情報やモノに慣れ浸しんだ日本人にとっては物足らないだろうが、すべてのモノが揃っていない場所で、知恵を絞って様々な対応策を考えることも、頭の体操になって結構刺激的だと思うのは私だけだろうか。

2008年12月7日日曜日

英語圏のフリースクール

登校拒否や中退、身体的・精神的な理由等に依り、学業を途中で辞めざるを得ない状況に陥ることが、最近の日本では増えてきている。

この状況をどのように考え、改善していくかは教育の根本的な問題に絡むことになるので一概にこうすれば良いとは軽々しくは言えない。
ただひとつ、そうなった場合の保護者の精神的な気苦労と、生徒本人の挫折感・倦怠感をどのように取り除くかにあると思う。
もし様々な理由に一つに日本の教育制度に起因する問題であるのなら、場所を変えてみることも問題解決の糸口になるのではないかと思う。
フリースクールに継続して通学できるかどうかは、存在する場所に起因することも 多いにあるのではないかと思う。

知人の娘さんが中学時代に登校拒否になり、日本の高校への進学をあきらめスイスに留学した。
その後スイスの高校を卒業し、現在はアメリカの大学で文学と音楽(バイオリン)のダブルメジャー(2つの学校・学部を専攻すること)で学生生活を横臥している。

あれほど物静かだった彼女が、昨年Kohinoorが演出したホテルの演奏会のためにサイパンを訪れた時の印象はまるで別人のようだった。
英語はネイティブ並みに話し、ホールで行われたバイオリンとピアノの協奏曲を観衆の前で見事に演奏し、演奏後行われた現地新聞社の記者からのインタビューにも堂々と胸を張って対応していた。
わずか数年でこれほどまでに変われるものかと目を疑ってしまった。

インタビュー後に彼女の母親から聞いたのだが、登校拒否が始まったときどうしたらよいか途方に暮れてしまった、どうすれば良いか誰も教えてくれない、自分でインターネットを検索しやっとの思いでスイスの寄宿制のインターナショナルスクールを探したとのこと。
最初はそこそこしか英語もできず苦労したが、高校2年生にもなると見違えるように活発になり、スイス近郊の国々を課外活動で回ったりしたとのことだった。

ただ当初問題だったのは、1年間の学校にかかる経費が高くまた、娘に会いに行こうと思ってもスイスはやはり遠く1年に1回訪問するのが精いっぱいだったらしい。
確かにスイス・イギリスなど全寮制の学校の経費は、年間500~1,000万円かかるので、一般家庭では留学を続けさせることは確かに厳しい。
この娘さんの場合は確かに恵まれた環境だったかもしれないが、もしあの時母親が決断しなければ、今の娘の姿はなかったとしみじみ語っていた言葉が印象的だった。

サイパンはアメリカ領なので英語圏である、しかも日本から一番近い英語圏。
世界各国からの人種が集まり、公用語として使われる英語は、それぞれの国の人が話す特徴的な発音が印象的だ。
アメリカ人でも東部・西部・南部など発音が違うように、国が変われば使う英語の発音も異なってくる。

アメリカだと流暢に話さないと恥ずかしい思いをしたり、差別されたりするが、サイパンだと共通語として英語を使っているので少々の発音やアクセントの違いも気にせず、とにかくコミュニケーションすることから始まる。

私の持論は、英語は文法やVocabularyなどの基本から習得して会話を確立していく正統派なのだが、ここサイパンでは、少々のBroken Englishでもまかり通ってしまう。
話すことによってコミュニケーションをしていくことは非常に良いことで、聞き取れなかったことや、話せなかった英語を復習したり覚えたりしようと、どんどん前向きな姿勢に変化していく。

また国際間のビジネスでは、各国の人が独特の発音で世界共通語としての英語を話すので、それをヒアリングする力が必要になってくる。
そのような意味でも、人種のるつぼであるサイパンは、実戦さながらいろいろな人種が話す特徴的な英語に接することができる。

日本から近く、簡単に直行便でわずか3時間強、南国のパラダイスでマリンスポーツ・ゴルフを楽しみながら実践的な英語も習得していくことができると考えると、スイス・イギリスには無い穴場の英語圏が日本のひざ元にあることをほとんどの人はあまり知らないのではないだろうか?

英語圏のテニス留学

留学生のニーズも様々だ。今年の夏は、日本から高校生と中学生の兄弟がテニス留学のためサイパンにやってきた。
ホームページを見て英会話のブラッシュアップとテニス連盟の選手権にむけて(どの大会かは聞いていなかった)のトレーニングのためだと話していた。

英語圏であるサイパンには様々な人種が居住しているので、元プロのテニス選手やプロのコーチ当然のことながら居住している。
彼らはアメリカ人のデビスカップの元選手とフィリピン人のプロコーチに試合形式でシングル・ダブルスでのテクニック・試合運びなどを真剣に学んでいた。
最初は通訳のために2~3度テニスコートまで連れて行ったのだが、そのうち自分たちのVocabularyで何とかコミュニケーションを図りながら、質問や会話を楽しんでいた。
スポーツの世界にはあまり英語が必要ないとはよく言ったもので、ジェスチャーを交えながらコーチが的確に指示を出すと、生徒たちは体で習得していく。

午前中はESLで3時間英会話の集中レッスンを行いながら、午後~夜は平均5~6時間はテニスに没頭していた。
パブリックのコートもあるので、テニスのレッスン以外の時間帯はこの無料のコートで、今度は現地の人たちとの他流試合を頻繁に行っていた。
パブリックなので1時間くらいプレーした後は、待っている人のためにコートを空けなければならないので、ダブルスでどんどん対戦相手が変わってくる。
面白いことに気がついたのだが日本人は少なく、彼らが学生選手権に参加する腕前だったので、アメリカ人やフィリピン人などに大モテで、試合の申し込みが殺到した。
プレー中は全く問題ない、プレーが終わった時に挨拶はこなせるが、プレーの評価やお互いのニュアンスを伝える微妙な表現ができないと言って、翌日からのESLは日本語のニュアンスをどうやって英語で表現していくかに内容を変更した。

日常会話とよく言われるが、中学生~高校生ともなるとある程度のあいさつやショッピングなどの英会話は学校で習っているのである程度はできる。
実際街に出て遭遇したり、今回のようにテニスを通じてテクニックやメンタルな作戦面などの会話は、日常生活とはやや異なる。
実際の場面で表現できなかった英会話を表現できるようにするが、英会話の一つの上達法である。
シンプルな構文を使いながら的確に相手にニュアンスなどを伝えていく。
あいまいな部分は省き、ポイントだけを明確に相手に解り易いように伝えること、これは簡単なようでなかなか難しい。

しかし自分の好きなスポーツを通じてコミュニケーションを図るわけだから、また表現することの必要性に駆られて英語を覚えていくわけだから生徒たちにとって全く苦でない。
覚えたフレーズや表現方法を携えて、翌日は意気揚々とテニスコートに向かって行った。

当初私が考えていたのは、サイパンは年中暑く、テニス留学で有名なアメリカ・フロリダ州によく似た気候で、もちろん英語圏、もっと日本から近い所でテニス三昧しながらついでに英会話もトレーニングしたらという発想だった。
ところが違ったのは、ESLはプラスアルファー要素の予定が、テニスを通じてコミュニケーションを的確にするため、より高い英会話の表現力が要求され、フレーズを習得しながら即実践で使う、このことが両輪で作用したということだ。
1ヶ月間ではあったが英会話の表現力は極端にレベルアップした。

好きなことを通じて覚える英会話は実践的で良く使う、使えるから忘れない。
最近もまた、日本人テニスプレーヤーが海外で活躍するようになってきている。
英語でインタビューをこなせるくらいの英会話力をつければ世界十分通用する。
テニスの腕はもちろん必要なことだが。

2008年12月6日土曜日

韓国からの留学生

各国からと言っても英語圏であるサイパンの留学生、特に北マリアナ大学生を除いた幼稚園~高校生は、韓国人が70%以上を占める。

本年度まで、韓国人はアメリカ本土に入国するのがビザの関係で困難であったためと、韓国から近いアメリカ圏で英語をマスターしてアメリカの大学へ進学しようという目論見があるからだ。
今まで何十人もの韓国人留学生を見てきたが、一様に言えるのは勤勉であるということ。
アメリカの大学へ単に合格だけではなく、奨学金を取得してもちろん学費を浮かせる意味もあるが、優秀な学生として大学生活を送ろうと日々努力している。
小学生から1日5~6時間勉強する生徒はざらにいる。
いつ寝ているのと思えるほど1日8時間という生徒もいた。
興味があって聞いてみたところ、朝4時に起き学校に行くまで3時間、放課後5時間勉強するという。
もちろん学年でトップで、この調子が続くと末恐ろしい位の学力と思考力がつくと期待している。

どうしてそんなに必死になるのか、いろいろ本人たちに聞いたり保護者に聞いてみると、韓国ではソウル大学か2~3ある有名私立大学以外だと就職も良いところを目指せない。将来がないと言っていた。
学歴偏重主義の最たるものが根強く社会に残っているため、唯一アメリカの有名大学だけは別格で、それ以上の価値観が社会で認知されているという。

そのため、アメリカの有名大学を優秀な成績で卒業し、MBAなどへ進学できれば将来の道は約束されていると確信を持っている。
この考え方が良いかどうかは別として、信念を持って一途に勉強する姿は私の目から見てもすばらしいと思う。
俗に言う根性があるという言葉があてはまる。

また保護者の方と面談する際に思うことだが、儒教の教えが徹底しているため、親・目上の人に対する敬意を払った言葉遣いや態度が良いこと、これは現代の日本人にはあまり見られない。
従って日本で問題になっている家庭内暴力や先生への暴力事件は起こらない。
親の言うことを聞かないと、母親でさえ子供を蹴ったり叩いたりして厳しく躾けていくという。
外ではあんなに優しく虫も殺さぬような母親が、家庭ではすごく厳しいと生徒から聞くと、おかしくなったりする。
かといって生徒達が委縮して自分の意志を殺しているわけでは決してなく、正当な考え方を堂々と述べて、自分はどうしたいかという持論を明確に持っている。

このように書くと日本人の生徒たちはだらしないかというと決してそうではなく、真面目に勉学しているが、気迫・根性・やる気・勝気といった昔堅気の精神が不足しているので負けているのだと思う。

留学するからには何かを得なければいけないという意識の中で、韓国人はアメリカの大学を卒業することを最終目標として明確に位置づけている。
日本人の場合は、英語をマスターできればよいと思っている人が多いので、このような差が出てくるのかもしれない。

英語を流暢にビジネスでも使えるようになるために、アメリカの大学を卒業するということは良い選択肢である。
この時期に覚えた英語は、専門分野も含め大いに活用できる。

ただしアメリカの有名大学へ進学しようとなると話は別だ。
TOEFLの留学生枠で英語は緩やかであるが、SATはアメリカの高校生と同じ土俵で合格・不合格を判定される。
SATで要求される英語・数学を、高校生までにいかにマスターできたかが最大のポイントとなる。

10年計画でSAT満点を目標としているサイパン韓国母子家庭(主人は韓国から仕送っている家庭が多い)は、情報網が整備されているので、このような生の留学情報が韓国人コミュニティで共有されている。
毎月のように韓国から留学生が増え、着々と底辺を伸ばし、学業レベルで英語を母国語とするアメリカ人や現地人チャモロ人さえをも完全に圧倒している。

当初様々な問題も多発したが、韓国の教育システムでは小学校から英語を教えていて、現在では有効に機能していると聞く。

この先10年もしないうちに、日本との学業レベル格差(特に英語について)は益々開き、アジアで完全に置き去りにされるような危機感を私自身は持っている。

2008年11月29日土曜日

英語圏の海外留学・・・高校生1年~2年

高校は9th ~12th grade、つまり日本の中学3年生から始まる。

アメリカの場合、高校までは権利教育、つまり18歳までは教育を受ける権利があるので、日本で言うところの義務教育扱いとなる。
公立校の場合、ローカルの人は授業料をほとんど支払うことなく生徒は通学できる。

英語圏であるサイパンに、もちろん公立高校はある。
全校生徒が1500~2000人の規模の大きな高校で、1クラスの人数が約20人ほどなのでクラス数は通学している生徒ですらはっきり知らない場合がある。
ローカルだけではなく、学生ビザを取得した留学生たちが通学する高校の中には、最近の教育熱の影響で特進クラスを設けている学校もある。
ただ生徒数が多くローカル人対象なので、新規の留学生を受け入れるESL(英語研修)やフォロー体制等に欠けるデメリットがある。

一方私立高校だが、1クラス20人程度で各学年1クラス~数クラスといった小規模の学校となる。
私立なので各高校はそれぞれの特徴を持っている。
アメリカの大学進学に特化した学校、裕福な家庭の子女が比較的多い学校、のんびりとした学校生活を過ごせる学校など、人口が少ない割には選択肢が多い。

高校生の海外留学に関しては、その目的をはっきりさせる必要がある。
英語の習得と海外の生活習慣などの異文化コミュニケーションの習得を目的とするなら、あまり学業の厳しい高校は向いていない。
それよりESLの制度があり、海外留学生に広く門戸を開いている高校が望ましい。

一方、SAT(アメリカの共通一次試験)でハイスコアを取得し、アメリカの大学合格を目指すか、帰国子女枠で日本の有名大学合格を目指すかである。
この場合は、俗に言う進学校への入学・編入が望ましい。

ただ留意してもらいたいのは、高校から留学した場合、英語力が英検2級程度は最低欲しいところだ。
英語以外の他教科のレベルは日本の高校とほとんど変わらない。
その授業を英語で受けるわけだから、先生の説明していることすら聞き取れないとなると宿題・レポートなど日々行わなければならない最低限の勉学に支障をきたすことになる。

高校は科目を選択できるので、すべてのことを学習しなければならない小学生高学年~中学生よりは、各教科の専門知識の深度はあるが取り組みやすいことも事実だ。

高校生の1年間交換留学プログラム制度があるが、履修科目の単位互換性などを留学前に調べておかないと、日本の高校を1年間休学・留年などすることになる可能性がある。
また、日本の大学進学のことを考えた場合、帰国子女枠は使えないので留年しない場合、一般受験生徒の学力ギャップは開くことになる。
このような場合には、留学先においても日本の大学受験に向けた演習を、現地高校に通学しながら継続することが必要であると考えられる。

具体的にサイパンで留学生がどのように日頃勉学しているか?
進学校に入学・編入するためにはテスト合格が必要なので、英語・数学を事前に1年間ほど特訓を行い、入学後は1日平均2~3時間かかる宿題をサポートしながらこなすことにまず追われる。
生徒自身でこなせるようになってからは、SAT受験対策を始めることになる。
かといって1週間ずっと勉強ばかりかというとそうでもなく、週末はよく映画館やボーリング場・テニスコートなどでよく会う。
生活のリズムとパターンが決まってくるので有意義な留学生活を送っている。もちろん16歳以上の生徒は、自家用車で通学・お出かけしている。

一般の高校に通学している留学生は、有名大学でもなくてもよいのでアメリカのどこかの大学か、母国の大学に進学したいという希望が多い。
その場合は日常の宿題・レポートなどのウエイトは低いので、1日1時間程度で済ますことができる。
ただし11年生からはTOEFL及び、SAT受験対策を行っている。

サイパンは治安が良いので、私立高校の場合ドラッグやガンの脅威はまずない。
アメリカ本土だと相当都市部から離れた地域でも(田舎や高級住宅街ですら)ガンへの警戒は日頃から欠かせない。
娯楽が少ないのが玉に瑕だが、留学生の本分である学業に専念するという意味では年中気候も良いので、健康的に日常生活を過ごしながら、マリンスポーツ・テニス・ゴルフなどのスポーツも楽しめる留学パラダイスだと思う。

2008年11月28日金曜日

英語圏の海外留学(2)・・・中学生3年

中学3年生は9th gradeとなるので、英語圏であるサイパンでは高校1年生となる。

日本の高校のカリキュラムと同様に、社会・理科系教科がそれぞれ分野別にHistory(歴史), Biology(生物), Chemistry(化学), Physics(物理)などに細分化され必須または選択となる。

数学も分野別になり、Algebra(代数), Geometry(幾何)などに分かれ必須科目となる。

各教科のレベルは、日本の高校とほぼ同程度であると考えてよいと思う。
ただ、Vocabularyは専門用語になるので完全にマスターする必要がある。

中学3年生からの留学は、義務教育課程である日本の教育制度を考慮すると、まず中学を卒業してから海外留学を視野に入れる考えの方が一般的ではないかと思う。
私の意見も同じで、日本の中学3年生を卒業した後(義務教育修了後)に海外留学することをお奨めする。

理由として中学3年生(9th grade)にいきなり編入し、授業についていくのは上記のカリキュラムを見ても判るように、先生の言っていることはおろかテキストすら満足に読めない。これでは留学する生徒があまりにも可哀想だ。

最近、日本の中学・高校生が修学旅行や、夏休み期間中に海外語学研修と称して約1ヶ月間を海外の学校や語学学校で研修するプログラムのことをよく聞く。
英語を勉強することや英語の生活に浸しむことは、非常によい経験になり良いことであると思う。
しかし勘違いしてはならないのは、1ヶ月程度英語の触れる内容の英語と、長期に留学し授業を受けるレベルの英語とは根本的にレベルが異なるということだ。

1ヶ月間の短期留学は学校に通学する場合、(学年を落とした)クラスで体験学習することや、ESLクラスで英語をトレーニングすることになる。
留学体験としては、よい経験にはなると思うが、クラスの生徒達が学習している科目レベルとは異質の内容であるということを知ってもらいたい。

真剣に海外留学を志すならまず学校及び学年のレベルをよく知ることから始まる。学校選択は重要なポイントである。
偏差値は都市部であればランキング表などでも確認できるが、サイパンは学校のレベルを生徒や先生のレベル、テキスト・授業内容などで掌握するしかない。実勢に合っているので一番確実である。

科目に関して、特に日本人に馴染みが薄いBible(聖書)の授業があるカトリック系の学校も、宗教的に差別するわけではなく、できれば選択肢から外した方が生徒の負担が免れる。
もちろん幼少時から聖書原文に慣れ浸しんでいるインターナショナルスクール系の生徒の場合は別である。

どうしても保護者の転勤等で中学3年からの編入になる場合は、夏休みまでの期間に7~8th gradeを4月以降に数ヶ月間受講し、まず学校の雰囲気に慣れること、そして英語に慣れることからスタートする方法が良いと思う。

4月以降~7月末まで(新学年が始まる前)4ヶ月間あるので、その間に英語のレベルアップと各教科に必要なVocablaryなどを学校授業と同時並行的に履修することは可能である。

英語圏の海外留学(1)・・・中学生1年生~2年生

中学1~2年生は、サイパンの学年制で表すと7th, 8th Gradeとなる。
中学生は8th Gtadeまで、その後は高校となる。

英語については分野ごとに細分化されて来るようになる。
Critical Reading, WritingがSATもしくはPSAT(SATの前段階のテスト)に、Reading・Vocabulary・文法の各スキルを伸ばすためにテキスト・副読本・プリント・PCなどを使用しながら総合的に英語力を付けていく時期になる。

数学についてはAlgebraⅠ(代数の基礎)とGeometry(幾何学)を2年間かける学校とAlgebraに重点を置く学校とに別れる。中高一貫校が多いので、学校のカリキュラムの編成によって多少異なっている。

また、学校によっては学校対抗・個人選抜のMATH COURT(数学の能力コンテストのこと、アメリカが本拠地)に備え、通常授業の中にテスト対策用の演習を取り入れているところもある。通常の数学は日本とレベルはさほど変わらないが、この演習は相当にレベルが高い。
英語圏であるサイパンの中には、大学進学を目指している生徒が通学している2~3の学校が採用している。
例年のMATH COURT表彰者はこれらの学校の生徒達が独占し、優勝者はアメリカのMATH COURTに招待される。

その他教科については、小学生からのステップアップと考えられる。内容の深度は上がるが、小学生までの基礎が理解できていればそんなに厄介ではないと思う。

アメリカの大学進学に必要とされるSAT(アメリカの共通一次試験)の科目は、英語・数学2科目なので、この中学生時期にいかにレベルを上げることができるかが重要である。
この2年間で英語・数学の基礎をしっかりと理解すれば、アメリカの大学への合格の可能性は見えてくる。
それ程にこの2年間は、学校のレベル格差と本人の理解力・やる気・集中力が左右し、顕著にその結果が出る。

中学に入ったら頑張ろうと、小学生高学年時期からのんびり構えているローカルの生徒もいるが、そのような安易な意識では、いかに英語が話せようが授業についていけないケースが増えている。

決してガリ便を奨励しているのではなく、中学ともなると生徒が自己管理して1日最低2~3時間の復習・宿題・予習・読書などをする習慣を毎日つけることが必要になってくる。
自己管理ができるようになってくると、生徒が日~週~月~学期と少しづつ長い期間単位で自身のスケジュールを組み立てていくことができるようになる。
このことが身につくと、学業・課外活動など何をやってもそつなくこなせるようなマルチな人間に成長していく。

この中学生時期から留学を始めるには、英語力・他教科の知識習得(特にVocabulary)が高いレベルで必要となる。
実際より学年を1~2年落として入学・編入することも場合によっては必要だ。
英語の学習を本格的にしていない生徒の場合は、学年を1~2年下げても英語レベルは高いので事前にトレーニングが必要であろう。

英語の総合力を上げたいのなら、Readingが70%のウエイトを占める。
これはアメリカ人の先生たちが言っていることだ。
英語が話せるようになってくると、とかくReadingが煩わしくなってくるのだが、Readingなくして英語の上達は有り得ない、ましてアメリカの有名大学への進学は有り得ない。

2008年11月27日木曜日

英語圏の海外留学(4)・・・小学生6年

日本で言うところの中学校のスタート学年になる。
小学校5年生まではクラス担任がほぼ全教科を教えるが、この学年からは各教科別の先生が専門の教科を教えることになる。
小学・中学の私立一貫校であれば5年生までに学習した小学校基礎学力のステップアップという考え方である。

各教科それぞれに専門知識の深度が深まっていくが、特に数学については顕著になる。
これは日本の中学と同様に、代数(つまりXやYという変数)の基礎が始まる。
今まで小学校までの算数とは概念が異なり、よくここで数学が判らないという生徒が増えてくる。

何度も繰り返すようだが、テキストが分厚く内容盛りだくさん。
日本で言う参考書仕立てになっているので、説明文・例題・演習問題・テスト形式と通常の授業時間内には終わらない。
そこで演習問題が宿題となるわけだが、授業時間中の説明を理解していれば約1時間程度で終わるのだが、ボリュームが多く演算方法の基礎から教わるものだから、理解するのが当然のことながら要求されるスピードに追い付かない。

日本では私立中学の受験の追い込み時期で、算数などは大学生が解けないような高度な問題も出題され、学習塾などで特訓を受けている生徒たちは難なく解いていく学年である。
しかしアメリカの教育制度では、8月(もしくは9月)~始業し6年生修了時には11歳である。 しかも代数など日本より高度な数学を要求される。

日本の場合6年間算数を学習した集大成の応用問題で入試を行っているが、サイパンの場合は5年修了時にレベル診断は学校側で行われるが、あえて高度な算数解答テクニックを身につけさせるのではなく、次のステップである数学(代数や幾何)に進んでいくと言えばわかりやすいかもしれない。

公立校の場合6年生は小学生なので、授業のスピードはもっと緩やかである。私立校との学業の進度の差は、この時期(小学5年~6年生次)につく。

小学校6年生修了時の英語力は、英検2級以上である。
例えば『ハリーポッター』の原書を、スラスラ読んでしまうReading力はほとんどの生徒が持っている。

気になる会話力であるが、私が今まで見てきた各国の生徒の例から鑑みると、平均3年間、英語圏であるサイパンに留学すれば、学校でまた生活で遭遇する会話には間違いなく困らないであろう。
もちろん英語を話すことは1年経過すればでき始めるが、意志や感情を伝えるだけではなくニュアンスなどを表現できるようになるには、やはり3年間程度は必要だと見ている。

おもしろいことに2~3年経過してくると、日本人留学生も日本語より英語の方が話をすることが楽になってくる。
特に学業に関することは学校で全て英語なので、生徒曰く塾に来て日本語にいちいち訳すのも面倒だし、かえって難しい。
そのレベルまで到達すると私も英語で説明するように対応している。

小学校高学年から編入される際、英語力が英検3~準2級程度であればついていけるが、それ以下の場合には当初相当苦労することになる。

日本の中学受験との兼ね合いもあり、帰国子女枠だと通常2年以上の留学実績を要求されるので、少なくとも小学5年生~6年生の2年間もしくは小学4年生~6年生の3年間を留学期間と考えた方が、英語力及び帰国後の帰国子女枠を利用した中学入試(編入)を考えた際に有益であると思う。

2008年11月26日水曜日

英語圏の海外留学(3)・・・小学生5年

英語圏であるサイパンの場合、公立・私立また学校に因って異なるが、5年生までが小学校課程で、6年生からは中学校課程となっている学校が多いので敢えて5年生と6年生を別けてみた。

前学年から引き続き各科目の深度は深く(高く)なる。
小学校3年生からレベルアップのスピードが上がり、そのままの加速状態で5年生の1年間があっという間に過ぎる。

この時期から特にReadingに関して、一般の青少年向きの小説や物語などを多用することになる。
授業期間1時間で進むページ数が10ページから20ページと多くなるので、そのスピードで書いてあることの内容が理解できるかどうかのスキルを必要とする。
当然解らないVocabularyも出てくるわけだが、辞書で調べるかもしくは、前後の文章で意味を把握していくスキルが要求され始める。
この時期までに英文法の基礎を終わらせておかないと、文のどこからどこまでが繋がっていて、どこで切れているか等、読んだ瞬間に理解できないと授業についていけず、宿題やレポート提出などが疎かになる。

Science(理科)やSocial Study(社会)の教科についても進行のスピードが速くなる。
というのは、テキストのページ数(書いてある内容の絶対量)が増え、先生が事詳細に内容を説明する時間がないので、講義スタイルで終わらせてしまう機会が増してくる。
こうなると先のReading力が、ついていないとこれもまた授業についていけないことになる。

つまり、授業中に先生が話していることが多少解らなくても(もちろん100%解った方が良いのだが)テキストに記載されている内容を読解できれば、宿題・テストについては対応できる。

算数についても同様。日本では習わない概念やVocabularyが出てくるが、日本の算数と比較しながら説明すればまず皆理解できるのであまり心配はない。
ただ文章問題になると話は別だ。他の教科に比べ算数の文章問題は、シンプルな文や言い回しを多用するので、いい加減な読解力では何を質問されているのか理解できず、解答できないことになる。
ビジネス英語にも通じる表現も含まれ、単に計算・公式・数字だけではない英語の数に関する表現方法の明確さをこの時期に習得することになる。

もし小学校5年生から留学をスタートさせるなら、英会話は後回しにして、まず英語の文法・Reading力・Vocabularyをつけることから始めるのが、学校の授業についていけるかどうかの最大のポイントになる。Reading力がつけばHearing力はどんどん伸びてくる。

英語圏の海外留学(2)・・・小学生3年~4年

アメリカの基礎教育が何たるかが始まるのがこの小学校3年生~4年生の時期。
自然科学・社会の科目が本格的に始まり、学習内容のレベルが一気に引き上げられる。

英語圏の小学校では、英語の基礎はできるという判断の上に展開されるわけだから、英語も含めこれらの科目の授業についていくのは、この時期からスタートする留学生には困難を強いられる。
逆を言えば、遅くともこの時期に海外留学をスタートさせ、基礎知識を習得することが良い結果を生むことにもなるわけだ。

本格的にスタートするScience, Social Studyは、学年を追って次第に内容の深度・分野が拡張されてくるので、この時期に基礎をしっかりマスターすることがポイントとなる。

特にScience。アメリカの自然科学・基礎研究が世界一である理由がテキストを見ただけで解る。
何と厚さが3~4cmもあり、説明・図解・研究・考察などの一連の思考パターンが、この時期に既に展開され、内容も一部日本の高校レベルである生物Ⅰに含まれている分野もあるから驚きだ。

この時期から自然科学の基礎を徹底的に教えるわけだから、ちゃんとマスターすれば将来はすべて科学者になれる?とは行かないまでも、理論構築の基礎には大変有効である。

Social Studyについては、一般常識や地理の内容については万国共通なのだろうが、ことアメリカ史に関しては、歴史が短いアメリカならでは。
建国の歴史前から現在に至るまで文化・思想・事件・政治・経済などの分野にまたがって詳細に展開されている。

日本の教科書の内容を批判するわけではないが、内容の深度が明らかに浅いことと、それを補足するための教師陣にその分相当負担がかかっているのではと推測してしまう。
いっそのことすべての内容をテキストに収録してしまった方が、教師側も教えるのが楽なのではとさえ思ってしまう。

テキストだけを見る限りにおいては、英語・日本語を言った言語の壁を乗り越えてでも、生徒がこのテキストを使用して勉強したらどんなに有益だろうと思う。

Vocabularyも当然小学校1年生~2年生に比較し、数段レベルアップする。
日本の義務教育の3年間の英語の授業ではお目にかからない単語が次々と登場してくる。
ScienceやSocial Studyの教科では、専門的な単語になるので大学受験によく出る英単語のレベルをも完全に超えることになる。

日常英会話を得意と自負する日本人で、TOEIC600点以上の人、英検2級の人も、きっと手を焼くに違いない。

2008年11月25日火曜日

アメリカの有名大学に合格する留学生は何が違うのか

アメリカの有名大学・有名学部進学を目標とするなら、早い時期の海外留学をスタートさせることをお奨めする。これは実話が物語っている。
今年Harvard, Stanford大学に合格した両名とも小学3年生から英語圏であるサイパンに留学している。二人とも私が言うところの間違いなくネイティブな生徒たちである。

二人がほかの生徒たちと違っていたのは、目的意識の持ち方である。

一人はStanford大学医学部を志し、卒業後アメリカで開業医と思いきや、アフリカの無医村地域で医療活動をしたいと言ってきた。
母親もその意見に賛同し、数学は言うに及ばず、SATサブジェクト(医学部なので通常のSAT以外に自然科学分野を大学側から要求される)生物・化学を真剣に取り組んだ。
ボランティア活動もサイパンの公立病院で数年間続けてきた。

もう一人は、Harvard大学お決まりの法学部ではなく、経済学部を選択した。
高校2年生次にはSAT満点を獲得し、その後は同じくボランティア活動に精を出していた。
彼女の場合は、ありとあらゆる奨学金を獲得し、またピアノ演奏についても非凡なる才能があり、様々な分野で近年稀に見る模範生徒だった。

アメリカの大学は成績だけではなく、ボランティア活動やクラブ活動といった課外活動も入試選考に重きをなす。
一定成績以上であれば人格などのキャラクターを重視するわけだ。

良い大学を出て高収入を得る、もちろん大切なことではあるが、最近のアメリカ及び、もちろん日本でも終身雇用制という考え方はもはや崩壊している。
法人が40年間も優良企業として存続することが困難と言った方が正確かもしれない。

社会に出て何をしたいか、何になりたいか、どのように社会に貢献したいかを意志として明確に、青少年時期には持ち続ける必要があると思う。

もちろん幼少時にはまだ意志決定できないだろうが、『夢でもいい』持ち続けることが、海外留学を成功させるひとつのポイントになる。

海外留学したから英語が上手になったでは、この先通用しない。英語を上手に操る人は今後どんどん日本国内でも増えてくる。
ハーフ・帰国子女・インターナショナルスクールなどその要因はいくらでもある。

だから海外留学について、第一の目的は英語をマスターすることであるが、その後の目的・目標を明確に描き、そのモチベーションを持ち続けられるかどうかに成否がかかっている。

当然のことではあるが、どのような専門知識を習得し、プロとして社会で通用するかが鍵となってくる。

2008年11月24日月曜日

英語圏の海外留学(1)・・・小学生1年~2年

日本の留学斡旋会社のカウンセラーも、最近留学の低年齢化が進み、小学校低学年からの留学を希望する保護者が増えてきていると聞いている。ベビーブーム世代の子供の年齢層に当たる保護者にこの傾向があるそうだ。

ベビーブーム世代は小さい頃からずっと大人になるまで受験戦争を勝ち残り、社会に出てからもバブルの栄枯盛衰に直面するなど、生き残るために一生懸命人生を過ごしてきた日本の戦士集団ともいえる。

その子供のあたる保護者が、子供の将来のために世界に目を向けているのは、興味深い傾向だと思う。

<小学生1年~2年生>

アメリカの教育の基礎教育期間にあたる重要な学年である。英語とはどのような言語であるかを、文字・音から導入する。

アルファベットに始まり、Phonics(フォニックス)、リーディングなど、英語の4つのスキルであるReading, Writing, Hearing, Spakingを同時にレベルアップさせていく工程を踏む。

この時期にPhonicsのトレーニングを完全にマスターすれば、発音はほぼネイティブ並みにできるようになる。また、発音とスペリングの関係もトレーニングに含まれるので単語のWriting力もかなりつく。

Readingは学校によってかなり進度の違いはあるが、小学2年生修了時で日本の中学2年生修了時のレベルとほぼ同等であろう。

その時点での会話力については、クラスメートとの会話は全く問題なくこなせ、授業中の先生の言っていることもほぼ100%聞きとれ内容を理解できるようになっている。

この時期から本人一人で長期間留学することは、ホームシックやビザの取得のことを考えると難しいので、保護者が現地に居住しているか、日本から同伴するしかないであろう。

ただサイパンの場合、日本から近いことや小学校は4期制なので各学期(2~3ヶ月)の終了時に休暇があり、その時期を利用し気軽に日本に帰ることができるので、それらの問題は少なからず解決することはできるであろう。

2008年11月23日日曜日

サイパンは国?

面白いことに現地の人はCNMI(北マリアナ連邦)と答える。しかし現地のアメリカ人の多くはUSAと答える。CNMIはアメリカ領自治領だから主観的な見方で答えが違ってくるのだろう。

CNMIで誕生した赤ちゃんは、USAのパスポートを持つ権利がある。アメリカ本土と同様なルールである。パスポートがUSAだからサイパンはどこの国?と聞かれたら正解はアメリカだろう。

ここ数年、観光ビザで入国しサイパンで出産する女性が増えている。アジア系がほとんどであるが、アメリカ本土よりビザ規制が緩やかでアジアから近いこと等が起因している。アジアのある国では、出産専門のブローカーやツアーまであると聞く。そのため近所のクリニックは朝早くからミニバンで妊婦の人が大挙して診察に来ている。
そこまでしてアメリカのパスポート(国籍)が取りたいかと日本人ならそう思ってしまうわけだが、日本人はその置かれている優位性についてあまり意識する必要がないので無関心で済まされる。

アジアのほとんどの国や共産圏と称される国々は、ビザがなければUS本土には入国できない。現在は必要なくなったが、以外に韓国もそうであった。しかしサイパンはその点緩やか。観光の島でもあるので、様々な国籍の人種が入島してくる。テロの対象になる官公庁・基地・法人・個人などが存在しないせいで、これは島の産業のことを考慮すると大いにうなづける。

学生も例外でなく、サイパン現地で結婚して(または未婚で)子供をサイパンで出産する人が増えてきている。同国人同士または国際結婚など。日本国内も国際結婚が約18%と聞いている。ここサイパンでは当然のことながらその比率は高くなるわけであるが、夫婦のコミュニケーション手段としての英語は不可欠である。これこそ異文化コミュニケーションにおける究極の姿の一つかもしれない。

英語圏の海外留学・・・保育園生~幼稚園生

いつから海外留学するのがよいのか。
この件に関しては意見が分かれるようだ。留学生の性格、英語のレベル、他教科のレベル、保護者が同居するか否かなど様々な条件と環境を考慮して決めるべきであろう。

ここでは、各学年(年齢)における留学する場合の留意点を述べたい。

<保育園生~幼稚園生時期>

アメリカでもプレスクールやキンダーガーデンと言われる時期なので、アルファベット・Phonics(フォニックス・発音やスペリング)・Vocabularyなど英語の基礎と、算数の基礎を勉強する時期に当たる。
この時期からの正規留学はバイリンガルになる要素が非常に高い。

バイリンガルは単に2ヶ国語を操れるということだけではなく、その国の生活・文化・慣習・マナーなどを身につけた異文化コミュニケーションをマスターしている人のことを指している。

ネイティブといえどもまだこの時期には言語として英語を習得中なので、トレーニング次第だが日本人がそのレベルに近づくことは十分可能。
また、他教科(理科・社会など)もほとんどないので楽に入っていける。
絵本のリーディングは当然あるが、アルファベットというよりイメージ(写真や絵)が載っているので理解しやすくイメージを描きながら英語に入っていける。

語学を習得するのは幼児期からの方が良いに決まっている。
しかし、日本語がまだ習得時期である幼児期に英語を勉強するのはどうなのかという点がよく論争になるが私はそうは思わない。

なぜかというと、Kohinoorの小学生の生徒に4ヶ国語、英語・日本語・韓国語・スペイン語をすべてマスターしている兄弟がいたからだ。
驚異的とは思えたが彼ら曰く、第2外国語をマスターすれば第3・第4外国語は全く抵抗ないという。
それを物語るように最近は第5外国語として中国語に挑戦している。

語学はスキルであるから、乳幼児~幼稚園の時期にスタートさせる環境があればこの上ない。
現実的に多国語を同時に習得していくことも十分可能である。

多国語が必要であるかは、個人の考え方による。
できるにこしたことはないという考え方と、できればその国の本やスピーチを翻訳を頼らずに直接自身で理解できるという大きなメリットがある。
翻訳や通訳による言語の変換は100%正しいわけではなく、原語はその国で生活する民族が自分たちを表現するために使用しているコトバである。

それこそ異文化コミュニケーションがコトバの中にも表現され、その国・民族の考え方や歴史的な背景までをも原語を通じて知ることが可能になる。
もちろん単純なことではあるが、世界共通語の英語を話せない人とコミュニケーションできるというメリットもあり、将来的に多国籍企業・団体からの需要は相当出てくると思われる。

いつも述べるように言語はあるレベルまではツールであるが、より高いレベルにおいては言語を通じてそこの文化を知ることである。

こんなことを考えると、幼少時期に海外留学することは、その子の一生を左右する貴重な体験となることに違いない。

英語圏での留学生活とおけいこごと

留学し始めると1ヶ月もしないうちにクラスメートもでき、一緒に遊んだり勉強したりといった生活が始まる。
そこでいつもおけいこごとの話が出るようになる。
テニス・サッカー・水泳やダンス・ピアノといった日本では当たり前のように思われているおけいこ事だ。

もちろん英語力が同学年の生徒たちと比べて支障ない場合は大いに結構。
英語圏であるサイパンはスポーツ天国、マリンスポーツにテニス、ゴルフまでジュニアが週末ともなると繰り出して練習やプレイを楽しんでいる。
ところが、実際におけいこ事を始めてもレッスンはもちろん全て英語のため、スポーツだから英語は必要ないと言っても当然のことながらコミュニケーションが取れない。
せっかく楽しんでプレイできるはずなのにと落胆する生徒もたまにいる。

おけいこ事については、保護者の方がお子さんのことをいろいろと考えてきめるわけだから結構だが、私が相談を受けた際は、英語力が一般生徒水準になってからでも遅くないのではと答えている。

今お子さんにとって何が一番大切なのかという優先項目は、まず学校の英語の授業についていけること。
最初は話せなくてもよいからまずテキストが読め、内容が理解できること。
この単純明快なことが分からないと生徒の留学生活は、根本から崩れることになる。
日本で義務教育の英語を修了した人が、ESL(英語研修)に来ているのではない。
正規留学は学校でアメリカの科目授業を勉強するということだ。
この基本的な考えが解れば、今何をすべきかということは明快である。

海外留学すれば子供は頭が柔らかいかので、すぐ英語を覚えバイリンガルになると、大人の勝手な理屈で海外留学を考えておられる方もいるが、もちろん大人に比べて飲み込みは早く応用力もあるのだが、vocabularyやイデオム、発音、文法など覚えなければいけないことは山ほどある。
親が完全に英語の授業内容が理解できるのであれば子供に教えることもできるが、できないことを押し付けられる子供達はかわいそうだと思う。
学校で授業中何を先生が言っているのか解らず、放課後はおけいこ事で少しはストレスも発散でき、かといって家に帰ってくるとグッタリで勉強どころじゃない。
これではせっかく留学させた意味も効果も期待できない。

授業についていけるだけの英語力をまず付けること。
単純であるがこのことを最優先すべきなのだ。
その後のおけいこ事は、友達や周りの人たちとのコミュニケーションの機会も増え、ナマの日常会話のトレーニングにもなるので大いに奨励できる。
生徒本人にとってきっと楽しく有意義な留学生活になることだろう。

2008年11月22日土曜日

帰国子女枠とSAT

帰国子女枠制度を利用して日本の中学に進学したい、また大学に進学したいと考えている生徒たちも留学してくる。
受け入れ先である日本の学校や大学は、帰国子女枠として一般的には2年以上の海外留学期間を資格として認め、帰国後1年以内に受験し入学または編入することができる。

数年間の転勤などでどうしても保護者と海外で居住する必要のある生徒たちは、ぜひこの制度を利用する手だ。
最近では、ほとんどの有名中学・大学がこの制度を設けているので、選択肢は以前に比べて広がっている。ただ注意しなければいけないのは、特に大学の場合は選択できる学部に制限があり、医科歯科系を希望する生徒は特に注意が必要である。

高校からの入学・編入はあまりお奨めできない。
なぜかというと受け入れ先の高校が限られ、受け入れ生徒数も少なく、最も問題なのは大学受験の際に帰国子女枠は使えず、一般生徒と同等の立場で受験することが求められるからだ。
英語は有利だが、他教科特に国語や小論文は不利と言わざるを得ない。

中学での帰国子女枠受け入れ基準レベルは学校によって異なるが、英検準2級~2級合格程度は最低必要になる。
例えば英語圏であるサイパンの小学校6年生レベルでどの程度の英語力かというと、英検2級は文法・イデオム等の英検テスト対策用のレッスンを補助的に行えば問題なく合格する。
リーディング・リスニング・ スピーキングは合格基準以上に必ずなる。
笑えない話だが、英検の日本語で出題される文章が読めないという生徒が出てくることがある。
これには傾向と対策のテクニックで教えてしまうのだが。

日本語の勉強を日常滞りなく行うのは、学校の年間カリキュラム・塾のスケジュールの時間的猶予から見て、日本の生徒たちの受験レベルに持っていくのは教える側、受ける側からしても非常に困難である。
その意味からしても一般受験での入試合格は難しくなる。
まして4教科を要求される入試は、社会・理科の内容が日本とは異なるので不可能に近い。

大学の帰国子女受け入れは、SAT(アメリカ版共通一次試験)のスコア如何による。
SATは英語1600点、数学800点計2400点満点のテストだ。
70%以上取得すれば、日本のほとんどの有名大学に入学できる、さらに80%以上取得すれば東大や早稲田・慶応・ICUなどといった難関大学への進学も可能である。

果たしてこのスコアが取得できるかどうかだが、最低3年~5年間(中学~高校)をアメリカ圏で勉強し、SATのレッスンを行えば、日本人でも70%以上のスコアを取得できることが十分可能である。
80%以上取るためには、英語・数学を二本柱に相当特訓する必要がある。

因みに本年度アメリカの大学に合格した韓国人留学生は小学校低学年から約10年間サイパンに留学し、ハーバード大学の合格者はSAT98%~。
スタンフォード大学は95%~が合格ラインだった。
これは10年計画でなせる技であって、数年間では数学はともかく英語レベルを100%近くまで引き上げるのは非常に難しいと言われてきた。

しかし、最近の留学生の中には英語の素養と数学のセンスがある生徒も出てきたので、高校4年間でこのレベルに引き上げることは可能であると実感している。
もちろん小学~中学からスタートする留学生については、日本・アメリカ両国の学校・大学を選択肢において、中長期計画で取り組むことができる。

英語圏の留学先・学校の選び方

英語圏であるサイパンにはもちろん公立校もあるのだが、留学するとなると学生ビザ取得のための条件が厳しいので難しいだろう。
小学校・中学校・高校ともに定員いっぱいで教師の数が足らず、PSS(公立学校機構)が頭を痛めている。
最近は学校内外で麻薬や暴行などの犯罪が発生したため問題として取り上げられている。

そうなると私立校を選択するわけであるが、人口に比較し学校数が多いのではと思う。
各学校はそれぞれが特徴を持っていて、生徒や保護者が学校を選択することが大変だ。
日本のように偏差値やホームページといった情報がないので、その学校に通学している生徒や保護者から、あるいは先生から情報を得ることになる。

まず学校の特徴だが、学業のことはあまり気に掛けず自己を開発する方針の学校、キリスト教宗教色の強い学校、上流子女のみを相手にしている学校、アメリカの有名大学への進学率を最優先している学校など多種多様。
気になる学業レベルはというと、ピンからキリまで選択肢がある。

何を習得することを目標とするかを明確にして学校を選択することが日本以上に要求される。
ただ英語ができ、バイリンガルになればいいとなんか考えていると、せっかく留学する意味がない。
英語だけのスキルアップなら日本でも十分可能だ。
まず小学生なら該当する学年で何を習得したいか、高学年になれば将来何になりたいかを明確にしないと回り道を余儀なくされる学校選択になる。

1年間の高校留学や最近では低年齢化が進み中学生~小学生が海外留学するようになってきた。
この現象は決して悪いことではないのだが、目的が明確でないと、ただ英語圏で生活し多少英語がはなせるようになったという自己満足(親の満足も含めて)で終わってしまう。
これでは本当の意味で留学したことにならない。
日本だと進学を目指すのに学習塾・学校をあれほど真剣に吟味する生徒と保護者も、こと留学になると海外情報も少ないせいか安易に決定する傾向が強いと思われる。

その子供の性格とレベルに適した学校を選択することは、決して容易なことではない。
日頃から自分の子供を見ている保護者でさえ、生徒としての子供の一面を知りえていないからだ。
それならどうやって学校を選択したらよいのか。

一つの考え方として、子供が小さく判断力がない年齢だったら、保護者がどのような性格の子供になってほしいかという夢を叶えてくれるような学校を選んではどうだろうか。
高学年になり判断力がある子どもなら、よく話し合い将来の目標及び進学先もある程度決め選択してはどうだろうか。
抽象的だが今まで教えたKohinoorの塾の生徒たちは、年齢の高低関係なくビジョンを持っていた。
将来何になりたいという夢で結構、三つ子の魂はすばらしい可能性と夢の賜物だから。

ちょっとこの生徒には性格的に向いていないかな、学業レベルが高いのでついていくのが大変かな等進路相談をする際にいろいろ悩んだり考えたりするが、目的意識をはっきりさせれば多少の頑張りと努力はしようがない。
生徒たちの環境に適応する能力は保護者の考えている以上で、未知数の可能性を持っている。

あまり高望みは生徒に負担ばかり掛けてしまうが、ちょっと上のレベルを追求させるのは教える冥利に尽きる。
日に日に生徒達が成長していく姿を見ていると、この子たちなら日本やそれぞれの母国だけではなく、またアメリカだけではなく世界中どこへ行っても通用するだろうなと感じさせられる。

2008年11月21日金曜日

Quater Pound

日本のニュースを見ていたらQuater Poundが渋谷と表参道に出店したとのこと。あれこれMacじゃないのと思っていたらやはり実体はその通り。行列を作っている風景はやはり新しいトレンドに敏感な東京人!の姿を垣間見た。
サイパンの生徒たちもよくMacでPCを見ながらQuater Poundを食べている。アメリカなのだからこのブランドを食べているのは至極当たり前のことだが。ただ違っているのは、ブラウザやメールなどで遊びながら食べている子と、テスト対策なのだろう必死な形相でPCやノートを持ち込んで何時間もクラスメートたちと居座っているようだ。
今までは停電が多かったので、発電機の完備しているMacで勉強するのは日常茶飯事だったけれど、最近は停電もめったにしなくなり、それでも電気代が高いせいか放課後は結構生徒たちで埋まっている。サイパンのMacのオーナーとも話す機会があるが、何時間居座っても追い出したりしないそうだ。結構勉強している子供たちへの理解があるなと感心している。

サイパンは来年以降、沖縄からグアムに米軍基地が移動するにあたり防衛上の意味合いから、アメリカの支配が強化されることになっている。アメリカの産業がすぐにこのサイパンに入ってくるとは思えないが、グアムのようにどんどん地元チャモロ人の特権が薄れていくことは間違いないだろう。そのようなことを考え一部のチャモロ人の生徒たちは、アメリカの大学へ進学することを使命として頑張っている。今までは、成人になると政府から土地が貰え、現地人の特権を活かせるので就職先にも困ることはなく、フードスタンプという食料品の金券も支給されるなどいいこと尽くしであった。
しかしこれから先はそもいっていられない、自由競争という資本主義原論がサイパンを巻き込もうとしている。これがいいかどうかは別の議論として、いち早く変革する環境に対応しないと生き残れないということだ。方法として考えられるのは、土地や資産を売却してアメリカ本土に移住するまたは、アメリカの大学を卒業しサイパンで官僚や主要ポストに就く。
Kohinoorに開塾当時から数年間通っているチャモロ人の生徒の母親は後者を選択した。どうしてもアメリカの大学に進学するため、学業はもちろん、一般教養を身につけるため日本語、ピアノやギターまでもレッスンをずっと続けている。子供がアメリカの大学に入った際に、有色人種だからと差別を受けないように一般教養や感性、趣味を高いレベルで今のうちに着けさせようと考えているのだ。私はその母親の考え方に賛同してしている。アメリカは有色人種であるオバマ氏を大統領に選出したが、まだまだ人種差別は根強く残っており、また高学歴偏重主義は日本より深く社会に浸透している。歴史のないアメリカだからブランドとして学歴が尊重されるのは無理もないことだ。

日本人は国内にすばらしい学校・大学などがすべてそろっていて、有名大学や大学院を卒業すればよい就職先や仕事ができるいう図式が今なお残っているが、果たしてこの先も今まで通りうまく行くのだろうか、世界恐慌の中を航海する日本国という船が沈没せずに生き残っていけるのだろうか、真剣に将来を考える時期がとうに来ている。今までの既成の価値観では、この世界恐慌は乗り切れず、自分たちで変革できないならじっと嵐が過ぎるのを耐え忍んで、将来を子供たちに託すのも一考の価値があると思う。それだけの可能性を子供たちは持っている。どんなにお金を注ぎ込んでも柔軟な頭脳と肉体、若さだけは買えない。

アメリカの教育のすばらしさを知る

サイパンはアメリカ領なので、教育システムはアメリカのシステムとなっている。当初学習塾Kohinoorの生徒たちを教え始めたころは小学生がメインで、算数の掛け算・割り算といった基礎からのトレーニングだった。それ以前の繰り上げ、繰り下げの加減ももちろんのこと。その際に思ったのは、K式に代表される日本人の計算能力のレベルの高さであった。諸外国の生徒たちと比較して、何と日本人の生徒たちの加減乗除計算の速いこと、正確なこと。これは日頃から訓練されている成果だと日本人としての優越感に浸ったものだった。ところがいざ算数の文章問題になったときこれが逆転する。英語で書いてある文章の内容が解らないのだ。もちろん英語力をつけていけば内容もわかるようになってくるのだが、現地の子でさえ文章問題は苦手だ。後に文法教育を小学生低学年児にはあまり行っていない結果だと判った。

テキストはどの教科も日本と比較して驚くほど分厚く、3cm~4cmもある科目もある。なぜこんなに分厚いのが必要なのだろうと思い開いてみると、日本の参考書に近い仕立てで作られていて、説明・例・問題など懇切丁寧に記述されている。こんなに重い本を持って歩くのは大変だなと思ったりしたが、実際のところ通学は車で保護者が送迎するので、教室から校門までの辛抱で済む。

テキストの内容は出版社によって若干異なるが、算数の場合だと、学校の先生が黒板を使って説明する内容を全てテキストに書いてあると言っても過言ではないだろう。とにかく丁寧に説明・例が盛り込まれている。これ一冊あれば参考書・問題集などは多分必要ないと思える内容だ。これだけの内容が盛り込まれているのでもちろん授業内ですべてが完結できるわけがないので、問題部分は宿題となり、Kohinoorに生徒達が持ち込んでくる。授業で理解できなかったことを補習、宿題のチェック、プライベートレッスンでは予習までこなす。

面白いことに、英語圏であるサイパンの小・中公立校では、生徒一人一人にテキストが行き渡っていない。確かに1冊$100以上もするシロモノだから全教科そろえるとなると$1,000以上になる。結果、数人に1冊だからもちろんテキストを使った宿題はまず無い。

一転私立校は、各自テキストを1冊づつ年間有料賃貸され、テキストを数年間使いまわすことになる。これは学校にかかる保護者の経済的負担を考えるとよい方法だと思う。使いまわすわけだから、もちろん書き込み禁止、テスト前などにマーカーなども使えないわけだ。

アメリカの教育の何が素晴らしいかというと、各科目その学年で履修したことを元に、次の学年ではステップアップし、内容をどんどん掘り下げステップアップしていくところにある。日本の場合、国語・算数は明らかにステップアップ法式であるが、他の科目は細分化され履修したところだけを着目する傾向がある。

特に自然科学に対する教育は、さすがその分野で先進国であるアメリカだけあって、観察・事象・原因・結果・考察などといったステップを無理なく、広い範囲の分野を総合的に教えている。生物・化学・地学・物理・電気・天文学など各分野の内容は、小学生が使うテキストに日本の高校生レベルの内容が一部盛り込まれている。

また社会も面白いのだが、地理は一般的だがアメリカ史は歴史が短いアメリカだけあって、とにかく内容が深くて盛りだくさん。学生時代に専攻したアメリカ経済史にも出てこなかった人物・事件・政策・経済といった内容までも生徒たちは覚えることになる。

日本人は今後世界に出ていかないと立ち行かないことは以前にも述べたが、同盟国であるが経済的にはライバルになるアメリカ人の思考パターンを知るためには、小・中学生のころからの基礎的教育が どのような内容で行われているのか知ることは非常に重要だ。
アメリカ人は暗算に弱いとか引き算が得意でないとかよく言われるが、それは教育のレベルでは算術のほんの一部にしか過ぎず、全体像を表現しているのでは決してないということだ。

なぜアメリカの科学技術が先端をいくのか?基礎研究・応用・開発・マーケティングまでを世界的規模で展開できるのか? IT産業を見ても明白なように、コンピュータのプログラムは日本語ではない。開発した人種が指導力を持つことになり世界を圧巻する。いづれ言語の壁は克服することができるだろうが、時間はかかる。今使っているPCも、もともとあるプログラムやソフトを日本語に置き換えているだけだ。

日本人は世界に通用する素晴らしい才能を持っている。このことに気づいたアメリカ人マッカーサー元帥は、終戦後占領下である日本に対し、英語を義務教育として押しつけなかった。英語という武器を日本人に持たせたら近い将来、日米経済戦争に負けると判断したからだと聞いたことがある。これは的確に日本人の姿を捉えている。日本の教育水準は受験体制の産物だろうが高いレベルにある。しかし世界で通用するためには、アメリカをもっと知ること、つまり時代背景を含め、アメリカ人の考え方とその思考パターンの基幹を司っているアメリカの教育のことをもっと知る必要があるということだ。

円高・ドル高に見る影響

サイパンは主たる基幹産業がないので、各国からのツーリストを対象とする観光業・マリンスポーツ・ホテル・レストランなどがメインの産業だ。サブプライムに端を発した世界恐慌は、この小さな島も少なからず影響をじわじわと受け始めている。特に韓国からのツーリストは、ウォン安ドル高の影響下、ここ数ヶ月極端に低下してきている。もちろん島内で進行している、韓国コンツェルン系のホテル建設・ゴルフ場再開発などの大型プロジェクトも、為替の影響で20~30%スケールダウンを余儀なくされている。
証券市場や保険・金融マーケットなどに直接携わっているホワイトカラーが少ないので、そうした人種がリストラのため溢れ出ることはない。知り合いの韓国人不動産屋が、今のままのウォン安では韓国からの投資家が来ることは絶望的だと今日も嘆いていた。
元ファンドマネージャーとして、円・ドルの為替レートのここ数ヶ月の推移は予測でし、ほぼ当たっていたが、ウォン安の進行度合いは予想を上回っていた。こうなると韓国や日本以外の母国からのドル送金に頼っている留学生には逆風で、生活水準を落とさなくてはならない状況下の生徒も出てくる。せっかく志を強く抱いて何年間も勉強に取り組んできた生徒たちが、本人の意志とは関係なくサイパンを去らざるを得ない状況も出てくるのではないかと危惧される。
もちろん恵まれた家庭の生徒たちは、現在進行中の世界恐慌とは全く無縁で、精一杯自分のしなければいけないことを認識して勉学やスポーツ、趣味などに勤しんでいる。
このような状況下でも、あまり悲壮感が社会から伝わってこないのは、サイパンの気候のせいなのだろうか。夜中に外で寝ていても凍死することはないし、この季節でも海水浴ができ、水シャワーでも平気なくらい暖かい(暑い?)自然の恩恵に感謝しなくては。
こうして現在の世界の経済情勢から鑑みても、アメリカと日本の置かれている立場は重要だ。経済基盤である通貨が強くないと国の存在が危うくなり、国民を危うくする事態に発展することはアメリカの大手証券会社・銀行・保険会社・不動産・カード会社、最近ではビッグ3の動向などを見れば明らかだ。
もう少し経済に強い政治家やそのブレーン達が、社会構造を一刀両断に変革しないとこの不況を乗り切るのは難しいだろう。もちろん人ごとではなく、現在の私の立場でできることなどほんの些細なことだ。それはKohinoorの生徒たちにどうしてこんな不況になったのか?マネーゲームの仕掛け人たちが行った愚行など、生徒にわかりやすく説明してあげるとことぐらいだろうか。そんな生徒の中から、世界的視野を持ち、経済活動にも長けている人間が輩出できれば良いのではと、時間がかかるけれどささやかな望みを子供たちに託している。
知恵と知識は、invisible asset(目に見えない資産)だから、いくらでも詰め込むことができ、人間はうまいことにそれを吸収・消化していくすぐれた超スーパーコンピュータという脳を持っている。最近観たSF映画のホークアイや小説の中に出てくる、人間以上に英知のあるアンドロイドやロボット、コンピュータに人間が振り回されるというストーリー。遠い将来にはありうることだろうが、人間が地球に生物として存在する以上、機械はコントロールできるわけで、他の惑星から人間より優れた生物(エイリアン)に侵略されるか、人間が超自然現象や核・バクテリアなどの汚染で抹殺されない限り、自然環境を保護しながら地球と共に歩んでいくことが本当はすごく大切なことなのだと思い始めた。
当然のことながらどこの企業、広い意味では国家も利潤を追求するわけだが、その利潤は何のために追求するか、利潤をどう還元していくか、これからの人類を支えていく子供たちの未来をどうするのか、挙げればきりがないのだが、これからの政治・経済活動を変えていく根本の意識として、大人たちが個々に責任を持って、今自身の置いている立場で真剣に考えて取り組まなければならない。世界が経済的に歪んだ事態になったことに、子供達には何の罪もないのだから。

2008年11月20日木曜日

バイリンガルと異文化コミュニケーション

ここ数年、サイパンからハーバード大学等のアイビーリーグやスタンフォード大学、UCBなど、毎年のように合格者を輩出しているので、否応なしに教育熱がフィーバーしている。この原動力になっているのが、韓国人生徒たち。この生徒たちは、数年~10年計画でサイパンに留学し、アメリカの有名大学進学を目指している。ビザの関係で、アメリカ本土ではビザ取得が難しいことや、アジアから近距離のアメリカ圏を選択するとサイパンになるからだ。お隣のグアムはアメリカ準州なのでビザ取得に関してアメリカ並みに厳しい。こんなこともあって母子はサイパンで受験勉強、父親は韓国でせっせと働いて仕送り。もちろん中学生・高校生が一人で留学し、母国から保護者が仕送りしている例もある。こんな生徒たちを日頃教えていると、きっと近い将来、世界をまたにかけて活躍する人物にたくましく育っていくのだろうなと思う。

日本は世界トップクラスのGDPでありながら、海外を拠点としたビジネスマン&ウーマンの進出が、まだまだ遅れている。資源のない日本なのだから、もっと海外へ出てビジネスしないと近い将来、中国はもとよりアジア諸国に圧倒されることだろう。ゆとり教育や英語教育など、日本の教育システムにも関係することだが、諸外国においては低年齢児からの英語教育をほぼ当たり前のように考え、義務教育~高等教育で実践し、様々なジャンルでしかも次々と世界に通用する人を送り込んでいる。世界の共通語は英語なのだから、このように戦略的な教育施策を打つのは当然のことなのだけれど。


英語は『ツール』、年齢・レベル・業種等に応じたコミュニケーションがとれればよいと思う。 ツールとしての英語だけなら、日本にいても習得できる機会や方法はいくらでもある。それなのになぜ海外留学なのか?その答えはいろいろ考えられるが、ひとつには異文化コミュニケーションを体で覚えるということだろう。文化は幼児期から育った環境であり、先祖代々受け継がれた民族の知恵・知識などでもある。よく日常会話ができればよいと言われますが、実際のところ日常生活を英語で過ごしていないと様々なイデオム(言い回しや熟語など)が、瞬間に理解できないことはよくあること。それは、言語が体に身に付いているかどうか、民族の考え方が理解できているかによって、100%解るかどうかは非常に難しい一面を持っているからだ。本来のバイリンガルは、ツールとしての言語だけではなく、その背景にある文化も理解できる人のことを言うべきではないかと思う。
英語だけではなく、異文化コミュニケーションを学ぶために海外留学するのが、バイリンガルになる近道。英語が得意な子(人)になるだけだったら、費用をかけて海外留学する必要はあまりないと思う。

初めに・・・なぜサイパンなのか?

サイパンで地元の生徒たちを教えているといろいろなことに遭遇する。

もちろん日本人だけではなく、地元のチャモロ人・韓国人・中国人・インド人など様々な国から勉強するためにサイパンにやってきた生徒たちのおかげだ。
母国語はもちろん違うのだが、共通語である英語を使ってコミュニケーションをとりながら、英語や数学などを教えることになる。

当初私が、数年前にサイパンを訪問したのは、全くの偶然に近いものがあった。日本のある大手外食産業の海外進出とアメリカ株式市場での上場を計画し、マーケティングリサーチをするため、カリフォルニア州、フロリダ州のリサーチを終えレポートを現地からメールしているうちに、サイパンもアメリカ圏だと思い出し、急遽来ることになった。サイパンに来て、色々なことをリサーチしているうちに、自分で何かやってみたらどうかなと考え、試行錯誤と出会った人たちのリクエストで学習塾Kohinoorをスタートさせた。当時は、保護者の方からリクエストの高かった算数の補習塾の内容で、学校の授業でで解らなかった箇所を理解できるようにすることが当面の目標であった。
そうしているうちに、アメリカの有名大学へ進学を目指す中学・高校生が訪ねてくるようになり、一気にレベルが上がり、SAT(アメリカ版共通一次試験)対策をする進学塾へと変革していくことになった。

サイパンと言うと、日本での情報があまりないせいか、どこにあるかも知らないし、知っていたとしてもせいぜいグアム島の近くにある島程度の認識の人がほとんどではないかと思ったりする。近年は天皇陛下と三浦事件で少しは認知度が上がった程度だろうか。そんな小さな島にも、もちろん人は住んでいるわけですし、子供たちも大勢いる。10数ヶ国の人種がこの小さな島に住んでいるのが不思議なくらいの小さな町サイパン。年中暑い気候のせいか、子供たちは楽天的で、生き生きして塾に通って来る。
そんな生徒たちの顔を見ると続けていてよかったなと、また頑張る気持ちが湧いてくる。

マリンスポーツとゴルフが好きな人には天国かもしれないが、スキューバダイビングができないので、ついつい読書するか映画を観るかに落ち着いてしまう。最近早起きする習慣をつけるようにしたので、ブログでも書いて、頭の中をスッキリさせ、シプロスを活性化させないと。塾の先生の立場だから、生徒の柔軟な脳細胞には負けていられない。

今日も元気だ、サイパンは良い天気。この空模様だと暑くなりそう、日本は冬だというのに。
おかげで若いころに無理して痛めた腰が、ストレスが貯まってくると冬場に病むのだが、こちらに来てから一回も腰痛で寝込んだことはない。これもサイパン効果か。