2008年11月21日金曜日

円高・ドル高に見る影響

サイパンは主たる基幹産業がないので、各国からのツーリストを対象とする観光業・マリンスポーツ・ホテル・レストランなどがメインの産業だ。サブプライムに端を発した世界恐慌は、この小さな島も少なからず影響をじわじわと受け始めている。特に韓国からのツーリストは、ウォン安ドル高の影響下、ここ数ヶ月極端に低下してきている。もちろん島内で進行している、韓国コンツェルン系のホテル建設・ゴルフ場再開発などの大型プロジェクトも、為替の影響で20~30%スケールダウンを余儀なくされている。
証券市場や保険・金融マーケットなどに直接携わっているホワイトカラーが少ないので、そうした人種がリストラのため溢れ出ることはない。知り合いの韓国人不動産屋が、今のままのウォン安では韓国からの投資家が来ることは絶望的だと今日も嘆いていた。
元ファンドマネージャーとして、円・ドルの為替レートのここ数ヶ月の推移は予測でし、ほぼ当たっていたが、ウォン安の進行度合いは予想を上回っていた。こうなると韓国や日本以外の母国からのドル送金に頼っている留学生には逆風で、生活水準を落とさなくてはならない状況下の生徒も出てくる。せっかく志を強く抱いて何年間も勉強に取り組んできた生徒たちが、本人の意志とは関係なくサイパンを去らざるを得ない状況も出てくるのではないかと危惧される。
もちろん恵まれた家庭の生徒たちは、現在進行中の世界恐慌とは全く無縁で、精一杯自分のしなければいけないことを認識して勉学やスポーツ、趣味などに勤しんでいる。
このような状況下でも、あまり悲壮感が社会から伝わってこないのは、サイパンの気候のせいなのだろうか。夜中に外で寝ていても凍死することはないし、この季節でも海水浴ができ、水シャワーでも平気なくらい暖かい(暑い?)自然の恩恵に感謝しなくては。
こうして現在の世界の経済情勢から鑑みても、アメリカと日本の置かれている立場は重要だ。経済基盤である通貨が強くないと国の存在が危うくなり、国民を危うくする事態に発展することはアメリカの大手証券会社・銀行・保険会社・不動産・カード会社、最近ではビッグ3の動向などを見れば明らかだ。
もう少し経済に強い政治家やそのブレーン達が、社会構造を一刀両断に変革しないとこの不況を乗り切るのは難しいだろう。もちろん人ごとではなく、現在の私の立場でできることなどほんの些細なことだ。それはKohinoorの生徒たちにどうしてこんな不況になったのか?マネーゲームの仕掛け人たちが行った愚行など、生徒にわかりやすく説明してあげるとことぐらいだろうか。そんな生徒の中から、世界的視野を持ち、経済活動にも長けている人間が輩出できれば良いのではと、時間がかかるけれどささやかな望みを子供たちに託している。
知恵と知識は、invisible asset(目に見えない資産)だから、いくらでも詰め込むことができ、人間はうまいことにそれを吸収・消化していくすぐれた超スーパーコンピュータという脳を持っている。最近観たSF映画のホークアイや小説の中に出てくる、人間以上に英知のあるアンドロイドやロボット、コンピュータに人間が振り回されるというストーリー。遠い将来にはありうることだろうが、人間が地球に生物として存在する以上、機械はコントロールできるわけで、他の惑星から人間より優れた生物(エイリアン)に侵略されるか、人間が超自然現象や核・バクテリアなどの汚染で抹殺されない限り、自然環境を保護しながら地球と共に歩んでいくことが本当はすごく大切なことなのだと思い始めた。
当然のことながらどこの企業、広い意味では国家も利潤を追求するわけだが、その利潤は何のために追求するか、利潤をどう還元していくか、これからの人類を支えていく子供たちの未来をどうするのか、挙げればきりがないのだが、これからの政治・経済活動を変えていく根本の意識として、大人たちが個々に責任を持って、今自身の置いている立場で真剣に考えて取り組まなければならない。世界が経済的に歪んだ事態になったことに、子供達には何の罪もないのだから。

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