2008年12月16日火曜日

英語圏の留学とホームステイ

以前アメリカの最大手ESL(英語研修機関)の日本総代理店のマネージメントをしていた経験からすると、ホームステイは当たり外れが大きいと言わざるを得ない。

ステイする家庭がすべて、よくアメリカの映画に出てくる白亜のビッグハウスではないからだ。
学校単位で交換留学している場合は、留学先の学校の生徒にホームステイする例が多いので、送迎も含めあまり問題は起きないのだが、一般の家庭の場合、部屋数・家族構成・人種・あまり言ってはいけないかもしれないが貧富の差などによって、留学期間中の生活に天と地の差が出ることがある。

ホームステイ先が、一人部屋で、食事も朝夕作ってくれ、週末ともなると一緒に公園や観光名所へドライブして連れて行ってくれたりなど至れり尽くせりのところもあるが、逆に一部屋を何人かで共有し、食事も勝手に冷蔵庫を開けて作りなさいというところもある。

アメリカのスタイルだと、最初に断れば後は冷蔵庫を勝手に開けて、飲んだり食べたりすることはお構いなしのスタイルだが、日本人留学生はどうも他人の家でそのように振る舞うわけにはいかないと恐縮し、何も食べなかったという例もあった。

学校の送迎も、徒歩や公共交通機関があればなんとかなるが、一般的には車がないと通学すらできない。
通学できるかどうかもホームステイ先の人任せなのだから、気の弱い留学生は、送ってくださいとも言えずに引きこもってしまう子もいた。

英語圏の人と生活を共にするから、昼夜英語を使ってコミュニケーションができるというのは、理想の姿で、ホームステイ先が時間から時間で終わる勤務の人ならまだ救われるが、夫婦とも共稼ぎの場合は顔を合わせることも少ないような状況もあり得る。

数十年前のアメリカへの留学状況は、1ドル=360円の頃だが、日本がまだ貧しく留学生も国費留学やフルブライト留学生がほとんどだった時代には、アメリカの裕福な家庭がボランティア精神を発揮して日本からの留学生を手厚く持てなしてくれたのだが、現在はホームスティを家業としている、もしくは収入源の一部と考えているホームステイ先が多くなってきている。

私がよく、留学先の学校や宿泊先を、保護者や留学生が事前に視察した方がよいですよ、とよくアドバイスするのには、そのような理由がある。
せっかくしっかり勉強しようと留学したのはよいが、放課後ステイ先で勉強できるような環境ではなく、食事もままならないようだど、生活していくことに疲れ、勉強どころではなくなってしまう。

留学生は勉強することが本分なのだから、学校選択も大切であるが、ステイ先の環境が大きなウエイトを占める。このことに充分注意してもらいたい。

学校に付帯している学生寮は、施設・食事・メンテナンスなどがしっかいしていれば申し分ない。
通学は徒歩なので通学に気を使うことがなく時間のロスもない、食堂があるので食べることに困らないなどメリットが大きい。

英語圏のサイパンはどうかというと、アットホームな家庭が多いのでホームステイのトラブルがないかと言えばそうでもない。大なり小なりアメリカと同じような問題を抱えている。

Kohinoorでは、長期留学生の食・住の件を対処するため、近所のホテルに委託している。
ホテルなので二人一部屋、もしくは一人一部屋も自由にアレンジできるし、日本食堂があるので食事の心配もない。
留学生は勉強に専念できるし、こちらも留学生の指導に専念できる。

1~2週間程度の短期留学ならあまり大げさに考えることは必要ないが、長期の正規留学の場合、食・住は留学生活の中で大切な要素であることを覚えていてもらいたい。

このことは長期で親子留学される場合も同様で、ホームステイを長期に経験したことがある、またはアメリカの生活を経験したことがある親が引率するのならあまり問題ではないが、そうでない場合はホテルやアパートでの滞在をお奨めする。

身内や友達の家だからと言って、長期になればいろいろ滞在先に気を使わなければならないことも出てくるので、留学は勉強することと専念し、割り切って自身のお城を持った方が、後々何かと気苦労しなくて済む。

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