2008年12月30日火曜日

英語圏で帰国子女・大学受験生を養成する

帰国子女枠は、日本の各大学で広く採用されている。
少子化の中、大学側も経営サイドで英語の堪能な帰国子女に対し、受け入れを拒む理由はあまり考えられない。

国語力・他の教科が日本国内で勉学した子女に劣るからと言う理由で、頑なに受け入れを拒否する考え方もあるが、その大学の関係者たちは本気で帰国子女の学力が劣ると考えているのだろうか。

英語力は大学受験で英語を釈迦力になって勉学した子女よりも明らかに勝り、また他の教科についても、アメリカの教育基準を本当に理解しているなら、決して他教科の学力が受験生に劣っているなどとは、言えないのではないかと思う。

英語圏のサイパンで進学塾を経営している関係上、地元の生徒達が日々学校で勉学している各教科の内容は、つぶさに掌握している。
確かに国語(日本語)は勉強する機会がないので、古文や漢文などは受験生に劣るかもしれないが、現代国語などはトレーニングの仕方で日本の大学の授業についていけるだけの理解力は充分確保できる。
アメリカの大学は受験の際にTOEFLを課す大学が多いが、これも大学入学後に、授業についてこれるだけの英語力があるのかどうかをテストしているだけのことだ。

日本の生徒は、通常の国語のトレーニングを欠かさず行っていれば、日本の大学の授業についていくだけの日本語の力を持つことはそんなに難しいことではない。
また他の教科の件について言えば、受験科目にある数学・理科・社会も、現在のアメリカの教育システムに準拠している学校では、日本以上のレベルの教育が行われ、成績優秀な生徒の学力は、一般受験がもし英語で行われたならば充分合格する実力を持っている。

このような状況にあるのは、日本のゆとり教育がもたらした各科目の学力レベル低下のせいで、日本とアメリカの教育のレベルが逆転している結果であると思われる。
厳しい言い方かもしれないが、世界レベルの大学ランキングでベスト10に日本の大学は1校も入っていない。入学時の難易度はベスト10に入るのかもしれないが、かの東京大学でさえ14位という位置である。
これは、大学の様々な環境も考慮されてランキングされるわけだから、一概に正しいとは言えないが、世界的な規模で見た場合には、このランキングは妥当性・正当性が見受けられる。

このようなことを考慮すると、帰国子女が日本の大学に合格しやすいという考え方は、誤っていると思う。優秀な帰国子女候補生達が日本に帰国せず、アメリカの大学を目指すことになれば、東京大学よりもランクの高い大学に入ることだって充分可能なのだ。

帰国子女枠制度を廃止する、ハードルを高くする、生徒単身の留学の場合は認めないなど、いろいろ制約をつけている大学も増えてきているが、優秀な学生を集めたいのならば、そのような垣根は取っ払って、もっと帰国子女の枠を広げた方が、結果その大学の世界ランキングが上がることは言うまでもない。

私の塾Kohinoorから、まだ帰国子女枠を利用し合格した生徒は排出していないが、今後候補となる日本人が来年以降留学することが決定しているので、日本の大学が今のままの状態が続くようであれば、生徒の人種を問わず、迷わずアメリカのハーバード大学やMIT,スタンフォード大学進学を念頭に置いた現在の進学塾スタイルを変更する気はない。

世界ランキングにこだわるようだが、トップ10のアメリカの大学に入学することは、帰国子女枠を利用してどこか肩身の狭い思いをしながら日本の大学生活を送ることを考えると、比べ物にならないほど価値観がある。
その生徒たちは、日本語を使ったテストで図る偏差値では比較できないが、各教科の総合学力では明らかに優っているからだ。

日本の大学関係者は、このことにもっと早く気が付くべきだ。
優秀な頭脳を持つ日本人生徒が、今後ますますアメリカをはじめとする海外の大学に流出することは間違いなく起こり、大学受験に対する考え方がトレンドとして世界に向けられていくことを。

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