2008年11月22日土曜日

帰国子女枠とSAT

帰国子女枠制度を利用して日本の中学に進学したい、また大学に進学したいと考えている生徒たちも留学してくる。
受け入れ先である日本の学校や大学は、帰国子女枠として一般的には2年以上の海外留学期間を資格として認め、帰国後1年以内に受験し入学または編入することができる。

数年間の転勤などでどうしても保護者と海外で居住する必要のある生徒たちは、ぜひこの制度を利用する手だ。
最近では、ほとんどの有名中学・大学がこの制度を設けているので、選択肢は以前に比べて広がっている。ただ注意しなければいけないのは、特に大学の場合は選択できる学部に制限があり、医科歯科系を希望する生徒は特に注意が必要である。

高校からの入学・編入はあまりお奨めできない。
なぜかというと受け入れ先の高校が限られ、受け入れ生徒数も少なく、最も問題なのは大学受験の際に帰国子女枠は使えず、一般生徒と同等の立場で受験することが求められるからだ。
英語は有利だが、他教科特に国語や小論文は不利と言わざるを得ない。

中学での帰国子女枠受け入れ基準レベルは学校によって異なるが、英検準2級~2級合格程度は最低必要になる。
例えば英語圏であるサイパンの小学校6年生レベルでどの程度の英語力かというと、英検2級は文法・イデオム等の英検テスト対策用のレッスンを補助的に行えば問題なく合格する。
リーディング・リスニング・ スピーキングは合格基準以上に必ずなる。
笑えない話だが、英検の日本語で出題される文章が読めないという生徒が出てくることがある。
これには傾向と対策のテクニックで教えてしまうのだが。

日本語の勉強を日常滞りなく行うのは、学校の年間カリキュラム・塾のスケジュールの時間的猶予から見て、日本の生徒たちの受験レベルに持っていくのは教える側、受ける側からしても非常に困難である。
その意味からしても一般受験での入試合格は難しくなる。
まして4教科を要求される入試は、社会・理科の内容が日本とは異なるので不可能に近い。

大学の帰国子女受け入れは、SAT(アメリカ版共通一次試験)のスコア如何による。
SATは英語1600点、数学800点計2400点満点のテストだ。
70%以上取得すれば、日本のほとんどの有名大学に入学できる、さらに80%以上取得すれば東大や早稲田・慶応・ICUなどといった難関大学への進学も可能である。

果たしてこのスコアが取得できるかどうかだが、最低3年~5年間(中学~高校)をアメリカ圏で勉強し、SATのレッスンを行えば、日本人でも70%以上のスコアを取得できることが十分可能である。
80%以上取るためには、英語・数学を二本柱に相当特訓する必要がある。

因みに本年度アメリカの大学に合格した韓国人留学生は小学校低学年から約10年間サイパンに留学し、ハーバード大学の合格者はSAT98%~。
スタンフォード大学は95%~が合格ラインだった。
これは10年計画でなせる技であって、数年間では数学はともかく英語レベルを100%近くまで引き上げるのは非常に難しいと言われてきた。

しかし、最近の留学生の中には英語の素養と数学のセンスがある生徒も出てきたので、高校4年間でこのレベルに引き上げることは可能であると実感している。
もちろん小学~中学からスタートする留学生については、日本・アメリカ両国の学校・大学を選択肢において、中長期計画で取り組むことができる。

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