2008年12月6日土曜日

韓国からの留学生

各国からと言っても英語圏であるサイパンの留学生、特に北マリアナ大学生を除いた幼稚園~高校生は、韓国人が70%以上を占める。

本年度まで、韓国人はアメリカ本土に入国するのがビザの関係で困難であったためと、韓国から近いアメリカ圏で英語をマスターしてアメリカの大学へ進学しようという目論見があるからだ。
今まで何十人もの韓国人留学生を見てきたが、一様に言えるのは勤勉であるということ。
アメリカの大学へ単に合格だけではなく、奨学金を取得してもちろん学費を浮かせる意味もあるが、優秀な学生として大学生活を送ろうと日々努力している。
小学生から1日5~6時間勉強する生徒はざらにいる。
いつ寝ているのと思えるほど1日8時間という生徒もいた。
興味があって聞いてみたところ、朝4時に起き学校に行くまで3時間、放課後5時間勉強するという。
もちろん学年でトップで、この調子が続くと末恐ろしい位の学力と思考力がつくと期待している。

どうしてそんなに必死になるのか、いろいろ本人たちに聞いたり保護者に聞いてみると、韓国ではソウル大学か2~3ある有名私立大学以外だと就職も良いところを目指せない。将来がないと言っていた。
学歴偏重主義の最たるものが根強く社会に残っているため、唯一アメリカの有名大学だけは別格で、それ以上の価値観が社会で認知されているという。

そのため、アメリカの有名大学を優秀な成績で卒業し、MBAなどへ進学できれば将来の道は約束されていると確信を持っている。
この考え方が良いかどうかは別として、信念を持って一途に勉強する姿は私の目から見てもすばらしいと思う。
俗に言う根性があるという言葉があてはまる。

また保護者の方と面談する際に思うことだが、儒教の教えが徹底しているため、親・目上の人に対する敬意を払った言葉遣いや態度が良いこと、これは現代の日本人にはあまり見られない。
従って日本で問題になっている家庭内暴力や先生への暴力事件は起こらない。
親の言うことを聞かないと、母親でさえ子供を蹴ったり叩いたりして厳しく躾けていくという。
外ではあんなに優しく虫も殺さぬような母親が、家庭ではすごく厳しいと生徒から聞くと、おかしくなったりする。
かといって生徒達が委縮して自分の意志を殺しているわけでは決してなく、正当な考え方を堂々と述べて、自分はどうしたいかという持論を明確に持っている。

このように書くと日本人の生徒たちはだらしないかというと決してそうではなく、真面目に勉学しているが、気迫・根性・やる気・勝気といった昔堅気の精神が不足しているので負けているのだと思う。

留学するからには何かを得なければいけないという意識の中で、韓国人はアメリカの大学を卒業することを最終目標として明確に位置づけている。
日本人の場合は、英語をマスターできればよいと思っている人が多いので、このような差が出てくるのかもしれない。

英語を流暢にビジネスでも使えるようになるために、アメリカの大学を卒業するということは良い選択肢である。
この時期に覚えた英語は、専門分野も含め大いに活用できる。

ただしアメリカの有名大学へ進学しようとなると話は別だ。
TOEFLの留学生枠で英語は緩やかであるが、SATはアメリカの高校生と同じ土俵で合格・不合格を判定される。
SATで要求される英語・数学を、高校生までにいかにマスターできたかが最大のポイントとなる。

10年計画でSAT満点を目標としているサイパン韓国母子家庭(主人は韓国から仕送っている家庭が多い)は、情報網が整備されているので、このような生の留学情報が韓国人コミュニティで共有されている。
毎月のように韓国から留学生が増え、着々と底辺を伸ばし、学業レベルで英語を母国語とするアメリカ人や現地人チャモロ人さえをも完全に圧倒している。

当初様々な問題も多発したが、韓国の教育システムでは小学校から英語を教えていて、現在では有効に機能していると聞く。

この先10年もしないうちに、日本との学業レベル格差(特に英語について)は益々開き、アジアで完全に置き去りにされるような危機感を私自身は持っている。

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