2008年12月13日土曜日

英語圏に留学してネイティブの発音になるには

英語圏の海外留学を目指す家庭からよく問い合わせがあるのは、何歳から子供を留学すればネイティブの発音になることができますかということだ。

ネイティブの定義も難しいのだが、アメリカ人・イギリス人のキャスターが話すフォーマルな英語を、仮に日本人が正確な発音で話そうと思うと、私は小学校2年生までが限界ではないかと思っている。

言語学や脳に関する研究をされている先生方に会った際にも興味があり、この件に関して聞き及んだことがある。
ある人は3歳まで、ある人は5歳~6歳までと説き、様々な論説を聞いた。
人間の脳の機能を考えると、小学校入学前の時期までに、英語圏で日常生活を英語で過ごした場合に、ネイティブになれる可能性が非常に高いらしい。

Kohinoorに来ている日本人生徒の例を見ると、幼稚園~小学校で行われるPhonics(フォニックス・スペルと発音の関係の音声学)の授業を受けている生徒たちの発音は、限りなくネイティブに近いもしくはネイティブである。
もちろんサイパンで生まれ育った子供たちは、人種を問わずアメリカ市民権を持つ権利があり、英語環境で日常を過ごした場合、間違いなくネイティブの発音になる。

幼少時期に多各国語をマスターすることに意義を唱える方もいるが、生徒たちを見ている限りにおいて決してそんなことはない。
日本語・英語の会話ををなんなくこなす。
ただし、漢字や日本語特有の言い回し、語彙が同学年の日本人に比較すると不足するのはしようがない事だ。

最初は英語を全く知らずにサイパンにきて1年過ぎるてくると、英語で物事を考えだすようになってくる。 勉強のこと・日常生活のことすべて脳の中の思考パターンを英語で発想し、考え、行動するようになる。

こうなると発音もそうだが、思考パターンが限りなくネイティブに近くなり、日本人特有の性格や体格までも変化が生じるようになってくる。
これをよしとするかどうかも議論があるが、英語圏で育っても日本人のマインドを忘れていないバイリンガルの日本人生徒もいる。

一方、現地チャモロ人の生徒の中には、日本語を全く話せないのに日本人気質を持っている生徒達がいる。
鼻水が出るのでトイレットペーパーをくださいと言うので、素直にティッシュではなくトイレットペーパーを差し出したところ、巻きロールの切れ目の1つ目で切ってきれいに4つ折りにたたんで鼻を噛んでいる。
そんなことせずにもっとふんだんに使ったらと言ったところ、家庭で父母からもったいないからそうしなさいとしつけされているらしい。
興味があったので詳しく聞いてみると、生徒の祖父母が戦時中日本の統治下の教育を受けたそうだ。その際に学んだ質実剛健の精神と礼儀をわきまえる日本教育にすごく感銘し、それ以来家訓として代々引き継がれているとのことだった。
その家庭はサイパンでも特にリッチな家庭なので、余計に感心させられた。

そのようなチャモロ人はその家庭だけではない。
日本の古き良き時代の文化・慣習を尊ぶ外国人がたくさんサイパンには住んでいる。

日本人が日本人らしくなくなった、抽象的な言い方だが確かにそうかもしれない。
祖先や親、目上の人を敬うなど現在の日本では死語に近いのでは。

異文化コミュニケーションの原点は、先ほどのチャモロ人生徒の祖父母のように、他の国の文化・伝統に触れた際に自分自身が感じ、自分のものとして取り入れ、良いことは子供たちにも伝承していくという日常的な生活から始まるものではないかと思う。

発音がネイティブだから英語圏の人と話がスムーズにいくとは限らない。
発音は良いに越したことはないが、中身が見当違いだったり、意味のない会話、vocabularyが的確でない場合などは、一般社会やビジネスの世界では通用しない。

生前SONYの盛田会長の英語スピーチがアメリカ国内で高く評価されたように、発音はよくなくても自分の考えと内容のあることをしっかりと述べることが重要なのだ。
最近ではアメリカ大統領の演説しかり、あまり難しいVocabularyは使わなくても、万人に通じる言葉を多用し、的確に相手に意志を伝えることが重要だということだ。

ネイティブの発音を求めるなら、遅くとも小学生1~2年生には英語圏に留学した方が良い。
Phonicsは英語の基礎を習得する上で重要な意味を持っている。

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