2008年11月29日土曜日

英語圏の海外留学・・・高校生1年~2年

高校は9th ~12th grade、つまり日本の中学3年生から始まる。

アメリカの場合、高校までは権利教育、つまり18歳までは教育を受ける権利があるので、日本で言うところの義務教育扱いとなる。
公立校の場合、ローカルの人は授業料をほとんど支払うことなく生徒は通学できる。

英語圏であるサイパンに、もちろん公立高校はある。
全校生徒が1500~2000人の規模の大きな高校で、1クラスの人数が約20人ほどなのでクラス数は通学している生徒ですらはっきり知らない場合がある。
ローカルだけではなく、学生ビザを取得した留学生たちが通学する高校の中には、最近の教育熱の影響で特進クラスを設けている学校もある。
ただ生徒数が多くローカル人対象なので、新規の留学生を受け入れるESL(英語研修)やフォロー体制等に欠けるデメリットがある。

一方私立高校だが、1クラス20人程度で各学年1クラス~数クラスといった小規模の学校となる。
私立なので各高校はそれぞれの特徴を持っている。
アメリカの大学進学に特化した学校、裕福な家庭の子女が比較的多い学校、のんびりとした学校生活を過ごせる学校など、人口が少ない割には選択肢が多い。

高校生の海外留学に関しては、その目的をはっきりさせる必要がある。
英語の習得と海外の生活習慣などの異文化コミュニケーションの習得を目的とするなら、あまり学業の厳しい高校は向いていない。
それよりESLの制度があり、海外留学生に広く門戸を開いている高校が望ましい。

一方、SAT(アメリカの共通一次試験)でハイスコアを取得し、アメリカの大学合格を目指すか、帰国子女枠で日本の有名大学合格を目指すかである。
この場合は、俗に言う進学校への入学・編入が望ましい。

ただ留意してもらいたいのは、高校から留学した場合、英語力が英検2級程度は最低欲しいところだ。
英語以外の他教科のレベルは日本の高校とほとんど変わらない。
その授業を英語で受けるわけだから、先生の説明していることすら聞き取れないとなると宿題・レポートなど日々行わなければならない最低限の勉学に支障をきたすことになる。

高校は科目を選択できるので、すべてのことを学習しなければならない小学生高学年~中学生よりは、各教科の専門知識の深度はあるが取り組みやすいことも事実だ。

高校生の1年間交換留学プログラム制度があるが、履修科目の単位互換性などを留学前に調べておかないと、日本の高校を1年間休学・留年などすることになる可能性がある。
また、日本の大学進学のことを考えた場合、帰国子女枠は使えないので留年しない場合、一般受験生徒の学力ギャップは開くことになる。
このような場合には、留学先においても日本の大学受験に向けた演習を、現地高校に通学しながら継続することが必要であると考えられる。

具体的にサイパンで留学生がどのように日頃勉学しているか?
進学校に入学・編入するためにはテスト合格が必要なので、英語・数学を事前に1年間ほど特訓を行い、入学後は1日平均2~3時間かかる宿題をサポートしながらこなすことにまず追われる。
生徒自身でこなせるようになってからは、SAT受験対策を始めることになる。
かといって1週間ずっと勉強ばかりかというとそうでもなく、週末はよく映画館やボーリング場・テニスコートなどでよく会う。
生活のリズムとパターンが決まってくるので有意義な留学生活を送っている。もちろん16歳以上の生徒は、自家用車で通学・お出かけしている。

一般の高校に通学している留学生は、有名大学でもなくてもよいのでアメリカのどこかの大学か、母国の大学に進学したいという希望が多い。
その場合は日常の宿題・レポートなどのウエイトは低いので、1日1時間程度で済ますことができる。
ただし11年生からはTOEFL及び、SAT受験対策を行っている。

サイパンは治安が良いので、私立高校の場合ドラッグやガンの脅威はまずない。
アメリカ本土だと相当都市部から離れた地域でも(田舎や高級住宅街ですら)ガンへの警戒は日頃から欠かせない。
娯楽が少ないのが玉に瑕だが、留学生の本分である学業に専念するという意味では年中気候も良いので、健康的に日常生活を過ごしながら、マリンスポーツ・テニス・ゴルフなどのスポーツも楽しめる留学パラダイスだと思う。

2008年11月28日金曜日

英語圏の海外留学(2)・・・中学生3年

中学3年生は9th gradeとなるので、英語圏であるサイパンでは高校1年生となる。

日本の高校のカリキュラムと同様に、社会・理科系教科がそれぞれ分野別にHistory(歴史), Biology(生物), Chemistry(化学), Physics(物理)などに細分化され必須または選択となる。

数学も分野別になり、Algebra(代数), Geometry(幾何)などに分かれ必須科目となる。

各教科のレベルは、日本の高校とほぼ同程度であると考えてよいと思う。
ただ、Vocabularyは専門用語になるので完全にマスターする必要がある。

中学3年生からの留学は、義務教育課程である日本の教育制度を考慮すると、まず中学を卒業してから海外留学を視野に入れる考えの方が一般的ではないかと思う。
私の意見も同じで、日本の中学3年生を卒業した後(義務教育修了後)に海外留学することをお奨めする。

理由として中学3年生(9th grade)にいきなり編入し、授業についていくのは上記のカリキュラムを見ても判るように、先生の言っていることはおろかテキストすら満足に読めない。これでは留学する生徒があまりにも可哀想だ。

最近、日本の中学・高校生が修学旅行や、夏休み期間中に海外語学研修と称して約1ヶ月間を海外の学校や語学学校で研修するプログラムのことをよく聞く。
英語を勉強することや英語の生活に浸しむことは、非常によい経験になり良いことであると思う。
しかし勘違いしてはならないのは、1ヶ月程度英語の触れる内容の英語と、長期に留学し授業を受けるレベルの英語とは根本的にレベルが異なるということだ。

1ヶ月間の短期留学は学校に通学する場合、(学年を落とした)クラスで体験学習することや、ESLクラスで英語をトレーニングすることになる。
留学体験としては、よい経験にはなると思うが、クラスの生徒達が学習している科目レベルとは異質の内容であるということを知ってもらいたい。

真剣に海外留学を志すならまず学校及び学年のレベルをよく知ることから始まる。学校選択は重要なポイントである。
偏差値は都市部であればランキング表などでも確認できるが、サイパンは学校のレベルを生徒や先生のレベル、テキスト・授業内容などで掌握するしかない。実勢に合っているので一番確実である。

科目に関して、特に日本人に馴染みが薄いBible(聖書)の授業があるカトリック系の学校も、宗教的に差別するわけではなく、できれば選択肢から外した方が生徒の負担が免れる。
もちろん幼少時から聖書原文に慣れ浸しんでいるインターナショナルスクール系の生徒の場合は別である。

どうしても保護者の転勤等で中学3年からの編入になる場合は、夏休みまでの期間に7~8th gradeを4月以降に数ヶ月間受講し、まず学校の雰囲気に慣れること、そして英語に慣れることからスタートする方法が良いと思う。

4月以降~7月末まで(新学年が始まる前)4ヶ月間あるので、その間に英語のレベルアップと各教科に必要なVocablaryなどを学校授業と同時並行的に履修することは可能である。

英語圏の海外留学(1)・・・中学生1年生~2年生

中学1~2年生は、サイパンの学年制で表すと7th, 8th Gradeとなる。
中学生は8th Gtadeまで、その後は高校となる。

英語については分野ごとに細分化されて来るようになる。
Critical Reading, WritingがSATもしくはPSAT(SATの前段階のテスト)に、Reading・Vocabulary・文法の各スキルを伸ばすためにテキスト・副読本・プリント・PCなどを使用しながら総合的に英語力を付けていく時期になる。

数学についてはAlgebraⅠ(代数の基礎)とGeometry(幾何学)を2年間かける学校とAlgebraに重点を置く学校とに別れる。中高一貫校が多いので、学校のカリキュラムの編成によって多少異なっている。

また、学校によっては学校対抗・個人選抜のMATH COURT(数学の能力コンテストのこと、アメリカが本拠地)に備え、通常授業の中にテスト対策用の演習を取り入れているところもある。通常の数学は日本とレベルはさほど変わらないが、この演習は相当にレベルが高い。
英語圏であるサイパンの中には、大学進学を目指している生徒が通学している2~3の学校が採用している。
例年のMATH COURT表彰者はこれらの学校の生徒達が独占し、優勝者はアメリカのMATH COURTに招待される。

その他教科については、小学生からのステップアップと考えられる。内容の深度は上がるが、小学生までの基礎が理解できていればそんなに厄介ではないと思う。

アメリカの大学進学に必要とされるSAT(アメリカの共通一次試験)の科目は、英語・数学2科目なので、この中学生時期にいかにレベルを上げることができるかが重要である。
この2年間で英語・数学の基礎をしっかりと理解すれば、アメリカの大学への合格の可能性は見えてくる。
それ程にこの2年間は、学校のレベル格差と本人の理解力・やる気・集中力が左右し、顕著にその結果が出る。

中学に入ったら頑張ろうと、小学生高学年時期からのんびり構えているローカルの生徒もいるが、そのような安易な意識では、いかに英語が話せようが授業についていけないケースが増えている。

決してガリ便を奨励しているのではなく、中学ともなると生徒が自己管理して1日最低2~3時間の復習・宿題・予習・読書などをする習慣を毎日つけることが必要になってくる。
自己管理ができるようになってくると、生徒が日~週~月~学期と少しづつ長い期間単位で自身のスケジュールを組み立てていくことができるようになる。
このことが身につくと、学業・課外活動など何をやってもそつなくこなせるようなマルチな人間に成長していく。

この中学生時期から留学を始めるには、英語力・他教科の知識習得(特にVocabulary)が高いレベルで必要となる。
実際より学年を1~2年落として入学・編入することも場合によっては必要だ。
英語の学習を本格的にしていない生徒の場合は、学年を1~2年下げても英語レベルは高いので事前にトレーニングが必要であろう。

英語の総合力を上げたいのなら、Readingが70%のウエイトを占める。
これはアメリカ人の先生たちが言っていることだ。
英語が話せるようになってくると、とかくReadingが煩わしくなってくるのだが、Readingなくして英語の上達は有り得ない、ましてアメリカの有名大学への進学は有り得ない。

2008年11月27日木曜日

英語圏の海外留学(4)・・・小学生6年

日本で言うところの中学校のスタート学年になる。
小学校5年生まではクラス担任がほぼ全教科を教えるが、この学年からは各教科別の先生が専門の教科を教えることになる。
小学・中学の私立一貫校であれば5年生までに学習した小学校基礎学力のステップアップという考え方である。

各教科それぞれに専門知識の深度が深まっていくが、特に数学については顕著になる。
これは日本の中学と同様に、代数(つまりXやYという変数)の基礎が始まる。
今まで小学校までの算数とは概念が異なり、よくここで数学が判らないという生徒が増えてくる。

何度も繰り返すようだが、テキストが分厚く内容盛りだくさん。
日本で言う参考書仕立てになっているので、説明文・例題・演習問題・テスト形式と通常の授業時間内には終わらない。
そこで演習問題が宿題となるわけだが、授業時間中の説明を理解していれば約1時間程度で終わるのだが、ボリュームが多く演算方法の基礎から教わるものだから、理解するのが当然のことながら要求されるスピードに追い付かない。

日本では私立中学の受験の追い込み時期で、算数などは大学生が解けないような高度な問題も出題され、学習塾などで特訓を受けている生徒たちは難なく解いていく学年である。
しかしアメリカの教育制度では、8月(もしくは9月)~始業し6年生修了時には11歳である。 しかも代数など日本より高度な数学を要求される。

日本の場合6年間算数を学習した集大成の応用問題で入試を行っているが、サイパンの場合は5年修了時にレベル診断は学校側で行われるが、あえて高度な算数解答テクニックを身につけさせるのではなく、次のステップである数学(代数や幾何)に進んでいくと言えばわかりやすいかもしれない。

公立校の場合6年生は小学生なので、授業のスピードはもっと緩やかである。私立校との学業の進度の差は、この時期(小学5年~6年生次)につく。

小学校6年生修了時の英語力は、英検2級以上である。
例えば『ハリーポッター』の原書を、スラスラ読んでしまうReading力はほとんどの生徒が持っている。

気になる会話力であるが、私が今まで見てきた各国の生徒の例から鑑みると、平均3年間、英語圏であるサイパンに留学すれば、学校でまた生活で遭遇する会話には間違いなく困らないであろう。
もちろん英語を話すことは1年経過すればでき始めるが、意志や感情を伝えるだけではなくニュアンスなどを表現できるようになるには、やはり3年間程度は必要だと見ている。

おもしろいことに2~3年経過してくると、日本人留学生も日本語より英語の方が話をすることが楽になってくる。
特に学業に関することは学校で全て英語なので、生徒曰く塾に来て日本語にいちいち訳すのも面倒だし、かえって難しい。
そのレベルまで到達すると私も英語で説明するように対応している。

小学校高学年から編入される際、英語力が英検3~準2級程度であればついていけるが、それ以下の場合には当初相当苦労することになる。

日本の中学受験との兼ね合いもあり、帰国子女枠だと通常2年以上の留学実績を要求されるので、少なくとも小学5年生~6年生の2年間もしくは小学4年生~6年生の3年間を留学期間と考えた方が、英語力及び帰国後の帰国子女枠を利用した中学入試(編入)を考えた際に有益であると思う。

2008年11月26日水曜日

英語圏の海外留学(3)・・・小学生5年

英語圏であるサイパンの場合、公立・私立また学校に因って異なるが、5年生までが小学校課程で、6年生からは中学校課程となっている学校が多いので敢えて5年生と6年生を別けてみた。

前学年から引き続き各科目の深度は深く(高く)なる。
小学校3年生からレベルアップのスピードが上がり、そのままの加速状態で5年生の1年間があっという間に過ぎる。

この時期から特にReadingに関して、一般の青少年向きの小説や物語などを多用することになる。
授業期間1時間で進むページ数が10ページから20ページと多くなるので、そのスピードで書いてあることの内容が理解できるかどうかのスキルを必要とする。
当然解らないVocabularyも出てくるわけだが、辞書で調べるかもしくは、前後の文章で意味を把握していくスキルが要求され始める。
この時期までに英文法の基礎を終わらせておかないと、文のどこからどこまでが繋がっていて、どこで切れているか等、読んだ瞬間に理解できないと授業についていけず、宿題やレポート提出などが疎かになる。

Science(理科)やSocial Study(社会)の教科についても進行のスピードが速くなる。
というのは、テキストのページ数(書いてある内容の絶対量)が増え、先生が事詳細に内容を説明する時間がないので、講義スタイルで終わらせてしまう機会が増してくる。
こうなると先のReading力が、ついていないとこれもまた授業についていけないことになる。

つまり、授業中に先生が話していることが多少解らなくても(もちろん100%解った方が良いのだが)テキストに記載されている内容を読解できれば、宿題・テストについては対応できる。

算数についても同様。日本では習わない概念やVocabularyが出てくるが、日本の算数と比較しながら説明すればまず皆理解できるのであまり心配はない。
ただ文章問題になると話は別だ。他の教科に比べ算数の文章問題は、シンプルな文や言い回しを多用するので、いい加減な読解力では何を質問されているのか理解できず、解答できないことになる。
ビジネス英語にも通じる表現も含まれ、単に計算・公式・数字だけではない英語の数に関する表現方法の明確さをこの時期に習得することになる。

もし小学校5年生から留学をスタートさせるなら、英会話は後回しにして、まず英語の文法・Reading力・Vocabularyをつけることから始めるのが、学校の授業についていけるかどうかの最大のポイントになる。Reading力がつけばHearing力はどんどん伸びてくる。

英語圏の海外留学(2)・・・小学生3年~4年

アメリカの基礎教育が何たるかが始まるのがこの小学校3年生~4年生の時期。
自然科学・社会の科目が本格的に始まり、学習内容のレベルが一気に引き上げられる。

英語圏の小学校では、英語の基礎はできるという判断の上に展開されるわけだから、英語も含めこれらの科目の授業についていくのは、この時期からスタートする留学生には困難を強いられる。
逆を言えば、遅くともこの時期に海外留学をスタートさせ、基礎知識を習得することが良い結果を生むことにもなるわけだ。

本格的にスタートするScience, Social Studyは、学年を追って次第に内容の深度・分野が拡張されてくるので、この時期に基礎をしっかりマスターすることがポイントとなる。

特にScience。アメリカの自然科学・基礎研究が世界一である理由がテキストを見ただけで解る。
何と厚さが3~4cmもあり、説明・図解・研究・考察などの一連の思考パターンが、この時期に既に展開され、内容も一部日本の高校レベルである生物Ⅰに含まれている分野もあるから驚きだ。

この時期から自然科学の基礎を徹底的に教えるわけだから、ちゃんとマスターすれば将来はすべて科学者になれる?とは行かないまでも、理論構築の基礎には大変有効である。

Social Studyについては、一般常識や地理の内容については万国共通なのだろうが、ことアメリカ史に関しては、歴史が短いアメリカならでは。
建国の歴史前から現在に至るまで文化・思想・事件・政治・経済などの分野にまたがって詳細に展開されている。

日本の教科書の内容を批判するわけではないが、内容の深度が明らかに浅いことと、それを補足するための教師陣にその分相当負担がかかっているのではと推測してしまう。
いっそのことすべての内容をテキストに収録してしまった方が、教師側も教えるのが楽なのではとさえ思ってしまう。

テキストだけを見る限りにおいては、英語・日本語を言った言語の壁を乗り越えてでも、生徒がこのテキストを使用して勉強したらどんなに有益だろうと思う。

Vocabularyも当然小学校1年生~2年生に比較し、数段レベルアップする。
日本の義務教育の3年間の英語の授業ではお目にかからない単語が次々と登場してくる。
ScienceやSocial Studyの教科では、専門的な単語になるので大学受験によく出る英単語のレベルをも完全に超えることになる。

日常英会話を得意と自負する日本人で、TOEIC600点以上の人、英検2級の人も、きっと手を焼くに違いない。

2008年11月25日火曜日

アメリカの有名大学に合格する留学生は何が違うのか

アメリカの有名大学・有名学部進学を目標とするなら、早い時期の海外留学をスタートさせることをお奨めする。これは実話が物語っている。
今年Harvard, Stanford大学に合格した両名とも小学3年生から英語圏であるサイパンに留学している。二人とも私が言うところの間違いなくネイティブな生徒たちである。

二人がほかの生徒たちと違っていたのは、目的意識の持ち方である。

一人はStanford大学医学部を志し、卒業後アメリカで開業医と思いきや、アフリカの無医村地域で医療活動をしたいと言ってきた。
母親もその意見に賛同し、数学は言うに及ばず、SATサブジェクト(医学部なので通常のSAT以外に自然科学分野を大学側から要求される)生物・化学を真剣に取り組んだ。
ボランティア活動もサイパンの公立病院で数年間続けてきた。

もう一人は、Harvard大学お決まりの法学部ではなく、経済学部を選択した。
高校2年生次にはSAT満点を獲得し、その後は同じくボランティア活動に精を出していた。
彼女の場合は、ありとあらゆる奨学金を獲得し、またピアノ演奏についても非凡なる才能があり、様々な分野で近年稀に見る模範生徒だった。

アメリカの大学は成績だけではなく、ボランティア活動やクラブ活動といった課外活動も入試選考に重きをなす。
一定成績以上であれば人格などのキャラクターを重視するわけだ。

良い大学を出て高収入を得る、もちろん大切なことではあるが、最近のアメリカ及び、もちろん日本でも終身雇用制という考え方はもはや崩壊している。
法人が40年間も優良企業として存続することが困難と言った方が正確かもしれない。

社会に出て何をしたいか、何になりたいか、どのように社会に貢献したいかを意志として明確に、青少年時期には持ち続ける必要があると思う。

もちろん幼少時にはまだ意志決定できないだろうが、『夢でもいい』持ち続けることが、海外留学を成功させるひとつのポイントになる。

海外留学したから英語が上手になったでは、この先通用しない。英語を上手に操る人は今後どんどん日本国内でも増えてくる。
ハーフ・帰国子女・インターナショナルスクールなどその要因はいくらでもある。

だから海外留学について、第一の目的は英語をマスターすることであるが、その後の目的・目標を明確に描き、そのモチベーションを持ち続けられるかどうかに成否がかかっている。

当然のことではあるが、どのような専門知識を習得し、プロとして社会で通用するかが鍵となってくる。

2008年11月24日月曜日

英語圏の海外留学(1)・・・小学生1年~2年

日本の留学斡旋会社のカウンセラーも、最近留学の低年齢化が進み、小学校低学年からの留学を希望する保護者が増えてきていると聞いている。ベビーブーム世代の子供の年齢層に当たる保護者にこの傾向があるそうだ。

ベビーブーム世代は小さい頃からずっと大人になるまで受験戦争を勝ち残り、社会に出てからもバブルの栄枯盛衰に直面するなど、生き残るために一生懸命人生を過ごしてきた日本の戦士集団ともいえる。

その子供のあたる保護者が、子供の将来のために世界に目を向けているのは、興味深い傾向だと思う。

<小学生1年~2年生>

アメリカの教育の基礎教育期間にあたる重要な学年である。英語とはどのような言語であるかを、文字・音から導入する。

アルファベットに始まり、Phonics(フォニックス)、リーディングなど、英語の4つのスキルであるReading, Writing, Hearing, Spakingを同時にレベルアップさせていく工程を踏む。

この時期にPhonicsのトレーニングを完全にマスターすれば、発音はほぼネイティブ並みにできるようになる。また、発音とスペリングの関係もトレーニングに含まれるので単語のWriting力もかなりつく。

Readingは学校によってかなり進度の違いはあるが、小学2年生修了時で日本の中学2年生修了時のレベルとほぼ同等であろう。

その時点での会話力については、クラスメートとの会話は全く問題なくこなせ、授業中の先生の言っていることもほぼ100%聞きとれ内容を理解できるようになっている。

この時期から本人一人で長期間留学することは、ホームシックやビザの取得のことを考えると難しいので、保護者が現地に居住しているか、日本から同伴するしかないであろう。

ただサイパンの場合、日本から近いことや小学校は4期制なので各学期(2~3ヶ月)の終了時に休暇があり、その時期を利用し気軽に日本に帰ることができるので、それらの問題は少なからず解決することはできるであろう。

2008年11月23日日曜日

サイパンは国?

面白いことに現地の人はCNMI(北マリアナ連邦)と答える。しかし現地のアメリカ人の多くはUSAと答える。CNMIはアメリカ領自治領だから主観的な見方で答えが違ってくるのだろう。

CNMIで誕生した赤ちゃんは、USAのパスポートを持つ権利がある。アメリカ本土と同様なルールである。パスポートがUSAだからサイパンはどこの国?と聞かれたら正解はアメリカだろう。

ここ数年、観光ビザで入国しサイパンで出産する女性が増えている。アジア系がほとんどであるが、アメリカ本土よりビザ規制が緩やかでアジアから近いこと等が起因している。アジアのある国では、出産専門のブローカーやツアーまであると聞く。そのため近所のクリニックは朝早くからミニバンで妊婦の人が大挙して診察に来ている。
そこまでしてアメリカのパスポート(国籍)が取りたいかと日本人ならそう思ってしまうわけだが、日本人はその置かれている優位性についてあまり意識する必要がないので無関心で済まされる。

アジアのほとんどの国や共産圏と称される国々は、ビザがなければUS本土には入国できない。現在は必要なくなったが、以外に韓国もそうであった。しかしサイパンはその点緩やか。観光の島でもあるので、様々な国籍の人種が入島してくる。テロの対象になる官公庁・基地・法人・個人などが存在しないせいで、これは島の産業のことを考慮すると大いにうなづける。

学生も例外でなく、サイパン現地で結婚して(または未婚で)子供をサイパンで出産する人が増えてきている。同国人同士または国際結婚など。日本国内も国際結婚が約18%と聞いている。ここサイパンでは当然のことながらその比率は高くなるわけであるが、夫婦のコミュニケーション手段としての英語は不可欠である。これこそ異文化コミュニケーションにおける究極の姿の一つかもしれない。

英語圏の海外留学・・・保育園生~幼稚園生

いつから海外留学するのがよいのか。
この件に関しては意見が分かれるようだ。留学生の性格、英語のレベル、他教科のレベル、保護者が同居するか否かなど様々な条件と環境を考慮して決めるべきであろう。

ここでは、各学年(年齢)における留学する場合の留意点を述べたい。

<保育園生~幼稚園生時期>

アメリカでもプレスクールやキンダーガーデンと言われる時期なので、アルファベット・Phonics(フォニックス・発音やスペリング)・Vocabularyなど英語の基礎と、算数の基礎を勉強する時期に当たる。
この時期からの正規留学はバイリンガルになる要素が非常に高い。

バイリンガルは単に2ヶ国語を操れるということだけではなく、その国の生活・文化・慣習・マナーなどを身につけた異文化コミュニケーションをマスターしている人のことを指している。

ネイティブといえどもまだこの時期には言語として英語を習得中なので、トレーニング次第だが日本人がそのレベルに近づくことは十分可能。
また、他教科(理科・社会など)もほとんどないので楽に入っていける。
絵本のリーディングは当然あるが、アルファベットというよりイメージ(写真や絵)が載っているので理解しやすくイメージを描きながら英語に入っていける。

語学を習得するのは幼児期からの方が良いに決まっている。
しかし、日本語がまだ習得時期である幼児期に英語を勉強するのはどうなのかという点がよく論争になるが私はそうは思わない。

なぜかというと、Kohinoorの小学生の生徒に4ヶ国語、英語・日本語・韓国語・スペイン語をすべてマスターしている兄弟がいたからだ。
驚異的とは思えたが彼ら曰く、第2外国語をマスターすれば第3・第4外国語は全く抵抗ないという。
それを物語るように最近は第5外国語として中国語に挑戦している。

語学はスキルであるから、乳幼児~幼稚園の時期にスタートさせる環境があればこの上ない。
現実的に多国語を同時に習得していくことも十分可能である。

多国語が必要であるかは、個人の考え方による。
できるにこしたことはないという考え方と、できればその国の本やスピーチを翻訳を頼らずに直接自身で理解できるという大きなメリットがある。
翻訳や通訳による言語の変換は100%正しいわけではなく、原語はその国で生活する民族が自分たちを表現するために使用しているコトバである。

それこそ異文化コミュニケーションがコトバの中にも表現され、その国・民族の考え方や歴史的な背景までをも原語を通じて知ることが可能になる。
もちろん単純なことではあるが、世界共通語の英語を話せない人とコミュニケーションできるというメリットもあり、将来的に多国籍企業・団体からの需要は相当出てくると思われる。

いつも述べるように言語はあるレベルまではツールであるが、より高いレベルにおいては言語を通じてそこの文化を知ることである。

こんなことを考えると、幼少時期に海外留学することは、その子の一生を左右する貴重な体験となることに違いない。

英語圏での留学生活とおけいこごと

留学し始めると1ヶ月もしないうちにクラスメートもでき、一緒に遊んだり勉強したりといった生活が始まる。
そこでいつもおけいこごとの話が出るようになる。
テニス・サッカー・水泳やダンス・ピアノといった日本では当たり前のように思われているおけいこ事だ。

もちろん英語力が同学年の生徒たちと比べて支障ない場合は大いに結構。
英語圏であるサイパンはスポーツ天国、マリンスポーツにテニス、ゴルフまでジュニアが週末ともなると繰り出して練習やプレイを楽しんでいる。
ところが、実際におけいこ事を始めてもレッスンはもちろん全て英語のため、スポーツだから英語は必要ないと言っても当然のことながらコミュニケーションが取れない。
せっかく楽しんでプレイできるはずなのにと落胆する生徒もたまにいる。

おけいこ事については、保護者の方がお子さんのことをいろいろと考えてきめるわけだから結構だが、私が相談を受けた際は、英語力が一般生徒水準になってからでも遅くないのではと答えている。

今お子さんにとって何が一番大切なのかという優先項目は、まず学校の英語の授業についていけること。
最初は話せなくてもよいからまずテキストが読め、内容が理解できること。
この単純明快なことが分からないと生徒の留学生活は、根本から崩れることになる。
日本で義務教育の英語を修了した人が、ESL(英語研修)に来ているのではない。
正規留学は学校でアメリカの科目授業を勉強するということだ。
この基本的な考えが解れば、今何をすべきかということは明快である。

海外留学すれば子供は頭が柔らかいかので、すぐ英語を覚えバイリンガルになると、大人の勝手な理屈で海外留学を考えておられる方もいるが、もちろん大人に比べて飲み込みは早く応用力もあるのだが、vocabularyやイデオム、発音、文法など覚えなければいけないことは山ほどある。
親が完全に英語の授業内容が理解できるのであれば子供に教えることもできるが、できないことを押し付けられる子供達はかわいそうだと思う。
学校で授業中何を先生が言っているのか解らず、放課後はおけいこ事で少しはストレスも発散でき、かといって家に帰ってくるとグッタリで勉強どころじゃない。
これではせっかく留学させた意味も効果も期待できない。

授業についていけるだけの英語力をまず付けること。
単純であるがこのことを最優先すべきなのだ。
その後のおけいこ事は、友達や周りの人たちとのコミュニケーションの機会も増え、ナマの日常会話のトレーニングにもなるので大いに奨励できる。
生徒本人にとってきっと楽しく有意義な留学生活になることだろう。

2008年11月22日土曜日

帰国子女枠とSAT

帰国子女枠制度を利用して日本の中学に進学したい、また大学に進学したいと考えている生徒たちも留学してくる。
受け入れ先である日本の学校や大学は、帰国子女枠として一般的には2年以上の海外留学期間を資格として認め、帰国後1年以内に受験し入学または編入することができる。

数年間の転勤などでどうしても保護者と海外で居住する必要のある生徒たちは、ぜひこの制度を利用する手だ。
最近では、ほとんどの有名中学・大学がこの制度を設けているので、選択肢は以前に比べて広がっている。ただ注意しなければいけないのは、特に大学の場合は選択できる学部に制限があり、医科歯科系を希望する生徒は特に注意が必要である。

高校からの入学・編入はあまりお奨めできない。
なぜかというと受け入れ先の高校が限られ、受け入れ生徒数も少なく、最も問題なのは大学受験の際に帰国子女枠は使えず、一般生徒と同等の立場で受験することが求められるからだ。
英語は有利だが、他教科特に国語や小論文は不利と言わざるを得ない。

中学での帰国子女枠受け入れ基準レベルは学校によって異なるが、英検準2級~2級合格程度は最低必要になる。
例えば英語圏であるサイパンの小学校6年生レベルでどの程度の英語力かというと、英検2級は文法・イデオム等の英検テスト対策用のレッスンを補助的に行えば問題なく合格する。
リーディング・リスニング・ スピーキングは合格基準以上に必ずなる。
笑えない話だが、英検の日本語で出題される文章が読めないという生徒が出てくることがある。
これには傾向と対策のテクニックで教えてしまうのだが。

日本語の勉強を日常滞りなく行うのは、学校の年間カリキュラム・塾のスケジュールの時間的猶予から見て、日本の生徒たちの受験レベルに持っていくのは教える側、受ける側からしても非常に困難である。
その意味からしても一般受験での入試合格は難しくなる。
まして4教科を要求される入試は、社会・理科の内容が日本とは異なるので不可能に近い。

大学の帰国子女受け入れは、SAT(アメリカ版共通一次試験)のスコア如何による。
SATは英語1600点、数学800点計2400点満点のテストだ。
70%以上取得すれば、日本のほとんどの有名大学に入学できる、さらに80%以上取得すれば東大や早稲田・慶応・ICUなどといった難関大学への進学も可能である。

果たしてこのスコアが取得できるかどうかだが、最低3年~5年間(中学~高校)をアメリカ圏で勉強し、SATのレッスンを行えば、日本人でも70%以上のスコアを取得できることが十分可能である。
80%以上取るためには、英語・数学を二本柱に相当特訓する必要がある。

因みに本年度アメリカの大学に合格した韓国人留学生は小学校低学年から約10年間サイパンに留学し、ハーバード大学の合格者はSAT98%~。
スタンフォード大学は95%~が合格ラインだった。
これは10年計画でなせる技であって、数年間では数学はともかく英語レベルを100%近くまで引き上げるのは非常に難しいと言われてきた。

しかし、最近の留学生の中には英語の素養と数学のセンスがある生徒も出てきたので、高校4年間でこのレベルに引き上げることは可能であると実感している。
もちろん小学~中学からスタートする留学生については、日本・アメリカ両国の学校・大学を選択肢において、中長期計画で取り組むことができる。

英語圏の留学先・学校の選び方

英語圏であるサイパンにはもちろん公立校もあるのだが、留学するとなると学生ビザ取得のための条件が厳しいので難しいだろう。
小学校・中学校・高校ともに定員いっぱいで教師の数が足らず、PSS(公立学校機構)が頭を痛めている。
最近は学校内外で麻薬や暴行などの犯罪が発生したため問題として取り上げられている。

そうなると私立校を選択するわけであるが、人口に比較し学校数が多いのではと思う。
各学校はそれぞれが特徴を持っていて、生徒や保護者が学校を選択することが大変だ。
日本のように偏差値やホームページといった情報がないので、その学校に通学している生徒や保護者から、あるいは先生から情報を得ることになる。

まず学校の特徴だが、学業のことはあまり気に掛けず自己を開発する方針の学校、キリスト教宗教色の強い学校、上流子女のみを相手にしている学校、アメリカの有名大学への進学率を最優先している学校など多種多様。
気になる学業レベルはというと、ピンからキリまで選択肢がある。

何を習得することを目標とするかを明確にして学校を選択することが日本以上に要求される。
ただ英語ができ、バイリンガルになればいいとなんか考えていると、せっかく留学する意味がない。
英語だけのスキルアップなら日本でも十分可能だ。
まず小学生なら該当する学年で何を習得したいか、高学年になれば将来何になりたいかを明確にしないと回り道を余儀なくされる学校選択になる。

1年間の高校留学や最近では低年齢化が進み中学生~小学生が海外留学するようになってきた。
この現象は決して悪いことではないのだが、目的が明確でないと、ただ英語圏で生活し多少英語がはなせるようになったという自己満足(親の満足も含めて)で終わってしまう。
これでは本当の意味で留学したことにならない。
日本だと進学を目指すのに学習塾・学校をあれほど真剣に吟味する生徒と保護者も、こと留学になると海外情報も少ないせいか安易に決定する傾向が強いと思われる。

その子供の性格とレベルに適した学校を選択することは、決して容易なことではない。
日頃から自分の子供を見ている保護者でさえ、生徒としての子供の一面を知りえていないからだ。
それならどうやって学校を選択したらよいのか。

一つの考え方として、子供が小さく判断力がない年齢だったら、保護者がどのような性格の子供になってほしいかという夢を叶えてくれるような学校を選んではどうだろうか。
高学年になり判断力がある子どもなら、よく話し合い将来の目標及び進学先もある程度決め選択してはどうだろうか。
抽象的だが今まで教えたKohinoorの塾の生徒たちは、年齢の高低関係なくビジョンを持っていた。
将来何になりたいという夢で結構、三つ子の魂はすばらしい可能性と夢の賜物だから。

ちょっとこの生徒には性格的に向いていないかな、学業レベルが高いのでついていくのが大変かな等進路相談をする際にいろいろ悩んだり考えたりするが、目的意識をはっきりさせれば多少の頑張りと努力はしようがない。
生徒たちの環境に適応する能力は保護者の考えている以上で、未知数の可能性を持っている。

あまり高望みは生徒に負担ばかり掛けてしまうが、ちょっと上のレベルを追求させるのは教える冥利に尽きる。
日に日に生徒達が成長していく姿を見ていると、この子たちなら日本やそれぞれの母国だけではなく、またアメリカだけではなく世界中どこへ行っても通用するだろうなと感じさせられる。

2008年11月21日金曜日

Quater Pound

日本のニュースを見ていたらQuater Poundが渋谷と表参道に出店したとのこと。あれこれMacじゃないのと思っていたらやはり実体はその通り。行列を作っている風景はやはり新しいトレンドに敏感な東京人!の姿を垣間見た。
サイパンの生徒たちもよくMacでPCを見ながらQuater Poundを食べている。アメリカなのだからこのブランドを食べているのは至極当たり前のことだが。ただ違っているのは、ブラウザやメールなどで遊びながら食べている子と、テスト対策なのだろう必死な形相でPCやノートを持ち込んで何時間もクラスメートたちと居座っているようだ。
今までは停電が多かったので、発電機の完備しているMacで勉強するのは日常茶飯事だったけれど、最近は停電もめったにしなくなり、それでも電気代が高いせいか放課後は結構生徒たちで埋まっている。サイパンのMacのオーナーとも話す機会があるが、何時間居座っても追い出したりしないそうだ。結構勉強している子供たちへの理解があるなと感心している。

サイパンは来年以降、沖縄からグアムに米軍基地が移動するにあたり防衛上の意味合いから、アメリカの支配が強化されることになっている。アメリカの産業がすぐにこのサイパンに入ってくるとは思えないが、グアムのようにどんどん地元チャモロ人の特権が薄れていくことは間違いないだろう。そのようなことを考え一部のチャモロ人の生徒たちは、アメリカの大学へ進学することを使命として頑張っている。今までは、成人になると政府から土地が貰え、現地人の特権を活かせるので就職先にも困ることはなく、フードスタンプという食料品の金券も支給されるなどいいこと尽くしであった。
しかしこれから先はそもいっていられない、自由競争という資本主義原論がサイパンを巻き込もうとしている。これがいいかどうかは別の議論として、いち早く変革する環境に対応しないと生き残れないということだ。方法として考えられるのは、土地や資産を売却してアメリカ本土に移住するまたは、アメリカの大学を卒業しサイパンで官僚や主要ポストに就く。
Kohinoorに開塾当時から数年間通っているチャモロ人の生徒の母親は後者を選択した。どうしてもアメリカの大学に進学するため、学業はもちろん、一般教養を身につけるため日本語、ピアノやギターまでもレッスンをずっと続けている。子供がアメリカの大学に入った際に、有色人種だからと差別を受けないように一般教養や感性、趣味を高いレベルで今のうちに着けさせようと考えているのだ。私はその母親の考え方に賛同してしている。アメリカは有色人種であるオバマ氏を大統領に選出したが、まだまだ人種差別は根強く残っており、また高学歴偏重主義は日本より深く社会に浸透している。歴史のないアメリカだからブランドとして学歴が尊重されるのは無理もないことだ。

日本人は国内にすばらしい学校・大学などがすべてそろっていて、有名大学や大学院を卒業すればよい就職先や仕事ができるいう図式が今なお残っているが、果たしてこの先も今まで通りうまく行くのだろうか、世界恐慌の中を航海する日本国という船が沈没せずに生き残っていけるのだろうか、真剣に将来を考える時期がとうに来ている。今までの既成の価値観では、この世界恐慌は乗り切れず、自分たちで変革できないならじっと嵐が過ぎるのを耐え忍んで、将来を子供たちに託すのも一考の価値があると思う。それだけの可能性を子供たちは持っている。どんなにお金を注ぎ込んでも柔軟な頭脳と肉体、若さだけは買えない。

アメリカの教育のすばらしさを知る

サイパンはアメリカ領なので、教育システムはアメリカのシステムとなっている。当初学習塾Kohinoorの生徒たちを教え始めたころは小学生がメインで、算数の掛け算・割り算といった基礎からのトレーニングだった。それ以前の繰り上げ、繰り下げの加減ももちろんのこと。その際に思ったのは、K式に代表される日本人の計算能力のレベルの高さであった。諸外国の生徒たちと比較して、何と日本人の生徒たちの加減乗除計算の速いこと、正確なこと。これは日頃から訓練されている成果だと日本人としての優越感に浸ったものだった。ところがいざ算数の文章問題になったときこれが逆転する。英語で書いてある文章の内容が解らないのだ。もちろん英語力をつけていけば内容もわかるようになってくるのだが、現地の子でさえ文章問題は苦手だ。後に文法教育を小学生低学年児にはあまり行っていない結果だと判った。

テキストはどの教科も日本と比較して驚くほど分厚く、3cm~4cmもある科目もある。なぜこんなに分厚いのが必要なのだろうと思い開いてみると、日本の参考書に近い仕立てで作られていて、説明・例・問題など懇切丁寧に記述されている。こんなに重い本を持って歩くのは大変だなと思ったりしたが、実際のところ通学は車で保護者が送迎するので、教室から校門までの辛抱で済む。

テキストの内容は出版社によって若干異なるが、算数の場合だと、学校の先生が黒板を使って説明する内容を全てテキストに書いてあると言っても過言ではないだろう。とにかく丁寧に説明・例が盛り込まれている。これ一冊あれば参考書・問題集などは多分必要ないと思える内容だ。これだけの内容が盛り込まれているのでもちろん授業内ですべてが完結できるわけがないので、問題部分は宿題となり、Kohinoorに生徒達が持ち込んでくる。授業で理解できなかったことを補習、宿題のチェック、プライベートレッスンでは予習までこなす。

面白いことに、英語圏であるサイパンの小・中公立校では、生徒一人一人にテキストが行き渡っていない。確かに1冊$100以上もするシロモノだから全教科そろえるとなると$1,000以上になる。結果、数人に1冊だからもちろんテキストを使った宿題はまず無い。

一転私立校は、各自テキストを1冊づつ年間有料賃貸され、テキストを数年間使いまわすことになる。これは学校にかかる保護者の経済的負担を考えるとよい方法だと思う。使いまわすわけだから、もちろん書き込み禁止、テスト前などにマーカーなども使えないわけだ。

アメリカの教育の何が素晴らしいかというと、各科目その学年で履修したことを元に、次の学年ではステップアップし、内容をどんどん掘り下げステップアップしていくところにある。日本の場合、国語・算数は明らかにステップアップ法式であるが、他の科目は細分化され履修したところだけを着目する傾向がある。

特に自然科学に対する教育は、さすがその分野で先進国であるアメリカだけあって、観察・事象・原因・結果・考察などといったステップを無理なく、広い範囲の分野を総合的に教えている。生物・化学・地学・物理・電気・天文学など各分野の内容は、小学生が使うテキストに日本の高校生レベルの内容が一部盛り込まれている。

また社会も面白いのだが、地理は一般的だがアメリカ史は歴史が短いアメリカだけあって、とにかく内容が深くて盛りだくさん。学生時代に専攻したアメリカ経済史にも出てこなかった人物・事件・政策・経済といった内容までも生徒たちは覚えることになる。

日本人は今後世界に出ていかないと立ち行かないことは以前にも述べたが、同盟国であるが経済的にはライバルになるアメリカ人の思考パターンを知るためには、小・中学生のころからの基礎的教育が どのような内容で行われているのか知ることは非常に重要だ。
アメリカ人は暗算に弱いとか引き算が得意でないとかよく言われるが、それは教育のレベルでは算術のほんの一部にしか過ぎず、全体像を表現しているのでは決してないということだ。

なぜアメリカの科学技術が先端をいくのか?基礎研究・応用・開発・マーケティングまでを世界的規模で展開できるのか? IT産業を見ても明白なように、コンピュータのプログラムは日本語ではない。開発した人種が指導力を持つことになり世界を圧巻する。いづれ言語の壁は克服することができるだろうが、時間はかかる。今使っているPCも、もともとあるプログラムやソフトを日本語に置き換えているだけだ。

日本人は世界に通用する素晴らしい才能を持っている。このことに気づいたアメリカ人マッカーサー元帥は、終戦後占領下である日本に対し、英語を義務教育として押しつけなかった。英語という武器を日本人に持たせたら近い将来、日米経済戦争に負けると判断したからだと聞いたことがある。これは的確に日本人の姿を捉えている。日本の教育水準は受験体制の産物だろうが高いレベルにある。しかし世界で通用するためには、アメリカをもっと知ること、つまり時代背景を含め、アメリカ人の考え方とその思考パターンの基幹を司っているアメリカの教育のことをもっと知る必要があるということだ。

円高・ドル高に見る影響

サイパンは主たる基幹産業がないので、各国からのツーリストを対象とする観光業・マリンスポーツ・ホテル・レストランなどがメインの産業だ。サブプライムに端を発した世界恐慌は、この小さな島も少なからず影響をじわじわと受け始めている。特に韓国からのツーリストは、ウォン安ドル高の影響下、ここ数ヶ月極端に低下してきている。もちろん島内で進行している、韓国コンツェルン系のホテル建設・ゴルフ場再開発などの大型プロジェクトも、為替の影響で20~30%スケールダウンを余儀なくされている。
証券市場や保険・金融マーケットなどに直接携わっているホワイトカラーが少ないので、そうした人種がリストラのため溢れ出ることはない。知り合いの韓国人不動産屋が、今のままのウォン安では韓国からの投資家が来ることは絶望的だと今日も嘆いていた。
元ファンドマネージャーとして、円・ドルの為替レートのここ数ヶ月の推移は予測でし、ほぼ当たっていたが、ウォン安の進行度合いは予想を上回っていた。こうなると韓国や日本以外の母国からのドル送金に頼っている留学生には逆風で、生活水準を落とさなくてはならない状況下の生徒も出てくる。せっかく志を強く抱いて何年間も勉強に取り組んできた生徒たちが、本人の意志とは関係なくサイパンを去らざるを得ない状況も出てくるのではないかと危惧される。
もちろん恵まれた家庭の生徒たちは、現在進行中の世界恐慌とは全く無縁で、精一杯自分のしなければいけないことを認識して勉学やスポーツ、趣味などに勤しんでいる。
このような状況下でも、あまり悲壮感が社会から伝わってこないのは、サイパンの気候のせいなのだろうか。夜中に外で寝ていても凍死することはないし、この季節でも海水浴ができ、水シャワーでも平気なくらい暖かい(暑い?)自然の恩恵に感謝しなくては。
こうして現在の世界の経済情勢から鑑みても、アメリカと日本の置かれている立場は重要だ。経済基盤である通貨が強くないと国の存在が危うくなり、国民を危うくする事態に発展することはアメリカの大手証券会社・銀行・保険会社・不動産・カード会社、最近ではビッグ3の動向などを見れば明らかだ。
もう少し経済に強い政治家やそのブレーン達が、社会構造を一刀両断に変革しないとこの不況を乗り切るのは難しいだろう。もちろん人ごとではなく、現在の私の立場でできることなどほんの些細なことだ。それはKohinoorの生徒たちにどうしてこんな不況になったのか?マネーゲームの仕掛け人たちが行った愚行など、生徒にわかりやすく説明してあげるとことぐらいだろうか。そんな生徒の中から、世界的視野を持ち、経済活動にも長けている人間が輩出できれば良いのではと、時間がかかるけれどささやかな望みを子供たちに託している。
知恵と知識は、invisible asset(目に見えない資産)だから、いくらでも詰め込むことができ、人間はうまいことにそれを吸収・消化していくすぐれた超スーパーコンピュータという脳を持っている。最近観たSF映画のホークアイや小説の中に出てくる、人間以上に英知のあるアンドロイドやロボット、コンピュータに人間が振り回されるというストーリー。遠い将来にはありうることだろうが、人間が地球に生物として存在する以上、機械はコントロールできるわけで、他の惑星から人間より優れた生物(エイリアン)に侵略されるか、人間が超自然現象や核・バクテリアなどの汚染で抹殺されない限り、自然環境を保護しながら地球と共に歩んでいくことが本当はすごく大切なことなのだと思い始めた。
当然のことながらどこの企業、広い意味では国家も利潤を追求するわけだが、その利潤は何のために追求するか、利潤をどう還元していくか、これからの人類を支えていく子供たちの未来をどうするのか、挙げればきりがないのだが、これからの政治・経済活動を変えていく根本の意識として、大人たちが個々に責任を持って、今自身の置いている立場で真剣に考えて取り組まなければならない。世界が経済的に歪んだ事態になったことに、子供達には何の罪もないのだから。

2008年11月20日木曜日

バイリンガルと異文化コミュニケーション

ここ数年、サイパンからハーバード大学等のアイビーリーグやスタンフォード大学、UCBなど、毎年のように合格者を輩出しているので、否応なしに教育熱がフィーバーしている。この原動力になっているのが、韓国人生徒たち。この生徒たちは、数年~10年計画でサイパンに留学し、アメリカの有名大学進学を目指している。ビザの関係で、アメリカ本土ではビザ取得が難しいことや、アジアから近距離のアメリカ圏を選択するとサイパンになるからだ。お隣のグアムはアメリカ準州なのでビザ取得に関してアメリカ並みに厳しい。こんなこともあって母子はサイパンで受験勉強、父親は韓国でせっせと働いて仕送り。もちろん中学生・高校生が一人で留学し、母国から保護者が仕送りしている例もある。こんな生徒たちを日頃教えていると、きっと近い将来、世界をまたにかけて活躍する人物にたくましく育っていくのだろうなと思う。

日本は世界トップクラスのGDPでありながら、海外を拠点としたビジネスマン&ウーマンの進出が、まだまだ遅れている。資源のない日本なのだから、もっと海外へ出てビジネスしないと近い将来、中国はもとよりアジア諸国に圧倒されることだろう。ゆとり教育や英語教育など、日本の教育システムにも関係することだが、諸外国においては低年齢児からの英語教育をほぼ当たり前のように考え、義務教育~高等教育で実践し、様々なジャンルでしかも次々と世界に通用する人を送り込んでいる。世界の共通語は英語なのだから、このように戦略的な教育施策を打つのは当然のことなのだけれど。


英語は『ツール』、年齢・レベル・業種等に応じたコミュニケーションがとれればよいと思う。 ツールとしての英語だけなら、日本にいても習得できる機会や方法はいくらでもある。それなのになぜ海外留学なのか?その答えはいろいろ考えられるが、ひとつには異文化コミュニケーションを体で覚えるということだろう。文化は幼児期から育った環境であり、先祖代々受け継がれた民族の知恵・知識などでもある。よく日常会話ができればよいと言われますが、実際のところ日常生活を英語で過ごしていないと様々なイデオム(言い回しや熟語など)が、瞬間に理解できないことはよくあること。それは、言語が体に身に付いているかどうか、民族の考え方が理解できているかによって、100%解るかどうかは非常に難しい一面を持っているからだ。本来のバイリンガルは、ツールとしての言語だけではなく、その背景にある文化も理解できる人のことを言うべきではないかと思う。
英語だけではなく、異文化コミュニケーションを学ぶために海外留学するのが、バイリンガルになる近道。英語が得意な子(人)になるだけだったら、費用をかけて海外留学する必要はあまりないと思う。

初めに・・・なぜサイパンなのか?

サイパンで地元の生徒たちを教えているといろいろなことに遭遇する。

もちろん日本人だけではなく、地元のチャモロ人・韓国人・中国人・インド人など様々な国から勉強するためにサイパンにやってきた生徒たちのおかげだ。
母国語はもちろん違うのだが、共通語である英語を使ってコミュニケーションをとりながら、英語や数学などを教えることになる。

当初私が、数年前にサイパンを訪問したのは、全くの偶然に近いものがあった。日本のある大手外食産業の海外進出とアメリカ株式市場での上場を計画し、マーケティングリサーチをするため、カリフォルニア州、フロリダ州のリサーチを終えレポートを現地からメールしているうちに、サイパンもアメリカ圏だと思い出し、急遽来ることになった。サイパンに来て、色々なことをリサーチしているうちに、自分で何かやってみたらどうかなと考え、試行錯誤と出会った人たちのリクエストで学習塾Kohinoorをスタートさせた。当時は、保護者の方からリクエストの高かった算数の補習塾の内容で、学校の授業でで解らなかった箇所を理解できるようにすることが当面の目標であった。
そうしているうちに、アメリカの有名大学へ進学を目指す中学・高校生が訪ねてくるようになり、一気にレベルが上がり、SAT(アメリカ版共通一次試験)対策をする進学塾へと変革していくことになった。

サイパンと言うと、日本での情報があまりないせいか、どこにあるかも知らないし、知っていたとしてもせいぜいグアム島の近くにある島程度の認識の人がほとんどではないかと思ったりする。近年は天皇陛下と三浦事件で少しは認知度が上がった程度だろうか。そんな小さな島にも、もちろん人は住んでいるわけですし、子供たちも大勢いる。10数ヶ国の人種がこの小さな島に住んでいるのが不思議なくらいの小さな町サイパン。年中暑い気候のせいか、子供たちは楽天的で、生き生きして塾に通って来る。
そんな生徒たちの顔を見ると続けていてよかったなと、また頑張る気持ちが湧いてくる。

マリンスポーツとゴルフが好きな人には天国かもしれないが、スキューバダイビングができないので、ついつい読書するか映画を観るかに落ち着いてしまう。最近早起きする習慣をつけるようにしたので、ブログでも書いて、頭の中をスッキリさせ、シプロスを活性化させないと。塾の先生の立場だから、生徒の柔軟な脳細胞には負けていられない。

今日も元気だ、サイパンは良い天気。この空模様だと暑くなりそう、日本は冬だというのに。
おかげで若いころに無理して痛めた腰が、ストレスが貯まってくると冬場に病むのだが、こちらに来てから一回も腰痛で寝込んだことはない。これもサイパン効果か。